第35話
「じゃあ、本当に消えてたんだ、あの時」
「俺がこの世の人間じゃないって分かれば驚かないだろ?」
「本当の幽霊みたいだな」
「まあ実際はそうかもしれない、この世の人間じゃないし」
この世の人間じゃない…って言う2号の言葉に虚しさと悲しみが残る。俺もそうなるのか。
「なあ、一つ聞いていい?」
「何?」
「お前は俺に勝ってこっちの世界に復帰するよな?記憶って前のまま残るの?それに前の家族に会いに行こうとか…したいことあるの?」
「記憶は消すか残すかは選べるらしい。本当に過去の記憶も消して新たな人生を歩む人もいるし、記憶を持ったままの人もいるらしい。俺は消したい。やっぱり家族に…最後に酷いこと言われたし…。もういいや。その分、お前として…佐藤真司として…家族大切にして生きるよ」
「ありがとう」
ふと、俺は嫌なことを思った。
「このゲームって終わりがあるのかな?」
「どういうこと?」
2号の顔に緊張が戻った
「いや…お前は俺を対戦相手に選んだ訳だけど、お前を負かした佐藤真司を選ぶこともできたんじゃないかな?ってさ。だって、俺みたいに家族との修羅場を経験してない人とか、復讐じゃないけど…もう一度とか思う人もいるんじゃないかな?って」
「怖いこと言わないでよ。それは考えてなかった。ただタブレット見せられて、この3人なら勝てるチャンスありますよ。って勧められただけだから。俺とまた勝負したいの?」
「可能性だけならって話」
もし、もう一度2号と勝負して勝てば昔と変わらない生活に戻れる。大好きな母さんの玉子焼きも食べれる。だが、もう2号と勝負することはないだろう…何となくだが俺の中には確信に近いものがあった。
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