第29話

俺は今日のテスト全てを白紙の答案で出した。テストを解く心境になれなかった。家に帰り一人ベッドから天井を眺めていた。冗談だと信じたいが冗談ではない、現実だ。俺と2号の立場が入れ替わっていた。入れ替わったからといって何ら支障が出た訳ではない。ただ、俺が受け入れられなかっただけである。

占い師のお婆さんが言ってたことってこれか。体勢が決している…つまり俺はこれから2号として生きろ。ということなのだろうか。仮に2号として生きたとして人生が変わるほど大した出来事なのだろうか?もし、呼び名だけでなく中身も2号と入れ替わっていたら…頭も良くなって運動神経も良くなる…良いことずくめじゃないか。ただ今のところそんな実感は無い。これから徐々に変わっていくのだろうか。いや、ない。それならあのお婆さんは、もっと嬉しそうに話していただろう。

もう今回のテストはどうでもいい。学校にも行きたくない。また何かが起きるのかと思うと行くのが怖い。

ふと、お婆さんの言葉が浮かんだ。可能性は低いが、俺が1号だ。ってアピール?出来れば…って言ってたよな、確か。それができれば俺は1号に戻れるのか。今更戻っても…。

どうせ戻るならテストを受ける前に戻してくれたら…少なくとも白紙の答案は出さなかった。諦めと後悔の念だけが俺の中にいつまでも残っていた。

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