第23話
放課後、俺は2号が部活に行ったのを確認して一旦家に帰り着替えた。服装は黒っぽい目立たない服装。帽子を被り完成。そして再度学校に戻った。2号を尾行する為に…。2号の家に興味はない。俺は2号が隠している何かに興味があるのだ。その答えの一部が家にあるんじゃないかなと思う。だから確かめたい。その気持ちだけだった。
廣瀬からのラインも、佐藤って表札は3丁目にはない。ただ、表札のない家もあるから100%じゃないけど、そのうちの2軒は違う名字って分かってるから。って回答だった。
そして練習が終わり部員が部室へ帰って行った。いよいよだ。鼓動が早くなる。
練習後すぐに帰る。って言ってた大野の言葉通り、2号は早くも校門をくぐり出てきた。
俺は2号にバレないよう距離を取り様子を伺った。2号は宣言通り、大通りを3丁目方面に向かっている。大通りは車はよく通る大きな通りだが、意外にも生徒はあまり歩かない。3丁目方面だけではなく、他方に向かうにせよ遠回りになるのだ。だから大半の生徒は脇道から裏の細い道を通り、各々の方向へ向かう。道は狭いが車もほぼ通らないので安全面からしても最適なのだ。ただ夜は街灯がなく暗くて危険である。
俺は裏道を通って大通りから3丁目方面に向かう地点にあるコンビニに先回りした。大通りは尾行するには隠れるところが少ないからだ。待つこと5分。2号と思われる人物が路地に向かって歩いていく。俺はコンビニを出て跡をつけた。2号はマンションの方向へと歩いている。朝の言葉通りだ。路地を左に右にと進んでいく。俺も距離を取り後をつけた。地理と2号から見えない死角は折込済み。見失うことはない。2号はマンションの方向へとどんどん進んでいく。そして、マンションの前の通りを右に…マンションと逆の方向に曲がった。俺も同じように右へ曲がった。そこで思わぬことが起きた。
えっ?行き止まり?そう、この道は行き止まり。家は2軒、左右に建っているが行き止まりの道なのだ。そして、2軒の家の表札は「太田」「中野」…。
2号の歩くスピードと俺が曲がった時間…それを考慮しても、このどちらかの家の玄関をくぐり姿を消すには無理がある。俺が付けてることを知ってたとして、角を曲がってスピードを上げた…それでも無理がある。しかも、2軒とも留守なのか家には明かりが付いている様子がない。真っ暗である。もし猛ダッシュして玄関に辿り着いたとしても鍵穴は暗くて見えないだろう。ガチャガチャやってる姿を俺に見られるはずだ。なのに2号はいない。消えたという表現が正しい。
このどちらかの家が2号の家なのか?それとも2号は本当に消えてしまったのか?俺の行動がキッカケで何かとんでもない事が起こりそうな予感がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます