第20話

大野の話だと、佐藤2号は俺の近所に住んでいるらしい。全く知らなかった。3丁目と4丁目、目と鼻の先に引っ越してきてるのだ。

俺は廣瀬にすぐさまラインをした。

廣瀬は3丁目に住んでいる俺の友達。高校は違うが仲の良かった友達だ。

「久しぶり、元気?なあ廣瀬、3丁目っても広いけど、3丁目で最近引っ越してきた家とかって分からない?実は俺と同じ佐藤って名字の家なんだ」と。

かなりの無茶振りラインだが、廣瀬の家は…正確には父親が町内会の会長をしてた時期もあり町内の情報網はかなりのものである。そして廣瀬自身も見た目は、のほほんとしてるように見えるが実はしっかり者で良く気がつく。俺達の中で廣瀬は隠れんぼの鬼をした時に10分で6人を見つけたというレコード記録保持者でもあるのだ。それくらい記憶力と変化には敏感な奴なのだ。

待つこと5分、廣瀬から返事が来た。

「久しぶり、元気してるよ。引っ越しの件、親父にも聞いてみたけど心当たりがないって。引っ越しって最近だろ?最近、荷物を搬入したりトラックが3丁目に止まってた記憶ないな。3丁目って確かに広いかもだけど、親父の顔見知りの家ばっかだし俺にとっては狭い範囲よ。まあ、3丁目に唯一ある大型マンション…あれのどっかに引っ越したって言われたら分からないかもだけど…分からないってもそのマンションぐらいだよ」

「了解。ありがとう。また機会あったら遊ぼうや」

「楽しみにしてるよ」

やはり2号は何かを隠している。そんな確信を俺は持った。それは俺と繋がっていると。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る