第10話

職員室を出て帰ろうと廊下を歩いていると大野が前から歩いて来た。大野も中学時代の同級生。同じクラスにはならなかったが家が近所でもありよく遊んだ仲である。

「おっ、もう一人の真司。職員室に用事?なんかやらかした?」

「なにも。さすがに学期始まったばかりだろ。それよりもう一人の真司って、お前知ってるの?もう一人を?」

「知ってるもなにもサッカー部の救世主だぞ。お前と違って(笑)あいつが入部してくれたから今年は全国も狙える状態になったんだから」

「えっ?サッカー部なの?」

「そう、お前と違ってもう一人の真司はバリ上手いぞ。GK以外のポジションはどこでもこなせるし、スピードもテクニックも県内トップレベルじゃないかな?あんな上手い選手早々いないよ。今まで無名ってのが不思議なくらいに。」

「そんなに上手いの?すげー」

「なんでお前と同姓同名なんだろな(笑)別にお前がダメとかじゃないけど、こんなに違うんだって思ってしまった。不思議なもんだな」

大野とは下駄箱までこんな会話をしながら歩き、大野は部活に向かい、俺は帰路についた。

俺は家に帰るとパソコンを開き「佐藤真司」と検索をした。かなりの数の検索が出てきた。俺は2号に該当しそうな事を一つずつ開いて確認していったが2号に関する情報はなかった。大野が言っていたようにサッカーが県内トップレベルの上手さなら、何らかの大会とかで名前が載っていても不思議ではない。しかも部活に入ったぐらいだから今までもどこかのクラブチームとか中学でも部活でサッカーをしていたというのが妥当だろう。だか不思議と何も出てこなかった。大野ですら中学の県大会の結果を検索すればメンバーとして名前が出てきたのに。竹田先生の話といい、この検索結果といい、2号って何者なんだ?

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