第6話

俺の朝は早くない。かといって遅くもない。余裕あり過ぎも嫌。ギリギリも嫌。だから学校には1限…ホームルームの15分から10分前に着くようにしている。部活にも入ってないから朝練とかもないし、朝起きる時間も家を出る時間もほぼ毎日変わらない。今日もいつものように教室の扉を開けた。大体、この時間に来ている顔ぶれもほぼ一緒。唯一異なるのが佐藤真司、2号がいたことだ。

「おはよう旧佐藤」「1号が来たよ笑」「イケてない方の真司」…みんな言いたい放題好き勝手に挨拶をして爆笑している。ただ、その中でクスリともせず真顔で「おはよう佐藤君」と挨拶をしてきたのが2号だった。「スゲー佐藤が佐藤に挨拶してる。レアタイム」「バカ、挨拶ぐらいするだろ笑」クラスメイトの爆笑は止まらない。「おはよう」そう返すのが俺は精一杯だった。なんなんだ、この違和感は。たかが挨拶でこんなに意識するものなのか?名前が一緒ってだけで容姿も何もかも違う人間じゃないか。これから毎日何かある度にこんな感覚になるのか?早く慣れないと…自分に言い聞かせるしか俺は出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る