第5話

家に帰り夕食までテレビを見たり色々と暇を潰したが、どうしても佐藤2号の以前から俺を知ってたようなあの顔が頭から離れない。

俺ん家の夕食は家族みんな揃ってが基本。父親も19時頃には帰宅するし、妹も習い事はしてないからみんな揃ってになる。

夕食の席で俺は今日の転校生について提議をしてみた。というのも、佐藤という名字自体は日本では多い部類に入るだろう。だから同姓同名がいたとしても不思議ではない。佐藤に限らず、鈴木、田中にしても同じことが言えるだろう。問題は確率だ。同姓同名が同じクラスにいる。という確率。それを父や母に聞いて見たかったのだ。

「へぇ、真ちゃんと同姓同名?面白いね。どんな子?真ちゃんとどっちがカッコいい?」母の由美子が話題に食いついた。

「どっかのモデル事務所の子みたいにイケメン」

「マジ?見てみたい。いつ会える?連れて来てよ」妹の佐和子がノリノリで返してきた。

「そんなことより、父さんも母さんもさ、同姓同名って会ったこと今までにある?佐藤って多い名字だから、会ったりしてもおかしくはないよね?」

「真司の言う通り、佐藤さんは多いけど俺は名前の漢字違いの知り合い…取引先の人の名簿とか昔なら野球の大会の冊子とかで違う学校の選手にいたとかはあるが、本当の同姓同名はないな」

父親の浩二が話すと「私はお父さんと結婚する前は佐藤じゃないし、由美子って名前が一緒の人もいたわよ。あと、子がなくて由美。とか。だから真ちゃんの話を聞いても違和感も何もないわよ。同じ真ちゃんに興味持っちゃった(笑)」

「私は、佐和子って名前…あんまりない名前だし…でもテレビの有名人の人と一緒で、綺麗な人よね、だから佐和子って名前好きよ。同姓同名、さすがに私が二人は嫌かも。お兄ちゃんももう一人の真司君嫌そうね?」

「嫌ってか気持ち悪いってか」

「そもそも、学校は何で真司と同じクラスにしたんだ?名簿だってテストだって間違や混乱が起きるだろう。クラスなんて1つじゃないだから別にするのが当然だろう。先生は何か言ってたのか?」

「いや、何も聞いてない。先生も初めての経験でどうしたらいいか分からないって言ってた」

「なんか学校の事情があるのかもね。一度聞いてみたら?間違えられて真ちゃんが困ること起きてからじゃ遅いし」

「分かった、明日、竹田先生にさり気なく聞いてみるよ」

こうして家族会議は終わった。確かに父さんが言うように、部活の大会とかの名簿とかだったら俺も記憶にある。どんな奴だろ?一緒に試合することになったら審判困るかな?とか昔は考えたこともあった。だが、現実目の前に本人がいる、この奇妙且つ不気味な感覚はなんなんだ?なぜクラスまで一緒に?疑問が増えてしまった。

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