最終話、それぞれの戦いの始まり

江里口信常は挑発が成功してうまくいった後はこの身が滅びるまで戦うまでだと思いすべての力を出し尽くすのであった。



一方、明智も素手になっているとはいえ明らかに強くなっている上にさらに激怒している状態なのでいつもよりも力はだけは増していた。その代わりに冷静さは無くなっていた。



江里口信常はそここそが今の明智に一撃を与えることが出来る最後の好機と考えたのであった。もし、再びここで一撃を与えて負傷させたら確実にアーリナを逃がすことが出来ると思いただ攻撃に避けながらその機会を待っていた。



だが、ここで決闘が始まって時間が経つにつれ次第に明智は冷静さを取り戻していき一撃を与えるすきも無くなっていた。まさに江里口信常にとって最悪な状況であった。



そんな時であった明智が江里口信常に対して言うのである。



「そうだ、先ほどの挑発はよかったぞ、江里口信常。それにお前は武勇にも優れていて私についていればここまで心強い味方はいなかったかもしれないのに・・・だが、現実はそんな風にうまくいくわけないか。」



「どうするつもりでござるか、明智。ここでじわじわ俺を倒していくつもりでござるか。」



「・・・・いや、お前ほどの男だ。最期ぐらい・・・お前の望み通りの一撃同士で勝負しないか。それにそれで私に負傷させることがお前の目的だろ。」



江里口信常は自分の考えが読まれており不利に感じたがそれでも自分にはこれしかないために不利でも受け入れるしかできなかった。




明智は武人の中の武人が相手になるので礼儀だと思い刀を取り構え始めたのであった。その明智の場所には多大もよらない魔力や闘気などが感じられた。



しかし、江里口信常も負けてはいなかった。魔力では負けていたがその代わりに闘気が明智以上に強くぶつかり合えばどちらともただでは済まないことは誰の目にも明らかになっていた。



そしてその場の空気が静かになったのである、それは風の音さえも無く雑音などもなくただ無音が過ぎていた。



時が止まったかのようにただ誰もその場から動かないで見ていたのであった。



次の瞬間、風の音が聞こえるほどの大きな風が起きたのである。二人はまるでそれが戦いの合図みたいに二人とも常人では見えないほどの速さで攻撃をしたのであった。



その激突は周辺のものをすべて吹き飛ばすだけの威力があった。現に二人が激突した半径300メートルには大地に何も残っていなかった。




そして中心核というべき場所は二人の姿があった、二人とも傷を負っていたが明らかなに違う点があったのである。一人は命が係わるほどの重傷でもう一人はひと月ぐらいで治すことが出来るぐらいの傷であった。




重症の方が江里口信常で比較的に軽傷と呼べる方は明智であった。それは勝敗を決まった瞬間である。明智は江里口信常に対して



「見事な腕だ、流石の無双の剛の者と呼ばれただけはあるな。江里口信常、お前のことは私の記憶から忘れないで置くぞ。」



そう言い終えると明智は江里口信常の首を刎ねった、それを終えると江里口信常の首を上げて



「敵将、江里口信常、私が討ち取ったりー。」




明智軍から歓喜の声が上がった。最後の敵将と呼べるものをここで討ち取ったのである。天下は明智のものになったと誰もがそう考えていると明智が



「そこでまさか、私を一人で打ち倒すつもりか・・・時の魔女。賢いお前ならわかるだろうと思っていたが・・・そこまでして私を倒したいか。」



「・・・当り前よ、ここであなたを倒さないと・・・死んでいった者たちになんて顔して合えばいいのよ。」



「そうか、そうか。ならばここで死なせてやろう・・・だが、お前にはいろいろと借りがあるから・・・江里口信常みたいに一瞬で死ねると思うなよ。」




明智とアーリナの戦いが始まったのである。明智は負傷していたが江里口信常に比べると弱く見えるアーリナを脅威に感じられなかった。




また、アーリナ自身も江里口信常に比べると弱いと自分自身も分かっていたがそれでも明智を負傷しているうちに倒さないと勝てないと考え勝負に出るのであった。




そんなアーリナの勇気が認められたのか・・・アーリナのもとに不思議な風が集まりつつであった。明智は何だと思い少し後退して様子を見てみたのである。



もちろんアーリナ自身も分からなかったが・・・それでも不思議と分かることがあった。それはこの風は味方であると何となくであるがそう感じたのである。



明智は長く伸ばすと不吉なことが起きると感じ一瞬で終わりにしようとアーリナを攻撃しようとしたが・・・アーリナの周りにある風が明智の攻撃を防いだのであった。




明智は目の前の現象が理解できずにどう対策したらよいかと考えていた。下手にわからないまま戦えば負ける可能性すらあるのである。慎重に慎重を重ねたのであった。



一方、アーリナは何となくであるがこの不思議な風の使い方を理解しつつであった。そうしてアーリナはすべての力を賭けに出た。




「死んでいった者たちにお願いいたします。どうか、この一瞬で構いません。私に力を貸してください。あの吸血鬼を倒すだけの力を私に貸してください。」



その時であった、アーリナの周りの風は一層強くなりさらにアーリナが愛用している杖までが輝きだしたのであった。



明智はそれを見て目を疑った。そう、この前に江里口信常に受けたブリューナクと全く似ていたからである。そう考えるとあの風も同じぐらい危険なやつではないかと危険を感じすべての力を出し切ってアーリナを殺そうとした。




しかし、アーリナは先手を取ったのである。己の杖を光の矢に変えて明智に向けて投げたのである。アーリナの周りに発生していた風も杖共に向かったのである。



そのために杖の速さは尋常でないほどに早くなっていた。明智は避けきれずに左腕を貫通させられたのである。



明智は痛みのあまり聞き取れないほどの悲鳴を上げるのであったが杖が貫通したと思っていたら明智のもとにまた戻ってきたのである。これを見た明智は怒りを込めて杖を破壊した。



だが、砕け散った杖の破片たちが光をさらに増し無数の光の刃を生み出したのであった。



アーリナは己が得意とする時の魔法をすべて光の刃にかけたのであった。それは加速の魔法であった。そしてアーリナは



「今、すべてを破壊する。」



無数の光の刃は明智に一気に攻撃を開始したのであった。アーリナの自身が今、できる最大攻撃である。



明智は今までこんな攻撃を見たことも使えるものも聞いたこともないために対処しきれなかった。




無数の光の刃は明智を切り付け続けた。元々、明智は吸血鬼であったためにダメージは信じられないほどであった。




だが、それでも明智は死なずに立ち続けていた。まさに怪物と言うべきである。しかし、アーリナは江里口信常が持っていた刀を貰い明智にとどめを刺そうとした。




明智は自身が持っている最強の防御結界が迎え撃った。これは数多くの神々も誰も破れず安全なおかつ完璧な防御結界である。



もちろん刀は明智が張った結界で一度は止まったが次第にアーリナの意思が刀に伝わったのか刀が赤い闘志みたいなものを出し始め結界にひびが入ったのである。



明智は日々も入ったこともないためにやばいと感じよけようとしたが・・一歩、アーリナの方が速かった。



アーリナは結界を破り明智を斬り倒したのであった。



明智は断末魔を叫び、辺り全体に響いた・・・そしてついに明智は地面に倒れこんで灰となって消えたのであった。



「勝った・・・ついに勝ちました。よかった・・・これでみんなの仇が。」



「本当に私を倒していると思っているのかな、時の魔女。」



「!!まだ生きているのですか、どこにいるのです。」



「残念なことに私は体が十三体持っているのでね、そのうちの一つをやられただけだ。まあ、それが一番強い本体であったのが一番痛いが・・・まあ、生きていればそのうちに新たな体の方が強くなるから構わないが・・・。」



「そ、そんな・・・でも後、十二体を倒せばあなたは死ぬのですね。」



「まあ、そうなるな。だが、今のお前にそんなことが出来るのかな、時の魔女よ。」




「・・・正直に言って今はできないわ。でもいずれは必ず倒して止めてあげるわ、あなたの野望を。」




「楽しみにしておくよ、それでは時の魔女よ。今、しばらくの別れだ。また、戦場で会おうぞ。」



そして周辺から明智の気配が消えたのであった。アーリナは一息をついたらすぐにその世界から消えたのである。



この世界に残れば明智の餌食になることはわかる。だから別の世界でさらに強くなり今度こそ、明智を倒すために旅に出たのであった。



アーリナは誰もいるはずもないのに自然と自分の想いを口に出したのである。



「明智・・・・あなたは必ず私が止めて見せる。」




一方、明智軍は総大将が一時的にいなくなったこともあり進軍が一時的に止まっていたが明智が別の体で戻ってきて進軍を再開して無人状態になっていた土佐山崎城を占領してついに大陸統一を成し遂げたのであった。




それから数週間後、明智はかつて土居たちと来た、絶好な景色が見れる場所に来ていた。



そこで一人にもかかわらずは話を始めたのであった。



「土居さん、榊原、アリーナに族長殿、私はついに大陸統一を成し遂げたよ。これで土居さんたちみたいな不幸な人たちはこの世界からいなくなったよ。だからいつでも生まれて変わってきてもいいよ。」



明智は涙を少しばかり流しつつ笑顔でそう言ったのである。だが、表情は変わり明智が




「でもごめんなさい。私はまだやることが多くてこの場所にまだ戻ってこれそうもないや。でもこれだけは約束する、最期には必ずここに戻ってくる。それだけは約束する。だから今、しばらくはここに戻ってくることはないだろうけど・・・許してください、土居さん、榊原、アリーナに族長殿。」




一人の吸血鬼は一つの世界を制覇したが秩序の頂点に降臨していた者たちがいなくなった世界に数週間後には開始を始めるのであった。




その意味は・・・どの世界に生まれ変わっても誰もが不幸にならない世界を作るために狂気的な正義を掲げた吸血鬼が今、新たな戦いを始めるのであった。























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