第36話、残された希望

災害級の寒波見舞われた神々連合軍の陣営はひどいありさまであった。陣営は大雪で埋もれて元の陣営が見えないほど積もっていた。




アーリナはその中でも必死に邪神やアレス、スサノオの姿を探したのである。外は大寒波で冷凍地獄となっていたがそれでも探し続けたのであった。




三柱が無事ならまだ態勢を立て直すこともできると考え探したが・・・現実は非道であった。



三柱とも急激な気温の低下を予想しておらず防寒対策しておらず・・。凍死をしている三柱の姿を発見したのであった。




アーリナはただその姿を見て絶望するしかなかった。今の秩序を支配していた者たちが一気にいなくなったのである。これで明智に対抗する者はほとんどいなくなってしまったのであった。



これで明智の天下は決まったのと同然であった。それは自分が住める世界が無くなったのと同じ意味をしていた。



そんな時であったどこからか声が聞こえたのである。その声の正体は江里口信常であった。江里口信常も違和感を感じており備えてあったために凍死はなんとか免れたがそれでもかなり厳しい状態であった。



「アーリナであるか・・・まさか、明智がこんな作戦をしているとは・・・さすがと言うべきでござるかな。」



「そんな弱気なことを言わないで・・・どうすればいいのでしょうか、江里口信常さん。」



「某にそんなことを聞かないでほしいでござるが・・・とりあえず土佐山崎城に戻ることが最優先でござるな。それで生き残った残党兵たちと一緒に戦い抜くことが一番の上策と考えているでござる。」



アーリナはたしかにこのままで戦えば負ける未来しか考えられない・・・しかし、土佐山崎城に戻ったところで勝ち目はないに等しいと考えていた。




ここで江里口信常が意外なことを言い出すのであった。



「アーリナ殿には・・・・この世界から逃げてほしいでござる。正直に申してこの戦いに勝ち目は万が一もない状態でござる。だが、この場から逃げてアーリナは殿には再起を図ってほしいでござる。それしか道はないと思っているでござるよ。」




アーリナ自身も確かにそれならわずかであるが勝算が出てくるが・・・それはここに生き残っている仲間たちを見捨ている意味をしていた。アーリナはそんな行為はしたくなかった。それに上の者として責任を果たさなくてはならないと思い江里口信常に対して返答しようとした時に



「アーリナ殿、辛い立場上に役割なのも承知でお願いしたいでござる。ぜひ、この場から逃げ延び再起を図ってほしいでござる。それが死んでいった者たちに報いる唯一の方法だと考えているでござる。」




アーリナは断りたかったが・・・しかし、死んでいった者たちに報いてあげたいという気持ちはあり返答を考えたのである。



しかし、時はそんなことを考える時間すら与えてくれなかったのである。明智軍が侵攻してきたのであった。



相手は防寒対策をしており凍死したものはいなく万全の状態で山から下りてきたのであった。



もちろんこれを迎え撃つ軍勢はいなくただ敗走するのみである。この中で江里口信常がアーリナたちを逃がすために殿を再びすることにしたのであった。



しかし、明智は江里口信常が殿をするつもりであろうと考え先にアーリナの方に向かい捕らえることにしたのである。



アーリナは江里口信常の行動を無駄にしないように必死に逃げ出していたが残念ながら明智に先回りされて捕まってしまったのであった。





そこで再び二人は顔を会わせることになった。



「やあ、元気にしていたかな、時の魔女よ。大軍を引き連れてきたときにはやばいと思っていたが・・・運命は私に味方したな、もし大寒波がなければ私の負けであっただろうに・・・不幸なやつだなと思うよ。」



アーリナはただ悔しそうな顔をしながら何も返事をしなかったのである。そんな様子を見た明智は皮肉そうにアーリナに対して言うのであった。



「まあ、これから江里口信常も捕らえて二人一緒に殺してやるからそれまでは生かしておくからよ。そして・・・私が天下を取る瞬間を見ておくがいい。」



そして明智軍は江里口信常の方に軍を進めたのであった。それは明智軍に最後の抵抗軍である。これを打ち倒して天下は取れると考えていた明智はいろいろと考えながらついに江里口信常が率いる部隊の前についたのであった。



そんな時に明智がアーリナを引き連れて江里口信常の部隊の前で声を出して言うのである。



「江里口信常よ、お前の味方はすべて死んだもしくは捕虜になっている。おとなしく降伏すれば部下たちの命は保証してやるぞ。ただ、抵抗するなら皆殺しをする。返答はどうだ、江里口信常。もし、素直に降伏しているなら昔のなじみだ、楽に殺してやる。」



「明智よ、俺がそんなに怖いか。あの時に重傷に負わされたことがそんなに恐怖を抱いたのか。まさか、天下人になろう奴が人質を使うとは・・・それでは天下の笑いものになろうぞ。それにお前は俺を苦しめて殺したいはずだ、かつてそう言っていたしな。それをしたいなら人質を離したほうが良いでござるよ。」



「き、貴様は今の状況になってもそんなことを言うのか。それとも挑発して一人になったら勝てると思っているのか。」



「なら人質なんかしないで真正面から挑んで来いでござる。男同士、堂々の勝負をしようではないでござるか。どうした、明智、そんなに俺が怖いでござるか。」



明智は明らかに怒りで今までない表情している上に笑いながら



「もういい、人質なんか要らないな、はっはっはっは。武器も要らないか、誰がお前なんか、お前なんか怖くねぇ。野郎ぶっ殺してやるーーーー。」




こうして江里口信常の挑発が成功して自由の身となったアーリナはすきを見て逃げしたのであった。後ろに振り返ってみると二人の激闘が目に映るのであった。















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