第34話、決戦の地は・・・

明智はこの世界に来て恐らく今までないほどのダメージを受けたのであった。江里口信常に対してとどめを刺そうとしたが体がダメージを受けすぎて動けなくなっていたのである。




だが、それは相手も同じ状況であった。満身創痍で攻撃をして逃げる力も残っていなかったのである。そのために江里口信常はただ明智を見つめているだけであった。




これならば明智は江里口信常を部下たちに殺させることが出来ると思い部下たちに言うのであった。



「お前ら、動けなくなっている江里口信常を仕留めろ。絶対に逃がしてはならぬ。」




号令が下り周りに明智軍は一斉に江里口信常を襲うとしたがその時であった。江里口信常が突然、そこにいなかったかのように消えたのである。



明智は驚きと怒りを隠せないでいた。あと少しで倒せたはずの強敵を目の前で逃がしさらにここまでの重傷を負わせた、江里口信常が殺せないで・・・



「お・・おのれ、江里口信常・・・必ず・・・次こそは・・。」




明智はダメージの大きさでその場で気を失ったのであったが戦果は十分なほどであった。この一件で反対勢力が一気に消滅し国は一つにまとまった。



これで反乱の心配しないで最後に残っている土佐に侵攻できるのであった。そして土佐にはこれに対抗できる勢力は存在しておらずすべての者たちが力を合わせても明智軍に比べると十分の一ぐらいである。




まさに明智軍は大陸統一に王手をかけていた。




一方、アーリナはと言うとなんとか逃げ出して土佐に向かっていたのである。江里口信常が命がけで作ってくれた機会を失うわけにはいかなかった。それに犠牲になったソウナのためにも・・・・



そう考えていると目の前に突然、目の前の歪んだと思っていたら邪神と血だらけの江里口信常が出てきたのである。そして



「まったく、豪いぐらいにやられたな、このままではやばいと思ったから降臨したわ。」



「じゃ、邪神様、すみません。私がもっと良く補佐をしていればこんな事態には・・・。」



「過ぎたことはもう言うな、それよりもこれからのことだが・・・我、自ら軍勢を率いて明智を討伐する。最初は配下にでもよいかなと思っていたがあれは飼いならすことはほぼ不可能なことだ。なら弱いうちに処分をしなくてはならない。」




アーリナは明智を殺す言葉を聞いて少しばかり戸惑いを感じながらもあの恐怖も味わっており邪神が言っていることも正しいことかもしれないと思い異論は唱えることはなかった。




邪神は予想以上に明智の力が上がっておりこのままでは自分自身も殺される可能性が出てくると感じてここで明智を殺すことにした。さらにここで必ず明智を殺すために邪神はとんでもないことをしたのである。




「実は次の戦いには彼に不満や怒りを買っている敵の神々も共同作戦をすることにした。明智は元の世界で己の出身の国の神々に怒りを買ったみたいで明智の首を渡すことだけで協力を得てしまったわ。まあ、アイツの自業自得と言うべきところだな。そしてアーリナには苦労させてしまうかもしれないが頑張ってこの使命をやってくれないであろうか。」




アーリナは次の戦いはこれまでないほど重要なことを理解したうえで承諾をするのであったが心のどこかでは後悔の念があったのである。



明智とはこうして戦う道しかなかったのかとほかに道はなかったのかと自分自身に問いただしてみても答えは返ってくることはなかった。




そして邪神は神々と合流地にアーリナと傷だらけの江里口信常を連れて向かったのである。アーリナはおそらくそこが明智と決戦する地になることを予想しながら・・・




それから数日後には明智は完全に回復しておりいつでも出撃の準備を終えて最後の遠征軍を起こすことは発表して軍を起こしたのである。



遠征軍はほとんどの抵抗らしい抵抗もなく西土佐を完全に制圧が終わり残りは東土佐のみとなり進軍を再開したのである。そこで明智はとある違和感を感じたのであった。




敵の抵抗がいくらなんでも弱すぎると感じたのである。いくらまだ半分とは言えわずか十日で制圧が完了すると思っておらず、これはどこかで連合軍が待ち受けているのではないかと思い、兵士たちに偵察をさせながらゆっくりと進軍したのであった。




三日後には報告が明智のもとに届いたのであった。やはり連合軍は一か所に集まっておりしかも敵軍が豪華なメンバーであった。




裏切者のアーリナ、江里口信常にこの世界に転生させた邪神にさらに日本で戦の神とされているスサノオとそれに従う日本の神々。



数もほぼ互角になっておりそれに対して主力中の主力は己のみであった。明智は自然と笑い出したのである。




「なんと楽しい面子・・その上にこちらは主役は一人だけ・・・こんな状況に置かれたら嫌でも笑いが込み上げてくる。まさに決戦・・・大陸統一する戦いにふさわしいものではないか。」




明智はその場所の地名も気に入っていた。それはかつて先祖の明智光秀が羽柴秀吉と決戦した場所と同じ地名であったのである。運命に感じざる得られなかった。




決戦の地は・・・・土佐山崎、そこでこの大陸・・・世界の運命を決める戦いが今、まさに起きようとしていた。




この戦いの勝敗はどちらに転ぶかはわからなかったが・・・わかることはどちらが勝っても大きな傷を残すことだけはアーリナはわかっていた。



アーリナは不安が大きくなっているにもかからず、時間は待ってくれなかったのである。それはすでに今の自分ではどうすることもできないことを現しているかのようにも思えたのであった。



かつては時の魔女と呼ばれていたが・・・時が味方になってくれることは決してなかった。



なぜなら・・・・



「時は今、大陸統一するときぞ。すべての力を出し尽くせ、全軍かかれー。」



明智の号令と明智軍のほら貝がこの一帯に鳴り響き、戦いがついに始まってしまったのであった。















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