第31話、急速な勢力拡大は・・・

明智は今回の会議で周りに味方がいないことを改めて思い知ったのであった。


自分の考えに賛成してくれるものは誰もいなくただ孤独であったがそれでもやめるわけにはいかなかった。今、無理でも攻めて領土でも拡大しないといずれはこちらがやられてしまうからである。



それと土居たちの約束を一日でも早く成し遂げてあげたいという気持ちが明智を突き動かしていた。



こうしてほとんどの者が反対される中、明智は無理やり作戦に移ったのである。



その作戦は本当に効果が出る結果になりまず手始めに淡路の国に先ほどの作戦を開始したらわずか三日で制圧を完了してしまったのである。



この速さには流石の明智もそうであるがほかの幹部たちも驚きを隠せないでいたがその光景は余りにも悲惨であったためにやはり幹部たちは総反対した。



特にソウナは一番強く反対した。このままでは明智も自分が嫌っていた神みたいになってしまうから今からでも止めようと必死であった。




「お父さん、このまま本当に続けていいと思っているの。このやり方は神々と何も変わらないじゃない。私は・・・お父さんにそうなってほしくない。だから、今からでも・・・」



「そうやって辞めますと言ったら・・・先ほど淡路の国を手に入れるために死んでいった者たちはどうする。ここでやめたらあの者たちの死は無駄になってしまう。そんなことはしたくはない。済まないが・・・・私はここで止まるつもりはない。」




「殿、ですが、国民は不満を持っているでござる。国民がついてこなければ戦いも出来ないでござるよ。」




江里口信常はもっともな理由をつけて戦いをやめさせていただこうとしたがここで明智はとんでもないことを言い出すのであった。それはその場にいた者が全員驚愕するものであった。




「その点で心配する必要がない、今度の先陣をしてもらうのは・・・先ほど淡路の国で吸血鬼化した者たちを行かせる。そのため、こちらから特に動く必要はない。」




明智の非道な作戦にあまりにも驚きすぎて何も言えなくなったのである。もちろんのことかなり利が叶っていることは確かであるが・・・



そんなことは絶対にするべきではないと誰もがそう思っていたが誰も明智の意見に反対する者はいなくそのまま決定になり評定と言う名の形だけの会議はその日も特に変わることなく終わるはずであったが・・・



ここでどうしても納得がいかない者がいた、それはアーリナである。



アーリナは確かに明智には大陸を統一してもらいたいがこんなやり方で統一してもいずれは崩壊するだけであるため、できる限り阻止しようと江里口信常とソウナを呼び止めて三人で話し合うことにした。



「二人とも大変忙しい中、集まっていただきありがとうございます。私が話し合いたいことは・・・・。」



「言わなくても分かるでござるよ、どうせ殿の話でござろう。最近の殿は人の意見なんて完全に無視でござるからな。」



「私もいい加減に本来のお父さんに戻ってほしいから協力は惜しまないよ。でも・・・方法は全くないのが・・・。」



そんな場の空気がある中でアーリナはとんでもないことを提案に出すのであった。



「正直に言って最後の手段があるのだけれど・・・言ってもいいかしら。これを聞くとこの作戦に反対するかもしれないけど・・・。」



「構わないでござるよ、どうせ頭がいいお前が考えて残されたのがそれしかないと思うから、言ってほしいでござるよ。」



「・・・・では言うわね・・・・明智様に対して謀反を起こすのよ。」



二人は最初こそ驚いたが次第に冷静になり理由を聞くのであった。アーリナはどうしてそれを選んだのかを説明したのである。




「では説明するわ、今、現在の作戦にほとんどの者が反対している。もちろんこれは軍だけでなく民も多く反対している。これを明智様にぶつけて今のままでは国に味方がいないことを行動で示すの。もちろんこれは立派な裏切りになるわ、負けたら最悪・・・死刑も考えられるけど、それでもあなたたちは協力してくれるかしら。」



「もちろん、協力するでござるよ。今までの中で一番現実的にできそうなことでござるからな。」



「私もお姉ちゃんの作戦が一番いい気がする・・・お父さんには嫌われるかもしれないけど・・・でもこのままの方がもっと嫌だだから協力する。」




「二人とも・・・ありがとうございます。それでは作戦の内容をお伝えいたしますね。」




そうして明智が知らないところで謀反の準備を進めているアーリナたちであった。この行動は明智は知る由もなかったが・・・




誰かが謀反を起こすことは実はすでに明智の中で想定されていたのである。独裁者みたいなことをすれば必ずと言っていいほど誰かが反勢力を立ち上げるのは歴史が証明している。



そのために誰にもばれない様に明智の方でも準備をしていたのであった。反勢力を一気に叩くための策を練りながら今かと今かと待ち受けていた。



その中にアーリナは必ず入ると考えていたために彼女の頭の良さを逆に逆手に取る作戦を準備していたこともアーリナたちは知る由もなかった。




こうしてお互いに内密に計画をしているうちに明智軍はどんどん領土を拡大していったのである。



淡路を取ってから半月後には讃岐の国を完全に制圧しそのさらに半年後には阿波の国も完全に制圧して残りは土佐のみとなった時に二人が内密していた策がぶつかり合うのであった。





これが明智軍、最後の内乱になるのであったがそれは誰にも知る由もなく大陸の戦乱は確実に終焉に向かっていくのであった。
















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る