第30話、この出来事を評価するのは後世の者たちだろ

明智は会議の準備が終わると会議場に戻ってきたのであった。周りの者たちは明智に対して恐れもしくは怒りの表情で見つめるのである。



しかし、明智はそんなことをされても気にせずに話し始めたのである。その内容はこれからの方針の話であった。



「皆さんに集まってもらったのはこれからの方針の話をしたいからです。まず、先ほど私は大陸統一すると宣言しました。初めにこの伊予の隣にある讃岐と淡路の国を奪いたいと思っています。」




その中で反対をする者がいた、それは江里口信常である。江里口信常は己の考えを明智に言うのであった。



「先ほど、土佐には国と呼べる勢力がないと言ったじゃないでござるか。それだったら先に土佐を攻めたほうが良いじゃないでござらないが。」




「確かに土佐を攻めとることは確かに簡単なことですが・・・問題はその後です。南になる土佐はこの大陸の中でも大きい国です。今の兵力では土佐を手に入れて守ることに精一杯になってしまいます。それでは大陸統一はできません。そのために小さめの国、讃岐と淡路の国を奪いたいと考えました。何か、意見がありましたら答えてください。」




江里口信常は先ほどの光景を見ていたために明智に対して一矢報いさせてやろうとしたが逆にやられたせいでむしろさらに怒りがわいて・・いっそのこと明智を斬ろうかなとも考えたが。



しかし、明智は江里口信常の殺気に気がついており手の動きをよく見ていたのである。そのために江里口信常も何もできずにいた。




一方、ソウナも江里口信常の考えを賛成して協力しようとしたが明智は一瞬のすきも見せないでいた。それに相手は神も殺す、吸血鬼である、下手に動けばこちらが返り討ちに会うのは前から知っていた。





そんな場の空気が漂っていたがそれでも明智は話を続けるのであった。そこでまたしてもとんでもないことを口に出したのである。




「そしてこの讃岐と淡路に関しては直接的に攻め込むことはしません。ですが、攻め込むことよりも残虐ですが・・・・私は一部の人間たちを吸血鬼化させて讃岐並びに淡路をそうして落としたいと思っています。これでしたら相手も前の戦で疲れ果てていますがそれはこちらも同じことです。」





「だからと言ってそんなことで攻め落とすなんて・・・駄目だと思います。ここは正々堂々とするべきです。」




「そうして被害を出すのはよくないです、いくら非道でも最終的に生き残り目的を果たさないといけません。たとえ、どんな手を使っても・・・ね。」




こうしてその場いた大半は反対したがもう半分は黙り込んだのである。それは明智の内容はとても利にかなっているものだからであった。



確かに力はできる限り温存はしたい上にこれなら確実に領土は大きくなり、それに占領地による民の反乱の心配もない。そのような考えている者も多くいたが一部の者たちからには猛反対されたのであった。



ここでアーリナが会議に参加を始めたのである。いくら悲しくてもここで立ち止まってしまえばもっとひどいことになると考え明智の意見に対してこう考えを伝えたのであった。



「それをやれば民の信用はなくなってしまいます、それにこの出来事が知れ渡れば明智様は歴史に名が残る・・・悪党になりましょう。」





「時の魔女よ・・・・そんなことはむしろ光栄だ。私はこれから歴史に対して悪名を残すつもりだ。大陸を統一するために悪逆の限りを尽くした、悪党として名前を残す・・・だから、時の魔女よ、いくら言っても私の考えは変わらない。」




アーリナはもうすでにいくら言っても考えは変わらないつもりであることに気がつき何も言い返さなかったのである。自分はすでに明智にとってはどうでもいい存在となってしまったのだなと改めてそう感じたのであった。





もちろん、ソウナに江里口信常はこの内容を聞いて明智を必死に止めようとしたが明智は止まるつもりはなかった。




江里口信常は最終手段に出るのであった、それは明智に対して下手にすれば反逆罪となってしまうかもしれないがそれでも止めないとならないと考えひそかに背後から不意打ちをするのであった。





これをアーリナとソウナは流石にやばいと思い江里口信常を止めようとしたが先に明智が江里口信常に向かって言うのである。




「江里口信常・・・吸血鬼はあんまり私が吸血鬼らしくないから忘れているかもしれないが夜目が良いだよ・・・・だから、そのような不意打ちはお見通しだ。」



攻撃したはずの江里口信常が逆に反撃を食らいその反動で飛ばされたのである。それを終えた明智は会議にいる者に対して



「皆の者、よく聞くがいい。意見に反対するのは別に構わない、密かに私のことを怒ったり馬鹿にしても何もしないが・・・もし、直接的に私を邪魔すると江里口信常のような目に合う。それだけを忘れないでくれ。」



その場にいた者たちは了解をしたかのように静かになった。明智の次に強いじゃないかと言われている江里口信常がこのありさまである、自分たちがいくら逆らっても勝ち目はない上に命の危険になるかもしれないという恐怖が会議に参加していた者たちを支配していた。




こうして反対するもいなくなり会議は明智の意見を採用する形になってしまうのであった。




ソウナ、アーリナさらに江里口信常はどうにかしようと考えるがどうしようもなかった。それほど実力の差が出ていたのであった。



三人は悔しそうにしながらその場を後にした、ほかの者たちも後に続くかのように消えていくのであった。



残った明智は誰もいなくなった会議場で一人つぶやくのであった。



「上に立つ者は常に孤独と言うけど・・・これがそうかもしれないな。けれども、これは未来のため・・・そして土居たちの理想のため・・・私は歴史の悪党たちよりもさらに上に行く悪党になろう。たとえどのような結末が迎えようともな。」




明智はさらに決意を固めて自分の考えの作戦を始めるのであった。たとえ、民たちにどのようなことを言われても最後までやる覚悟をしていた。



もう、明智を言葉で止められるものはこの世界はいなくなってしまったのであった。

























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