第29話、個の幸福を捨てた悪党
明智はそれから間もなく萩森城に赴いたのである。その姿に大半の人たちは安心した表情したのであった。
もちろん、ソウナもアーリナも同じ感じであった。ようやく元の生活に戻れるなと思っていた・・・しかし、その思いは違うことにまだ気づいてはいなかった。
城に戻ってきた明智はすぐに自分が長い間、不在であったことに謝罪をするのであった。
「長い間、私が不在で申し訳なかった。これからは復帰し国をさらに繁栄させるように努力をする。これからも私を支えてくれ。」
これを聞いた民や将兵たちは喜んだ、これで平和な生活が戻ると思われていた、次の瞬間、明智が思わぬことを言い出すのであった。
「平和になったところで誠に申し訳ないが・・・これからはさらに国を大きくするために大陸統一するための行動を開始する。これからは下手にすると今までよりも大変なことがあるかもしれないが協力してくれ。」
この言葉で先ほど歓声近い状況から一転、暗い状況になったのである。それもそのはずだ、これ以上の戦いはだれも望んでいなく、戦う意味が分からなかったのであった。
「お待ちください、明智様。どうしてまだ戦いを起こそうとするのですか。伊予と言う大きな国を一つに統一されたのですよ。民も平和に暮らせるだけの領土は確保できました。それなのになぜ?」
「そうだな、今のうちに私の考えを教えることにしよう。私の考えは・・・どこかの勢力が残っている限り、本当の平和は訪れることはないと考えた。そのために未来のためにも大陸を統一する必要が出てきた。」
明智の考えはわかったがなぜ今のかは誰もが気になったのだがすぐに明智はそれを察知して理由を述べるのであった。
「みんなはなぜ今なのかと知りたがっているから教えておこう。今、この大陸で一番大きな勢力を持っていた神々は我々の手で大きな痛手を受けた上に南の方にある土佐は未だ、国と呼べるものはなく制圧を簡単だ。今を逃すと今度・・・いや、下手にするとこれが最後の大陸統一する機会になるのかもしれない。」
アーリナは確かに利にかなっている考えであったが・・・それ以上に明智は何か急いでいるように感じられた。
それも確かめるべくアーリナは明智に対して問いただすのである。
「明智様は何か急いでいるようにお見えなります。何か、あったのでしょうか・・私でも宜しければ教えていただきたいのですが。」
「・・・簡単なことだ、私にはこれしか道がないからと言うべきであろう。それもそれしか道を残さなかった・・・アーリナのおかげでがな。」
アーリナはどうして自分のおかげなのかと聞いた瞬間、明智は人が変わったかのようにアーリナに対して
「誰のせいでこれしかやることが無くなったと思っていやがる、そんなことも分からないのか、貴様はそんなに私のことが憎いか嫌いなのか、そんなに私のことが否定したいならどこかに行けばいい・・・・・済まない、少しばかり言い過ぎた、許してくれ。」
最後はアーリナに謝罪をしたがアーリナにとってはそんなことはどうでもよかった。今は明智の本心を知ってしまったから。
自分のことが嫌い、憎いと心の底からそう考えていたのである。それも好きな人にそう思われていたのであった。自然と涙が出てきたのであるが明智はそんなことを見ても何も感じてはいなかった。
正直に言って明智はすぐにでもアーリナを殺してやりたいところであるが大陸統一するためには必要な人材でありなおかつ民にも慕われており下手に殺すと内紛が起きる可能性が大きい、それだったら個人の恨みは置いといてアーリナを使うことにした。
ここで明智はアーリナに対してとどめを刺すかのような言葉を出すのであった。
「それからアーリナ・・・今度からお前のことを時の魔女と呼ぶ。名前で呼びたくないのでな、それぐらいはわかってくれ。それと仕事以外で私に関わるな、それを守ってくれるなら別に私はお前に対して何もしない・・・殺しも助けも・・な。」
ここでソウナが明智に対して不満そうな表情で質問したのである。
「・・・アーリナ姉ちゃんの地位はどうするの、もし・・・。」
「もちろん、個人の恨みでそんなことはしない、それに時の魔女は前の戦いの功労者だ。そのために時の魔女にはいなくなった土居たちの権利をすべて任せることにする。だから・・・好きなようにして構わない、時の魔女よ。」
そう言って明智は作戦会議の準備をするために一度、会議場から姿を消したのであった。その直後、アーリナはついに感情を隠せないほどまで悲しくなり号泣したのである。
「私は・・・・私はこんな大きな権利が・・・・欲しくて・・・頑張っていたわけではないのに・・・どうして・・・どうしてなの。」
その場にいた、家臣たちは余りにも哀れなアーリナに対して何も言えなかった。アーリナがこの軍に入った時から明智が好きなことはほとんどの者が知っておりひそかに応援していたが・・・まさか、このような結果になるとはだれも予想していなかった。
それと同時に家臣たちは明智に対して不満や怒りを積もらせることになってしまった、それほどアーリナはいろんな人に慕われていた。
この場にいた、ソウナもこの出来事を境に明智に対して甘えることは一切なくなったのである。
そして将兵もこの話を聞いて明智に対して疑惑を持つようになりそれが人から人へ伝わり民までもが・・・次第に明智に対して遠ざけるようになっていくのであった。
明智はもちろんそんなことに気がつけないでいた。今、明智の目に映っているものは土居たちが望んだ世界を作ることだけであった。
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