第25話、大勝利の戦後処理

この戦いは誰もが予想しない結果になったが、一番この結果でうれしくないのは土居たちであった。



土居たちは勝つ見込みはないと見込んで寝返ったがいざ、戦ってみると明智軍の大勝利に終わってしまった。



こうなると土居たちは寝返った国に行くことも出来ずさらに明智軍にも戻れない最悪の状況だったのである。どうしたらいいかと思案をしていたのだが



「某はここは逃げるのが上策かと思うでござる。幸いなことにお互いに勢力が及んでいない地域があるでござる、そこに逃げ込めばあるいは・・・。」



「いや、ここは素直に謝るべきよ。明智はそれに馬鹿だからうまくいけば裏切りは誤報だったと思ってくれるかもしれないし。それに到底逃げ切れるとは思えない。」



「母上に土居さん、ここは今、この瞬間に弱体化している明智軍を攻撃するべきだと思います。うまくいけば伊予はそのまま私たちのもになる上に・・・私的にもうれしい方になりますし。」



見事に三分裂していたのであった。ここまでくるとどうしてお前たちはまとまりがないだと言いたいぐらい分裂していた。本来ならこんなことをしている場合ではないのに。



そんなこともしている間にも神の軍勢を蹴散らした明智軍は刻一刻と迫ってきていた。それで三人が出した答えは・・・





明智たちは神の軍勢を追い払って残った裏切者の討伐に向かっていた。このままにしておくにはまずいとみんなが考え行軍をしていたのである。




行軍をしている途中で土居、リアーナ、族長が三人武器を捨ててこちらに来たのであった。それは降伏をしたいようである。



明智はとりあえず話を聞いてみないことには何も始まらないと思い三人に問いただしてみたのであった。



「なぜ、お前たちは私を裏切った。余程の理由があったのであろうか。」



それを聞いた土居が重い口を開き話をするのである。



「今回の戦いの前に実は神から密書が届きましてこちらに寝返るなら種族の独立を保障してやろうと書かれてありまして。某はどちらが種族のためになるか最後まで悩みましたが・・・最終的に寝返りの方を選んだのでござる。」



続くように族長も話をするのであった。



「我々、エルフも似たような内容でしたので土居と一緒に行動いたしました。本当なら裏切りたくはなかったのですが・・・どうしても勝てないと思ってしまいまして・・・裏切りました。」




明智はそれならしょうがないかなと思うのであった。自分ではなく種族全体のために行動したというのなら裏切りも仕方がないことだったかもしれない。それに今回は普通なら負け戦、種族のためならむしろやって当たり前である。



そのために明智は今回ばかりは許すと言おうとしたその時であった、ここに明智と反対の考えをしていた者がいた、アーリナである。



「それで明智様を裏切ってそれでこちらが勝つと言い訳して許してもらえるなんて・・よく考えたわね。普通なら恥ずかしくてできないことなのに・・・素直に責任をとって死になさい。部下たちまでは殺さないでおくから・・・上の者として責任を取りなさい。」




アーリナはその場、しのぎなのはバレバレでこの者たちは放置でもしていたら後々災いのためになると感じ、土居たちに自害をするように言うのであった。



しかし、ここで猛反対する者がいたのである、明智雅であった。



明智は正直に言って土居たちに何かしらの罪は償ってもらうつもりであったが死罪では流石にやりすぎだと思いアーリナと話し合いが始まったのである。



「アーリナ、種族のために思って行動したんだ。一度の裏切りぐらい許してやってくれ、次にまた裏切ったら自害もしょうがないかもしれないが一度ぐらいなら許してやってもいいじゃないか。」



「ダメです、この者たちは生かしておくと明智様の障害になります。それに明智様はお人好しですからそれをうまく利用して生き残ろうとするのがバレバレです。ここは土居ならびに族長、リアーナの三人は死罪するべきです。」




「だから一度の裏切りで死罪は重過ぎる、罪は償うのは当然だが死では大きすぎる。そればかりは認めたくない、それに上の責任と先ほど言ったな・・・それだったら一番上の私が罪の責任がる。彼らが裏切るしか道がなかった状況を作り出した、ある意味に言ってしまえば一番の加害者とも言えるだぞ、私は。」




このように明智とアーリナの話し合いは水平線をたどったかのように思えたがここであるものが口に出すのであった。



「アーリナ殿、ここは榊原康政の顔を立てて殿の意見に賛同してくれないでござるか。殿には数えきれない恩があるでござる、ここは恩人がここまでしてお願いしているのでざる。アーリナ殿も言いたいことはわかるでござるが・・・どうか、今回の功績はすべて無しでも構わないでござるから・・・どうか。」




正直に榊原康政まで向こうにつくとは思ってもいなく驚いたがアーリナもここで許してしまうと軍として・・・国として乱れてしまうことになる。それだけは阻止をしたくてアーリナは



「ならここは部下たちの意見を取り入れるのはどうでしょうか。多数決で多い方の意見にするというのはどうでしょうか。」




明智はそれで構わないと言って兵士・・部下たちに聞いてみたのであった。そこで返ってきたこと言葉は余りにも予想もしていないものであった。



ほとんどの部下たちが三人の死罪にすることを賛同していたのである。明智はどうして自分たちの族長たちを殺そうとすると聞いた。



部下たちは昔から部下に対して厳しく人望もなかったが実力だけはあり族長の座を奪うことはできず苦しい日々であったらしい。



だが、明智は・・特に土居たちは一番古くから国造りをした者たちでありどうしても受け入れられないものであった。たしかに厳しい面もあったがそれは種族、仲間のためであって明智はそう信じていた。



それでも現実はわかることはない。多数決の結果、アーリナの意見が多く決まってしまったのである。



明智は言いたくない言葉だが上に立つとして言わなければならないと涙をこらえながら



「・・・・土居・・・ならびに族長にリアーナは・・・後日・・・処刑する。監獄に連れていけ。」



その言葉で部下たちはすぐに動き土居たちを連れて行くのであった。その後に残った明智はついに涙をこらえることが出来ず泣いたのである。



その姿はアーリナも驚いていた、戦場ではいくら傷を負っても泣かなった人がこの場で泣いたのである。



アーリナは正しいことをしたはずなのにどうしてここまで泣く明智が分からなかったのである。



それと明智が泣く姿を見て、アーリナに対して殺気を出す榊原も無言でただアーリナに対して仇のような顔をしてただ見つめていた。



そこでずっと最初から見ていたソウナも戦いよりも恐ろしい狂気・・・かつて蟲毒の時に感じていたものと似ておりその場から逃げ出すのであった。




そしてほとんどの者がその場から立ち去り残ったものはアーリナと江里口信常のみである。この時に江里口信常がアーリナに対して言うのであった。



「時の魔女さん、俺は難しいことはわからないからあんまり言えないけれどわかっていることはあるぜ。時の魔女さん、このあとは恐らくだが今日の戦いよりも大変なことが起きると思うぜ。」



「どうしてそう思うのですか、何か根拠でもあるのですか。」



「根拠に近いものがある、それは今ので絶対に明智殿はお前に対して嫌いになったことに・・・時の魔女さんも見ただろ、榊原の顔も。あれは武士の誇りに傷をつけられたときの顔だ。俺も武士だから分かるけど・・・。」



アーリナは江里口信常が遠回ししすぎて時間がかかると思い素直に言ってくださいと言ったら



「簡単に言う、榊原の行動には警戒しておけ。それと時の魔女さんは正しいことをしていると思うが・・・それが最善の結果になるのかは別だぜ。じゃあな、頑張れよ。お前の勝負は恐らくここからだぜ。」



アーリナは江里口信常の言葉が少ししか理解できないでいた。どうして正しいことをして最善にならないのか。幼い時から才女として育ってきており優れているが・・・経験はないのであった。




後にアーリナは江里口信常が言っていた言葉の意味を理解することになってしまうのであった。




































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