第21話、天才と馬鹿は紙一重
明智軍は伊予を統一するべく北伐を開始したのである。軍勢の編成は
先陣に榊原で中陣に明智とアーリナさらにソウナの姿もあった。後陣に土居、族長にリアーナが配置になっていた。
アーリナはこの戦いの前に明智に対してあることを知らせるのであった。
それは土居ならびに族長、リアーナに不穏動きがありますと伝えたが明智は気にすることではないと返すのであった。
訳も話してあげたのであった。
「この戦の前に土居たちはもう勝った気でいるのか宴の準備にドッキリを仕掛ける気であろう。それもたちが悪い裏切りドッキリとはな。今回は笑って許すつもりだが次回からは限度も考えてくれと言うつもりだ。」
「……それは完全に裏切る気満々じゃないですか。絶対にドッキリじゃないですよ。どうして明智様はそう考えになったのですか。常識に考えてください。」
「だって私に隠しているつもりであろうがバレバレでいる時点で全く警戒していないしそう考えたら恐らく戦いが終わったら後ろから攻撃する演技を見せてドッキリと看板でも出すのであろう。あらかじめ知っていればドッキリの意味がないと言うつもりだ。」
アーリナはこのあとの戦いに物凄い不安を抱きながら戦場に明智たちと向かうのであった。出来ることなら明智の予想が当たっていることを祈るばかりである。
このの内に妖狐族と合流して向かって来ている神の軍勢を迎えうちのであった。決戦場所は天然の要塞になっている場所をうまく使い大勢の有利をできる限りなくす地形に陣を引いたのである。それもこちらの領土に入るためにはどうしてもここは抑えとかないといけない場所であった。
馬鹿なのか頭がいいのかわからない明智であったが地の利を得ることはわかっていたみたいであった。さらに言えば敵の情報もかなり持っていたのである。
敵の兵糧の量にその場所も分かっておりさらに敵軍の編成もあらかじめに確認しており正直に言ってかかってきても勝てる自信はあったのである。これには榊原も
「殿、これなら相手が大軍でも勝てますぞ。残りは我々の槍働きのみでござるな。」
これを聞いたアーリナは確かに裏切りさえなければ勝てるが・・・もし裏切りが出ればこの地形はすごくまずいことになる。それは万が一負けるようなことがあれば逃げる先を守っているのは土居たちである。すなわち包囲されてしまう危険性があった。
だが、それはあくまで可能性であり本当は裏切らないで明智の言うとおりにドッキリの可能性もある。アーリナは本当にそうなってほしいと思い続けるのであった。
それから天然の要塞に陣を引いて三日後に神の軍勢は到着するのであった。数は目を見てわかるほど圧倒的であるがそれでも大将の明智は恐れている気持ちはかけらもなかった。
「よくぞ、来たな、神の軍勢たちよ。お前たちは何の大義名分で戦いを起こした。神に言われてか、それとも名誉のためか家族のためか。どちらにせよ戦場に一度でも出たらそこは善、悪もない場所となる。死にたくない者は今すぐにここから立ち去れ。逃げるものまで殺そうとはせぬ。」
まさしく威風堂々で二万以上の敵兵にそう言うのであった。ついでに言った理由はごく単純で敵の士気を低下させたらいいなと一度は言ってみたかったセリフでもあり素直に楽しんだのであった。
だが敵の大将、アポロンが
「簡単なことだ、お前たちは神々に従わないからだ。素直に従おうとしない種族はすべてこの世から消えるべきなんだ。これ以上に理由なんてほしいか、吸血鬼。」
「・・・そんな理由で戦を起こすのか、貴様は。どこまで馬鹿なやつなんだ、こんな奴が神々の上に立つべきではない。私がこの地で引導を渡してやろう、覚悟するがいい、太陽神、アポロン。」
お互いの軍勢は開戦準備・・・戦闘準備を終えて合図を待っていたのである。そこにお互いの大将がほぼ同時に
「敵はわずか五千だ、蟻のように踏みつぶせ。」
「我らの信念を神々に見せつけろ、突撃ーー。」
そうして戦いの火蓋は切って落とされたのであった。両軍、山と谷がある場所で改選するのである、戦いは互角の状況であった、いくら二万以上いると言っても戦っていない部隊は存在しておりそれに引き換え明智軍はほとんどの部隊が戦いをしていた。
数は圧倒的に明智側が不利であるが一人一人の強さも明智軍の方が上であった。しかし、それでも一人一人の体力には限界がある。そのために明智軍自体も押し出せない状況であった。だが、わずかの兵だけで互角に戦えているだけにあって兵たちの士気は高かった。
そのために初日はお互いに決め手がなく引き上げてそれから数日はにらみ合いが起きたのであった。流石の数では圧倒的に有利なアポロンでも真正面から戦うのは得策ではないと考え次の手を打つのである。それは・・・
「これから土居清宗ならびに族長、リアーナはアポロン様の指揮下に入る。敵大将、明智雅を討ち取れ。それさえすれば我が種族は安泰だ。」
土居ならび族長にリアーナはこの均衡状態の時に謀反を起こすのであった。だが、この謀反はほとんどの者たちにばれており全然驚かれなかった。なぜなら謀反の兆しがあるとアーリナが兵士たちに伝えていたからである。だが、それでも数が減って地の利もほとんど失った状況では味方の士気も一気に落ちるのであった。
謀反起こした者たちは五千のうちに一部の妖狐族に土居派の龍人に族長側のエルフたちが寝返り五千から二千まで減ったのである。もちろんアーリナは大将はすでにこの事態に気がついて考えていやしゃると思い明智のもとに向かったら
その謀反の報告を聞いて顔将軍みたいになっている明智がいたのであった。まるで全然そんなことを予想していなかったかのような顔である。
「そ、そんな・・・・土居さんたちが・・・寝返るなんて・・・嘘だ、誤報だ、ドッキリだ。」
「嘘でも誤報でもドッキリでもありません、明智様、このままでは全滅します。どうかご判断してください。退却か軍を見捨てて逃走か。」
それを聞いた明智は先ほどの驚いた顔から一気にカリスマある顔つきに戻り残った二千に対して言うのであった。
「・・・アーリナ、俺は退却でも逃走もしない。ただ・・これから最悪の状況のために残しておいた秘策を使う。皆の者、これさえ成功すれば一気に逆転はできる。策の協力をしてくれ。」
明智はこんな状況に置かれてもなお勝利を諦めていなかったのである。それはただの馬鹿かそれとも余程の天才なのかはこの一戦で証明されることになるのであった。
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