第18話、時の魔女

明智は何かの違和感を感じて目を覚ますのであった。その違和感は娘のソウナの仕業である。なかなか起きてこない母さんを起こそうとしたがついついお母さんの布団に潜り込んでつい寝てしまったのである。やはり母となった女性は偉大なのであろうかと思うぐらいであった。



明智はせっかくなのでできる限り起こさないように静かに出たが出た瞬間にソウナは目を覚ましたのであった。娘は明智に対してどんなセンサーをしているのかと思うぐらいに明智が出た瞬間に目を覚ますのである。



「お母さん、おはよう。」



「うん、おはよう、ソウナ。今日も元気いいわね。起こしに来てくれたのはうれしいけど一緒に寝たらあんまり意味がないでしょうに。」



「全然、意味があるよ。お母さんと一緒に寝れてうれしい。だから今日も元気だよ・・・でも怖い夢を見たの。」



明智は気になり夢の内容を聞いてあげたのであった。娘がさすがに怖いと言っているので母としてはほっとくわけにはいかず娘の話を聞くのである。その内容は大雨のせいで土砂崩れが起きてたくさんの人が死んでしまう夢だったらしい。たしかに怖い夢でもあるし現実的な夢でありまるで正夢かのような夢であった。




明智は落ち込んでいるソウナに頭をなでてあげて夢だから大丈夫だよと言うのである。ソウナもそう言われて元気になり女性の姿になっている明智と共に行くのであった。



そうしてまず最初にやり始めたことは朝食の準備であった。娘の世話もしているから朝食はかなり真面目に作るのであった。毎日、同じものにならないように努力をしていた。一人の時は毎日、朝食は同じものになっていたから。




ソウナは笑顔に食べていて明智は良かったと思いながら今日のことを考えるのであった。確かに娘との交流は大切なことであるがだからと言って国のことも忘れてはいけない。毎日、毎日忙しいがこれは前の住んでいた世界でも同じことであった。ほぼ毎日、十五時間働いていたのである意味慣れていた。



そうしながら朝食が終わりソウナとともに城や城下町が作れている場所に向かうのであった。まだ作られている途中でまだ明智が指示をしないといけないところもあるためにそして娘とできる限り一緒にいられるようにするためにあらかじめに榊原、土居もしくはリアーナ辺りに計画を伝える必要があった。




今日もそんなに変わりなく平和な日だなと思っていたら向かっている途中で見たこともない魔女らしき者が街路樹で一休みしていたのである。明智はまさか、敵の偵察ではないかと警戒したのであった。



ソウナも少しばかり不安な顔をするのであった。明智はできる限り敵ではないことを祈っていた。そうして自然と通り過ぎしようとした時に



「あら、こんな変わった人がいるから警戒でもすると思ってけれど・・・油断でもしていると・・・。」



そう言われ明智は急いで先ほどの魔女の方に振り向いてみると消えており、さらに明智にとって衝撃なことに気がついた。近くにいたはずのソウナも消えていた、急いで周りを探し始めた明智であったがどこからかまた声がしたのである。



「ほら、大切な娘さんがもうこちらの手に・・・痛い、痛い。腕に嚙みつくのはやめてくれない。それに意外に痛いですけど・・・この子、もしかして神様だったりする。」



「神様じゃない、清美お母さんの娘だー。」



「そうじゃなくて、あなたはもしかして・・・だから痛いから噛み続けるのはやめて放してあげるから。」




そうしてソウナを放したのである。ソウナは急いで明智のもとに走って向かった。一方、明智は警戒心を魔女に対して出していた。先ほどの行動が未だ理解ができておらず次に来る行動に対してできる限りの準備をしていたが



「少しばかり遊びすぎたことは謝ります。私はアーリナです、ある御仁にこの世界にいるとある人物に力を貸してやれと命令されてきた次第です。ですのでこの世界はどんな風になっているかは知りません。出来ることなら少しだけでもいいので教えていただけないでしょうか。」



「怪しいから教えてたくない気持ちもあるし娘も一瞬とは言えさらったから・・・と言いたいところですけどそちらの方がひどいことになっていますから教えますわ。この世界のことそしてこの辺の状況を。」



魔女はソウナにかなり強くかまれそれなりの怪我をしていたのであった。まあ、完全に自分のせいであるが・・・。



そうして明智は魔女に対してこの世界のことやこの辺の最近の出来事を教えたのであった。そうしたら魔女、アーリナはこういうのであった。



「なるほどわかりました。教えていただきありがとうございます。それとできることでしたらその吸血鬼の明智雅さんの居場所を教えていただけないでしょうか。実は私は邪神様にその吸血鬼の明智の手伝いをして来いと命令されてきたのです。邪神様から聞くとかなりのイケメンで強い方と聞いております。」



明智はそれ完全に誰?状態であった。自分はイケメンでもなく強くもないし強いて言えば体の十三体のうちこれはかなりの美人に入るぐらいしか考えられなかった。




だが、この名前は自分しかいないのもまた真実ではあり、恐らくだが邪神が過大評価で言ったに違いないと感じて目の前の魔女、アーリナにどうやって謝ろうかと考えるだけであった。そうもしているうちに向こうが



「私、見ての通りにブサイクなのでこれを逃したら一生、男なんてできないと思っています。ですからどうか同じブサイク同士、助けていただけないでしょうか。お願いいたします。」





明智はいやいやいや、かなりの美人もしくは美少女とも言えるかもしれないほどですよね。むしろこんなに胸が大きくて髪もきれいで整っており・・・表情は少しばかり少ないかもしれないけど・・・・ハイライトがそんなに仕事をしていないかもしれないけど・・・一応、元の世界ではかなりモテるよ・・・多分。



そこでソウナがとんでもない爆弾発言をしてしまったのであった。



「でもお父さんはあんまり興味はないかもしれないよ。」



この言葉でその場の空気は一気に凍ったのである。流石、魔女と言うだけにあってソウナが言った言葉でだいたい理解をしてしまったのである。



「なるほど、あなたが雅さんの妻でしたか・・・・一言だけ言わせてください。時の魔女、アーリナが心から思っていることをいいます。私の人生は終わった、最後のチャンスはあっという間に終わった。」




言い切ったアーリナは真っ白となりその場に崩れ落ちたのであった。流石にこのままにしておくにはいかないと思いアーリナと抱えて目的地に向かうのであった。その間にも娘がずるいと言って明智は帰りはしてあげるからと言ってソウナを納得させるのであるが娘を抱いて腕の筋肉は大変なことになることはもう薄々感じている明智であった。





















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る