第8話、明智と土居の日常

それから数ヶ月後、龍人たちが加わった明智の新しい日常はこんな感じになっていたのであった。



朝、起きた明智はまず、朝食の準備をしながら必ず誰か一緒に作っているのである。これは朝食を作るついでに教えることは出来ないかなと思い始めたことであった。



そして朝食を終えると今度は龍人たちに読み書きを教えるのであった。幸いなことに文字の文化はまだなく日本語をそのまま教えることにしたのである。もちろん、明智は教師ではないので教えられることは限られるがそれでもないよりかはましだなと考えて教えていたのであった。



お昼になるとまた料理教室みたいなことをして作るのである。それが終えると明智は土居と一緒にまだ行ったこともない場所に行くのであった。その横に相棒とも言えるドラゴンのブラックもいたのである。理由は簡単で飛べて移動ができるので大変助かるからであった。



そうしてたどり着いた場所で二人で会話しながら探索するのであった。土地の形や生態系に食べられそうな物を探し始まるのである。探索は順調に進み明智が前から気になっていたことを土居に訊ねてみたのであった。



「そう言えば、土居清宗さんって戦国時代に西園寺家にいた人物と同じ名前だけどもしかして本人だったりしますか。本当に今更ですが・・・。」



「確かに今更でござるな。さよう、某は元々西園寺家の家臣でござった。もしかして主の家は某が死んだ後に巨大な勢力になったのでござるか。」



「・・・言いにくいことですが主の家はその後に滅亡します。長宗我部家に滅亡されます。必死に一条家や大友家の勢力から守ってきた土居清宗さんにはきつい真実ですが・・・本当のことです。」



土居は少しばかり無口になりその後にさりげなく明智に聞くのであった。



「さようでござるか。それにしても土佐で一番小さい豪族に滅亡させられるとは夢にも思っていなかったでござる。」



「ついでにその長宗我部家は土佐、阿波、讃岐、伊予の順番で統一していき四国を支配しましたよ。」



「嘘ーーーーーー。そんなことがあるのでござるか。四国すべて支配するとは・・・ではこの世界にも長宗我部家があるかもしれないということでござるな。」




明智は何を言っているのであろうかと思い土居に問いただしてみた。もちろんこの時の明智に一つの予感がったが確信はなかったので聞くことにした。



「土居さん、すまない今の言葉はここは四国に似ている島もしくは大陸と解釈していいのですね。」



「そうでござる。某も驚きを隠せなかったでござるが四国・・・この辺は某が仕えていた西園寺家の領土にそっくりな場所が多く。現在の場所を現すなら伊予あたりだと思うでござる。」



明智は思いにもよらない情報を回収したのであった。もし、土居が言っていることが正しかったら全体的な地形は何となく把握できる。その上で万が一戦いになっても地の利を得やすくとてもうれしい情報である。



それに戦国時代に生きた武士であったのである。戦いになっても経験者がいて心強く現代の知識と土居の戦の経験を合わせれば楽にそして確実に勝てると思った。



問題は土居が言ったとおりにもし土佐に長宗我部家があったら大変なことになる。こちらがいくら強くても向こうは一度は戦国の世で四国を統一した大名、簡単に倒せるはずがない。




そう思ったがそれはあくまで予測でありいない可能性だってあるが万が一のこともある備えておこうと気持ちは強くなったのである。それから土居に知っている限りの情報を教えてもらうのであった。



それからわかったことはこの伊予には三つの種族がいることがわかった。一つは目の前にいる土居清宗が転生した種族の龍人、一番人に似ているが明らかに違うところが火を噴くことそれから耳が少しばかり独特な感じである。



次にエルフである。やはりこの世界でエルフは魔法を使うみたいでありこの伊予では一番勢力は強いと言ってもいいかもしれない。人口や生態はわからなかったがいずれ出会って交流できたらいいなと思っている。



最後に妖狐である。妖狐はこの伊予の中では一番人口が多いらしいが実際のところはわかっていない。この妖狐も魔法を使うらしいがエルフと違く属性魔法よりも幻影や特殊な魔法に長けているらしく土居も詳しいことはわからないがこの妖狐もできることなら交流をしていきたいなと明智はそう思うのであった。



そうもしているうちに探索が終わりを迎えようとした時に明智が植物をよくいじくっておりそこから透明な物が出てきて回収を終えると嬉しそうにしながら叫ぶのであった。



「植物系の油がついに取れたーー。これでついに計画していたある菓子が作れる。そしていろんな調味料やその代理になる物を探してそれを使い研究してきたことをついに使う時が来た。さあ、早速明日の未来のために夢と希望に溢れた菓子作りのために全速前進だ。調理開始だーー・・・もちろん土居さんは強制参加でお願いしますね。これも作り方を教えますので。」



「マジでござるか、冗談はしないでほしいでござるよ。料理はあんまり得意のではないでござるのに。」



「冗談じゃない、本気だ。これは私の楽しいスローライフにかかわる大切なことだ。協力してくれ。」




そう言われしぶしぶ土居も手伝うのであった。その様子を遠くから見ていた者がいたのであった。龍人たちの調査をしに来たエルフの騎士である。それを見て聞こえない程度に



「あそこで何か作り始めるつもりだけど・・・そこまで大切なことなの?」



一人疑問を抱くのである。そうして様子を見て完成されたものは中に餡子が入っており周りは油で揚げた・・・あんドーナツであった。明智はできた嬉しさに不思議な踊りを舞いまくるのである。それを見て土居は急いで止めに入るのであった。



「明智殿、誰かに見られたら恥ずかしすぎるでござるよ。落ち着いてくだされ。」



そんな会話に森の陰から様子を見ていたエルフの騎士は


「ごめんなさい、森の陰からバッチリと見ていますよ。それにしてもあれはたべものであろうか。さらに加えて言うなら吸血鬼はうれしすぎるとあんな行動をするのであろうか。」(注意、ほかの吸血鬼はしません。)




そうして明智は念願のあんドーナツを作ることに成功するのであった。それをさっそく試食するのである。感想はもちろん土居は美味しいと評価して明智はまた食べれたことに感動して泣いていた。正直にもう二度と食べられないと思っていたのであった。




だが、すべてを食べようとせずに近くにあった。大きな葉っぱをきれいに切り取り皿代わりにしたる。土居はどうしてこんなことをするのであろうと気になっていたが何か意味があるのだなと思い聞きはしなかったのであった。



明智がブラックに乗り帰ろうとした前にエルフの騎士が隠れている森の陰の方を見て笑顔をだしてそのままドラゴンのブラックに土居と明智が乗りその場から立ち去ったのである。



エルフの騎士は心の中で間違いなくあの吸血鬼はこちらの存在に気がついていた。なのにどうして攻撃をしなかったのであろうかそれにお土産も残して立ち去って行った。食べ物に毒が入っていないのはわかっているが食べずらかったが食べてみることにしたのであった。




食べた感想はとてもおいしかったの一言であった。それ以上に表す言葉が見つからないほどおいしかったのである。それとエルフの騎士は最後に見せてくれた明智のあの笑顔が忘れなくなっていた。エルフの騎士はなんであの場面はくっきりと覚えているのであろうかと自分に対しても分からないところであった。



それが恋だということに気がつくのはまだ先のことであった。












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