第3話

 勇者の家(城)の近くまでやって来た。

 「どうやって勇者に会うか。会って闘うかそれとも計画を立てて適切に攻めるか」

 考えた。

 城を中心に町が出来ていたので町の宿に予約した。宿屋の主人に尋ねる。「俺っち旅人。勇者と直に会いたい」

 「勇者がいるから魔人国に攻められないで済んでる。勇者に何かあったら大変だから旅人が記念に勇者と会うってことは出来ないね」

 「カーーーー。そうかい」

 「残念だけどね。旅人じゃ駄目だ。諦めな」

 「会わなきゃなんないんすよね」

 「そうは言ってもね」

 「宿屋の主人は俺の味方だよな」

 「いや勇者の味方」

 「会わせてくれ」オカヤマは頭を下げた。

 「いや俺に言われてもな。うーん。じゃあ勇者の城の周囲を警備してる人と交流のある人なら紹介するよ」

 「ほんとに。ありがとう」

 後日。彼はレストランでその人と会った。「俺は旅人。勇者と直に会いたい。城の警備でもいいから直に会いたい」

 オカヤマをじーっと見る人間(サワチ)。「怪しい旅人だなあ」

 「いやいやサワチさん。清い人間ですよ僕は」

 「身元の証明が出来るものはある?」

 偽物の証明書を渡して返された。

 「城の周囲の警備係だけどそれでも審査は厳しいよ。旅人はアウト」

 「俺。前科も何もない。これは本当」

 「他にも適性試験もあるからねえ。旅人さん。見た目はガリガリじゃないか」

 「そんなことないよ。上腕三頭筋は在るよ。腕立て伏せしてるから。というか警備は素手でするわけではないんだろ」

 「もちろん銃を所持してる。昼夜問わず事前の連絡なしに城の敷地に入ったものには即射撃だから」

 「あ、そう」

 「君はなんで勇者に会いたい?」

 「なんとなく」オカヤマは嘘をついた。

 「勇者への尊敬がどのくらいあるかも審査されるからねぇ」

 「そっか。でも働く気はあります」

 「実は今俺が面接してるって思ってる? 正解。君は見張り役に向いている」

 「サワチさん。本当に面接官なの?」

 「本当。今から君には講習を受けてもらう」

 「はい」オカヤマは連れられて車に乗り目隠しをされ移動する。目隠しを取られるとテレビと椅子のみ在る部屋に居た。

 「これから君には2週間の講習を受けてもらう」後ろにサワチが居た。

 オカヤマは椅子に座り両手を背もたれにまわすと手錠をかけられた。サワチがテレビをつけると勇者が町民から敬われている映像が映った。起きてから寝るまで1時間で終わる映像を繰り返し見続けた。食事はサワチに食べさせられ就寝時のみ手錠を外され横になった。その時もヘッドホンをつけられ勇者がいかに素晴らしい人物か説く音声を聞き続けた。一週間が経った。眠気があった。部屋を移動して二つ在る椅子の片方に座る。後から来たサワチがオカヤマの手に手錠をかけて空いてる椅子に座った。サワチが一人語りをしたあと質問を受けた。勇者をどう思うか。なぜ警備をしようと思ったか。質問を受けて善い答えを言うとビンタされた。それでも善い答えを言い続けると監禁されて2週間経ったときに納得された。そのあと12時間の睡眠を与えられ部屋を出るとサワチから拍手を受けた。

 「合格だオカヤマ」

 「やったあ」

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