ゴミ女

@tsumakan

第1話

「…まだ片付けてなかったの?」


そう言って、僕のサンクチュアリを見てガッカリする妻。


結婚して2年、知り合ってからは6年が経つ。

セックスレス、子梨。


平成が終わろうとするこの時代に、なんの面白みもない、ありふれた夫婦の日常だ。


この光景以外は…。


昔から物が捨てられなかった。


大事なのか、そうじゃないのか、ラベリングするその行為さえ、ひどく無意味に感じられた。


捨てなければそこにある、それだけで良かった。


「おーこは物が捨てられないから、私のことも捨てられないね〜。」


いつだったか、ベットでゴロゴロしながら無邪気に笑う彼女がそんなことを言っていた。


そうかもしれない、だだ、


「捨てられないね」


絶対に捨てないとラベリングしたのは、妻である彼女、ただ一つだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゴミ女 @tsumakan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ