後記 さいわいなことり

 後日、職場へ。

 

 休憩時間、同僚と話す。

 

 オレが休んだ日は、明け方の五時でも電車が動いてなかったらしい。そのため、同僚は自転車通勤したと語る。


 同僚の妹さんも、停電の被害に遭ったという。嫁ぎ先がIHだそうで、何もできんかったとか。

 

 食堂のおばちゃんによると、食材を買う業務用スーパーが、付近の店ごと停電中だと言っていた。

 周辺の団地も、電気が戻ってないらしい。


 後輩の家は、まだ停電しているという。

 スマホ充電とか、どないしてんねやろ?


 やはり、爪痕は未だに痛々しく残っている。


 オレは運がよかった方なのだ。

 祖母も熱中症にならなかった。

 冷蔵庫も無事。

 被害は、せいぜいガリガリ君がドロドロ君になった程度である。


 今回の台風で、オレが感じたことは以下の数点だ。



・目立った被害


「倒木」

 根元からごそっと倒れていた。

 アスファルトに植えているから、根が張っていないのが原因だと、専門家のサイトで読んだ。


「器物破損」

 あさっての方向を向いた信号、割れた看板のプラスチック片、歩道を遮るギンナンが目立った。

 屋根瓦が吹き飛んだ動画なども。


 うちの職場も、窓ガラスに小石が当たって割れた。


「停電」

 店は開いていたし、郵便局で金も下ろせた。

 おかげで、物資にはまったく困らなかった。


 だが、電気がないと何もできない。

 IHは便利だと思うが、オレはガスを続けようと思う。

 全て電子制御だと、電気が断たれると全てが使えなくなる。

 これは見直しが必要なのでは。


・涼むなら公民館

 飲食は原則として不可能だが、冷房に当たるなら公民館の利用もアリかと。

 スマホを充電しつつ、情報を集め、電子書籍を一冊読み、大学ノートに執筆のネタを書き込んだりした。

 案外、そういった目的で利用している人が少ない。

 図書館は人が多かったが。


・小鳥は、スマホの中に


 以上は、あくまでもオレが感じた被害状況である。

 他の家は知らない。


「うちはもっとひどい」

「我が家は困っている」

 といった意見もあるだろう。


 そういう人はまず発信だ。

 さいわい、現代は伝言を伝える「鳥」がいる。


 Twitterだ。


 オレも、電力会社や鉄道会社の状況は、つぶやきにて確認した。

 ネガティブに感情が捕らわれそうになったら、数分の動画で癒やされた。


「不謹慎な発言や動画が大量にある」という意見もあるだろう。


 要は使い方次第である。

 公式をまず確認する。

 人づてだと話題にはなっても確実性はない。

 とにかく一次情報を確かめることが大事だなと思えた。 


 切羽詰まっていると、判断が鈍る。

 苛立っているなら、情報受信はラジオに留める。

 一度落ち着いてから、意見を発信する。

 など、自制心が大事かなと思えた。

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さいわいなことり 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

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