空白のエピローグ

 不自然なほど真っ白な空だった。小高い山みたいな砂浜。照りつける光は本当に太陽のものか。

 真っ白な砂浜に寝転ぶ一組の男女。これまた白いビーチチェアに転がりながら、ぼんやり空を見上げた。


「ここは、どこだ……?」


 ざざん、と波の音がする。こんな真白世界でも、海は青かった。


「さあ」


 隣で相棒バディがトロピカルバナナジュースを啜っていた。星形のグラサンで、すっかりバカンス気分だ。


「あれ、俺はどうなったんだ?」


 ざざん。

 ざぷん。


「ココナッツジュース、飲む?」

「ありがとう――じゃなくて!!」


 男――緋色は上半身を起こした。何故か海パン姿だった。


「取り敢えず……全部終わったよ?」


 女――ディスクは身体を傾ける。ワンピース型の水着を着用していた。


「終わったって……じゃあここは?」

「……泳ごうか?」


 分からないみたいだった。

 社長戦争とは一切関係ないだろう謎空間。オーロラ体としての活動限界を超えた二人は、虹に溶けて消えたはずだった。


「……いいんじゃない? 緋色は私と一緒は、嫌?」

「そんなことない!」


 反射的に出てしまった言葉。ディスクがにやにやと緋色を見つめている。


「でも、どうなったのかは気になるよ」

「社長戦争――その結果は私たちが知れるものじゃないよ」


 途中でリタイアしたから。力尽きたから。オーロラ体である二人に限ったものではない。幾多の代理が結果を知ることなく散っていった。


「三途の川って、大きいんだね」

「川……てか、海じゃないの?」

「湖です」


 バッ、と二人が起き上がる。声の主は後ろにいた。仰向けからうつ伏せになるように振り返る。

 砂浜から、頭だけを出した女がいた。短めで薄い金髪、薄い赤い瞳、真っ白い肌の美少女。青いベレー帽をピコピコ揺らしながら、女は言うのだ。


「あ、ちょっと座標間違えた…………ま、いいか」

「「いいのっ!?」」


 謎の女は表情一つ変えずに頷いた。砂浜から生える生首みたいで不気味だ。


「うん。君たち、見てたけど中々面白かったです。よく頑張りましたね」


 その口振りに、ディスクがぴくんと跳ねた。


「♠陣営の、リンド候補……?」

「そうです」


 生首が頷いた。


「え、何しに……というかどうやって来たんだ?」

「……緋色。この人が、チートの親玉だよ。オーロラ体の崩壊に介入して、別空間に閉じ込めるなんてわけないよ」

「すげえ!?」


 ですです、とリンド候補は頷いた。


「社長戦争が、フーダニットがどうなったのか教えてくれるのか?」

「貴方がたの戦いは、ひどく情熱的なものでした。これくらいのボーナスは与えても良いでしょう」


 無駄ではなかった。あの戦いの数々は。緋色はその想いを噛み締める。

 ディスクもその身を乗り出した。


「フーダニットは、勝ったの……?」


 無表情のリンド生首は、口を開いた。


「次期社長は、

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