リベンジ! たんたかたん学再試験! ③ ~汝、時限爆弾を解除せよ~
【前回のあらすじ】
たんたかたん学の再試(やばい)にぽん大生が集まった。
常に留年の危機、
燃える快男児、
和風な犬っ娘、
七(中略)不思議の体現、百回留年している長老。
問①のケルベロスを恋春光が、問②のメスガキを長老が下し、続いて立ちはだかるのは問③であった!
◇◇◇
暗闇に、液晶画面の青白い光が灯る。
そのディスプレイは、大量に、整然と並んでいた。
煌々と光る画面たちの前でリッチな回転椅子に座るのは……
宇宙服を着た、正体不明の男であった。
「第二問を宇宙的に突破したか……」
ブルーライトに照らされながら、素顔を宇宙服の奥に隠し、優雅にワイングラスを揺らす謎の男。
数々のディスプレイには、廊下を走る四人の姿がさまざまな角度から映し出されている。
「〝百回留年している長老〟……七億七千七百七十七万七千七百七十七不思議のひとつ、か。ただのボケ老人と思いきや、腐っても七賢者……あの程度の問題を宇宙的に制するのは容易かったようだな……」
グラスに注いだ赤ワインの色味を愉しむと、男は一口も飲まずにグラスを置く。宇宙服を着ているので飲めないのであった。
「さて、私も第四問……すなわち最終問題の準備にとりかかるとしよう。彼らが私の元へ辿り着くとき、再試はビッグバンのように最高潮を迎えるだろう……。……まあ……」
宇宙服の奥で、男は含み笑いをした。
「第三問で、おまえたちが全滅しなければの話だがなァ……!」
◇◇◇
再試験も残すは第三問と、最終問題のみ。
廊下を進んでいた四人がだだっ広い部屋に辿り着いた次の瞬間、背後で扉がシャッターにより閉ざされた。
慌てる弥助。油断なく周囲を見回す進夢。縮こまる恋春光。何も考えてなさそうな長老。
彼らの目の前にはひとつの丸テーブルと……
その上に乗った、時限爆弾がある。
たんたかたん学 再試験
問③
〝汝、時限爆弾を解除せよ〟
「うわ! これあれかな。赤か青か、どちらかの配線を切れば解除できる系のやつ。頭使うやつ」
「どうやらそのようだなッ。しかし事はそう単純ではないだろうな。こういうものは、得てしてパズルや暗号のようなものを解く必要もあるはずだッ」
「ふぇぇ……むずかしそうです……」
「ひょっひょ。おもろそうじゃの~」
喋りながらテーブルのところまで行き、四人は時限爆弾を近くで見る。残り時間の表示を見た。
あと十秒であった。
「なんでだよ!!」
「うひゃひゃ!! おもしろ!!」
「あわわ、あわわわわわわわわわわ」
「くッ……こうなったらッ!」
進夢の判断は早かった。時限爆弾を手に取ると、胸に抱えて走りだす。
「赤崎先輩!? まさか!」
「私が爆弾をできるだけ遠ざけるッ! その間にテーブルを盾にして身を守るのだッ!」
「そんな! それじゃ先輩が犠牲に!」
「大丈夫さ! 私を誰だと思っているッ!」
ヒーローズレッド・赤崎進夢の、英雄としての矜持であった。
「ヒーローとは、その身を捧げて民を守る者なのだッッ!!」
そのまま進夢は壁を突き破り、部屋から脱出し、爆弾を遠ざけるべく走っていく。
行ってしまう進夢へ向けて、弥助は叫んだ。
「赤崎先輩ぃ――――――――っっ!!」
恋春光も叫んだ。
「赤崎さまぁ――――――――っっ!!」
長老も叫んだ。
「あかざきぃ~~~~~~~~~っっ!!」
宇宙服の男も叫んだ。
「えっ何でこっち来てんのうわーーーーーーーーーーーー!!!!!」
準備中の最終問題の部屋で爆弾は大爆発を起こした。進夢はフェニックスモードでDEFが上がっていたので無事だったが、宇宙服の男は爆風で吹き飛ばされ、頭を打ち、目を回して気絶してしまった。四人は気まずそうに顔を見合わせる。最終問題の部屋にファンファーレが鳴り響き、試験合格を知らせる。
再試験会場の教室から出て、建物からも立ち去れば、彼らの頭上には夕空が広がっていた。
綺麗な夕焼けを見上げながら彼らは思った。
(なんかごめん)
【たんたかたん学再試験篇 おわり】
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