キックオフ! 絆で繋がるサッカー部! ③ ~最も新しき神話~
【前回のあらすじ】
サッカーの惑星の王子・ピィスがサッカー部メンバーたちを圧倒! そんな中、ラヴはキャプテン有翼の言葉に奮い立たせられていた。いよいよ兄妹対決が始まる!
◇◇◇
「試合をしましょう……だと?」
興味深そうに聞き返すのは、銀髪に水色の肌の少年。
ニッポーオーニッポー星に存在するオオオ・オーオオ王国の、王子。
ピィス・オーオオ。
「はい。ボクとお兄様、一対一で試合をしたいのです」
まだ揺れる瞳で、それでも懸命に兄を見返すのは、銀髪に水色の肌の少女。
オオオ・オーオオ王国の王女であり、ピィスの妹。
ラヴ・オーオオ。
「しかしラヴ。忘れたのか? おまえが私にサッカーで勝利したことなど、一度もない」
「それは……以前までの話です」
「フン。それで、何を賭ける?」
「お兄様が勝てば、ボクは大人しく星に帰ります。でも、ボクが勝ったら……お兄様にボクからのお願いを聞いていただきます」
「いいだろう。ルールは銀河標準1on1でいいか?」
ピィスの即断。一方のラヴは一瞬だけ迷い、しかし振り切り、声を張る。
「いいえ。星球開闢の儀式のルールを採用します」
ピィスの両眼が、すうっと細められる。ほう、と呟き、ラヴを品定めするような視線を送った。
一方、ベンチでふたりを見守るサッカー部メンバーたちは首を傾げていた。
「せいきゅうかいびゃく……?」「何それ?」「ドンナ ルール ナンダ?」
「何ッ……? 星球開闢の儀式……だと?」
「知っているのか、部外者にも関わらず知ったような口を利いて解説役ぶることが趣味の暇人?」
キャプテン有翼の問いに黒衣の男は頷き、一筋の汗を垂らした。
「星球開闢の儀式……それはニッポーオーニッポー星にて語られる創世神話の再現。神話は〝白の巨神〟と〝黒の巨神〟がひとつのボールを奪い合うところから始まる。熾烈を極めた激闘の末、二柱の巨神が同時に蹴ったボールは天高く飛び上がった。やがてそれは星となり、ニッポーオーニッポー星人の住処となった……」
「それを再現するというのか?」
「……ッ! 見ろ! 既に始まっている!」
促され、サッカー部メンバーたちはラヴとピィスに目を向けた。
ラヴとピィスはサッカーボールの着ぐるみの姿になっていた。
「「「何が始まったんだ!?」」」
「あれこそが、ふたりの扮する〝白の巨神〟と〝黒の巨神〟……!」
「完全に奇抜なゆるキャラなんだよ」
「見ろ! 動くぞ!」
サッカーボールを着たピィスが、一歩踏み出す。
しかしバランスを崩した。
コテン、とうつ伏せに転び、着ぐるみのせいで手が地面に届かず、起き上がれない。
ラヴはピィスを助け起こそうとして、同様にコロンと転んだ。
ふたりとも起きられず、手足をじたばたしている。
「「「俺たちは何を見せられてるんだ!?」」」
「ここまで忠実に神話を再現する……だと……?」
「嫌ダナー コンナ 神話」
「ここからだ……! 始まるぞ……原初のサッカーが!」
サッカー部たちは目を見張る。
ふたりの身体が不思議な力でふわりと宙に浮かび始めたからだ。
「「「な、何だ!?」」」
◇◇◇
自分の身体が浮遊し始め、ラヴは儀式の成功を悟った。
(よし……! これなら、お兄様にも勝てる可能性がある!)
ラヴとピィスは、巨神の力を受け継いだ王族である。そんなふたりが神話をなぞることにより、巨神の血の記憶が呼び覚まされ、限定的に神の力の行使が可能となる。着ぐるみ姿のふたりは地上から三十センチほど宙に浮き、自由に飛び回ることができるようになっていた。
そして神代とは、体力や技術よりも、精神力がものをいう時代。
心の力が直接プレーに影響するのだ。
まさにそこが、星球開闢の儀式ルールを採用した理由であった。
(お兄様がボクよりサッカーが上手くとも……気合いならボクだって負けない!)
「さあ、ここからは神話通りではなく、おまえと私との正真正銘の1on1だ。ところで、ラヴ」
「何ですか、お兄様」
「王国の安寧にはおまえの存在が必要だ。今、民の間にも噂が流れている。王女が失踪したらしい、と……」
「……!」
「このままでは王国社会に不安の暗雲が立ちこめてしまう。私は一国の主となる使命を背負う者として、おまえのわがままを、これ以上見過ごすわけにはいかない。民のため、国のため、星のために私は戦うだろう。……察するに、おまえは少し甘い考えを抱いているようにも見えるが……」
ピィスの眼光が鋭さを増す。
「たくさんのものを背負った私に、気合いで勝てるとでも思ったなら愚かなことだ」
ピィスの着ぐるみが、ピィス自身から発せられるサッカーオーラにより弾け飛んだ。
空気がビリビリと張り詰めて、ラヴを威圧し、後ずさらせる。
それはラヴの決意を揺るがし、ともすれば戦意喪失まで至らしめるかとも思われた。
しかし、その時。
あたたかく、やわらかな何かが、ラヴの体と心を包んだ。
圧倒されて激しくなっていた動悸が、徐々に穏やかな拍動へと戻っていく。
(……これは……?)
反射的に、ラヴはベンチの方を見た。
そこにはサッカー部メンバーたちがいて……、
皆一様に目を瞑り、祈るように両手を重ねている。
それは信仰の力だった。
神とは信仰により力を増すもの。ラヴの中で巨神としての性質が色濃くなった今、「頑張ってほしい」「勝ってほしい」という
静かに燃える闘志を取り戻したラヴが、口を開く。
「ボクはお兄様と比べれば、サッカーも下手だし、精神力も劣るかもしれません。でも……!」
ラヴのサッカーオーラもまた爆発的に膨らみ、自らの着ぐるみを吹き飛ばした。
「ボクにだって、ボクがボクの道をゆくことを応援してくれる、仲間がいるんです!」
「そうか。では……」
ピィスがやや腰を落とす。
ラヴもまた、構えた。
「ここから先はサッカーで語れ」
星球開闢1on1。
それは一点先取のサドンデス・ゲーム。
神の力を使い、空を飛翔し、先にボールをゴールに叩き込んだ方が勝利。
王族や一部の特別な人間でしか成立しない、稀有なサッカーバトルである。
グラウンドに置かれていたサッカーボールが、ふわ、と浮かんだ。
それが合図だった。
双方、弾丸のように飛び出して、宙に浮かんだボールを奪い合う。先にボールを取ったのはピィス。驚異的なドリブル技術でラヴを抜き、グラウンドにそびえるゴールへ向けてロングシュートを放った。
流星のように、目で追うことすら困難な殺人シュート。
ラヴの五感では捉えられない。
しかし……〝サッカー覚〟でなら。
(こんな一瞬で……負けたくない!)
その時、ラヴ自身ですら把握不能な現象が起こった。
自分の身体が、ゴールを守るような位置に瞬間移動したのだ。
「えっ!?」
「なにッ!?」
慌ててラヴはシュートを足で受け止める。弾かれたボールは、高く上空へ。驚いていたピィスも瞬時に切り替え、空を飛んで追いかける。ラヴも、自分で何をしたかもわからないまま、高度を上げてボールを足下に持ってくる。
その頃には、ピィスが目の前に来ていた。
――――妙な力を使ったようだが、関係ない。返してもらうぞ!
ピィスの考えが伝わってくる。ニッポーオーニッポー星人特有のサッカーコミュニケーション。ラヴも応答した。
――――返しません! 勝ちます!
次の瞬間、また謎の現象が起こる。
まるで自分がロボットになったかのように、視界に様々なデータが表示されているのだ。
スーパーコンピュータの高速演算じみて脳がフル回転する。
最もかわしやすい動き、最もピィスを出し抜きやすい動きが、成功確率のパーセンテージが高い順に視界に列挙される。
(一番成功確率が高いのは――――)
ラヴは瞠目した。
(……分身して相手を惑わす……!? そんなのできるわけ)
そう思いかけて、ふと気づく。
自分の身体が、スライムのように流体化していることに。
「ええっ!?」
「な、にぃ……!?」
刹那のうちにラヴの身体はふたつに分かれ、ピィスを惑わした。ふたりのラヴは再び固体となり、意識を共有したまま、双方にパスを送り合う。
ピィスのゴールへ向けて疾走していく。
「くっ……何だその力は!?」
「ボクも何がなんだか! でも……これでっ!」
ラヴはゴール前でシュートを放とうとする。しかし。
「させるかッ!」
すんでのところでピィスの足に阻まれ、ボールはまたもあさっての方向へ。
「ラヴ……いったいおまえは」
そう言いかけて口をつぐんだのは、周囲にラヴの姿が見えないからだ。
「……ラヴ?」
ピィスがハッとして飛んでいったボールの方に目を向けると、ボールは独りでに動き出していた。
いや、違う。
目では見えない存在にドリブルされているのだ。
ラヴの身体は、周囲の色に擬態していた。
「な、南無三っ! ぷるぷる! なんだこれっ! ボクにこんな力なんてないのに! しかも……
瞬間移動。
高速演算。
流体化分身。
擬態。
これらは……ウィローのまじかる☆わーぷや、テクノの内蔵コンピュータや、ぷるすけのスライム能力や、蝦蟇のカエルっぽい能力と同じではないか。
「ボクは星球開闢の儀式において、白の巨神と同列。そしてみなさんはボクに祈りを捧げて……支えてくれてる。神を支える者もまた、神話の一員! ということは!」
地上でラヴの勝利を信じる部員たちもまた、少しだけ宙に浮かび始める。
「みなさんもまた神となり! そして、みなさんの持つ特殊な力が、ボクという神と習合しているんだ!」
それは最も新しき神話。白の巨神を演じていたラヴの身体が、多様な『神々』の持つ多彩な力を取り入れていく。もはやかの巨神は、『白』ではない。いろいろな色が合わさって、ラヴの身体を虹の光が包む。
「ボクは今……虹の巨神だ!!」
「「「「「ラヴちゃぁ――ん!!」」」」」
眼下のサッカー部員たちが、声を張り上げる。
「「「「「ぜったい、勝てぇ――――――っっ!!」」」」」
宮廷に閉じ込められ、勉強の日々を課せられた、退屈な日常があった。ふと窓から外を見ると、ボールを楽しそうに蹴って遊ぶ同年代の子供たちが目に入った。彼らには友達がいる。自分にはいない。王女の地位があるから近づいてくる者はいるだろう。だが真の意味で心を通じ合わせることのできる仲間は、手に入らない。ひとりぼっちの小さな部屋。ひんやりとした勉強机。椅子が軋んで空虚に響く。
さみしい。
さみしかったのだ。
ラヴは顔をくしゃっとさせて、笑った。
「勝つに! 決まってますっっ!!」
そのまま、全身全霊のシュートを放った。
空を裂き、まっすぐに突き進むボール。
だが、ピィスが間に合った。
「驕るな。おまえは私には勝てない! なぜなら私の背負うものは、惑星だからだッ!」
ガギィィン!!
シュートに対し、ピィスは全力の蹴りを見舞う。ニッポーオーニッポー星人としての誇り。オオオ・オーオオ王国の王子としての責務。そして兄として妹には負けられぬという矜持が、強烈なキック力となって、ラヴのシュートを打ち返した。
不意を突かれたラヴは、しかしすぐに対応する。
「…………(ファラオの力、お借りします! という意味の沈黙)」
ズゴゴゴゴ!!
突如グラウンドから生えてくるスフィンクス像! ピィスのシュートしたボールを受け止めようとする! しかしあまりのシュート力に耐えきれず、石像は崩壊!
しかし勢いが弱まればそれで十分!
「故人的に、ポルターガイストの力を使わずにはいられ亡いっ!」
霊力でシュートの威力を更に弱めていく! その間に、抜群の飛翔力でボールへ接近! それは有翼人並みの空戦能力である!
「鷹のように……キャプテンのように飛びます! まあボク、翼ないけど!」
そして、遂に間に合う!
ラヴはピィスと同じように、シュートを打ち返そうとするが――――
「無駄だ。ここで決める!」
ピィスはシュートされたボール並みの速さで疾駆し、ラヴに追いついていた!
「はああっ!」
「うらあぁ!」
ラヴの足と、ピィスの足が、同時に挟み込むような形でボールを蹴る!
想像を絶する風圧が、ゴール前で嵐を巻き起こした!
双方一歩も引かずに、ボールを押し切ろうとする!
――――くっ! ラヴ……なんという精神力! なぜだ!? なぜおまえがこんな力を引き出せる!?
ピィスの問いに、ラヴは応える。
閉じこもっていては得られなかったもの。
――――信じてくれているからだっっ!!
弾けた。
ピィスの身体が吹き飛ばされて宙を舞う。
光り輝く虹色の軌跡が、空間をギュルギュル巻き込み、一直線に翔んでいく。
ラヴのシュートが、ピィスのゴールに思い切り突き刺さった。
星球開闢1on1。
一点先取のサドンデス・ゲーム。
勝者、
ラヴ・オーオオ。
◇◇◇
勝者が決まった途端、ラヴへ向かってサッカー部員が殺到した!
「ラヴちゃんやったーーーー!!」
「うわーーー!! 何ですかみなさん!?」
「胴上げせずには……いられ亡い……!」「…………(うっひょおおお!!という意味の沈黙)」「極楽浄土!!!」「ゲッコォォォオ!!!」
「ちょ、ボクより体格おっきいみなさんが勢いよく突っ込んでくるの怖っ!! うわあっっ!!」
「せーの、よいしょおっ!!」
ラヴは三十メートル上に打ち上げられた。
「高すぎでしょうが!!」
「屍ェー!? キャッチできんのかよこれ!!」
「オレは骨ばかりで筋肉がないからキャッチできない」
「言ってる場合か!!」
「問題 ナイ! ワタシ ガ……」
「テクノがラヴちゃんキャッチしたら硬くて痛いだろう!!」
「任せて!! ぼくが〝まじかる☆ふらわー〟で包み込むよ!!」
「さっすがウィロー先輩!!」
「あっMP切れてた」
「ギャーーーー!!!」
ラヴはあえなく墜落。しかし何かやわらかなものに受け止められた。
ぷるすけであった。
スライムのぷるすけがクッションになり、ラヴの身体を優しく弾ませたのだ。
「おおっ! ありがとう、ぷるっち!」
「ぷるぷるぅ……ラヴちゃぁん……」
「ぷるっち泣いてる!? ごめん痛かった!?」
「かてて……よかったねぇ……」
涙声でねぎらうぷるすけに、ラヴもつられて目に涙。
「ほんとに良かったよ……! ぷるっちの、みんなのおかげだよ!」
「屍屍屍っ! あんだけ俺たちにツンケンしてたラヴちゃんが、すっかり丸くなっちまったな」
「う、うるさいですよそこ! ボクだって感謝くらいしますっ!」
わいのわいのと騒いでいる部員たち。
その輪の外側で、ピィスは、複雑な表情のまま佇んでいた。
はあ、と溜息をつき、先程ラヴがサッカーで伝えてきたことを思い出す。
「やるべきことと、やりたいこと……どちらも諦めない、か」
王国での勉学や公務と、地球での部活動、両方をこなしてみせるというのがラヴの主張であった。そのことはピィスも1on1を始めてすぐにわかった。しかし、どちらもやるというのは、多忙を極めることを意味する。先程の試合は、ピィスがラヴにその覚悟を問う戦いであった。
ピィスが歩を進め、サッカー部員たちに近寄っていく。
ラヴがそれに気づいて、唇を引き結んだ。
「ラヴ」
「はい、お兄様」
「1on1をする中で、おまえの記憶が私の頭に流れ込んできたのだぜ。おまえが、そこのサッカー部員たちと過ごした日常の記憶が」
地球に来てからずっと厳格な顔をしていたピィスは、ここで初めて、頬を綻ばせた。
少しだけ、寂しそうに。
「おまえ、あんなふうに笑うんだな。知らなかった……」
「お兄様……」
「オオオ・オーオオ王国第一王子、ピィス・オーオオの名において告げる」
厳かな声で、言い放った。
「おまえの覚悟を認めよう」
「……!」
「時々、地球へ来て、部活動をすることを許す。父上は何か言うだろうが、私が全力で説得する。ラヴには仲間が必要で、その仲間は、地球にいる。そして、仲間と一緒にサッカーをする時こそ、ラヴがラヴらしくいられるかけがえのない時間なのだと……そのことを、理解したからな」
ピィスは背を向け、歩いていく。
その先にはサッカーボール型のUFOがある。
「私は一度帰る。地球時間で明日、近衛をここへ派遣しよう。その時に近衛の航宙艇で帰ってこい。では、さらばだ」
「ピィスくん!」
キャプテン有翼が進み出る。他のメンバーたちも口を開いた。
「またサッカーしよう!」「俺に対する……勝ち逃げは……許さ亡い……」「変なワープ技使ってゴメンね! また来てよねっ!」「待ッテ イル ゾ」「屍屍屍屍っ! 今度は地球観光しようぜ~!」「あんたがまた来るまで粉骨砕骨で練習しとくからよ~」「ぷるぷる! ばいばい!」「ゲコ~♪」「僕も神王獅獣機のメンテナンスをして待っているよ」「…………(次は勝ちます。という意味の沈黙)」「般若波羅蜜多」「ククク……オレは常に暇だからいつでも訪ねてもらって構わん……」
彼らの言葉に、ピィスは苦笑いで応えた。
「貴様等は足を使ってサッカーしろ」
「「「あっはははははは!!」」」
「何故笑う!?」
「お兄様!」
ラヴの声に、ピィスは目を細める。
「その……ありがとうございましたっ!」
「ああ。またな。我が妹」
キィィィィン、と甲高い音と風圧を起こし、ピィスを乗せたUFOが飛び立つ。ぎゅん、と一気に加速し、すぐに青空に浮かぶ点となって、やがて見えなくなった。
「……お……」
ラヴがその場にへたり込む。
「終わったぁぁぁぁあ…………」
「やっと一息つけるな、ラヴちゃん」
「ほんとですよも~~…………」
こうして、突然現れた兄との戦いは、一件落着したのであった。
と思ったらグラウンドが爆発した!!
爆煙の中から現れる、謎の人物たち!!
彼らは全員が、妹に飢えたイケメン王子であった!!
「さあラヴ、お兄さんと一緒に帰ろうか。フフ……」
「待てよう! ラヴにゃんは僕の妹だぞ! ねー、ラヴにゃんっ♡」
「チッ……ラヴの理解者は、オレだけだっての……」
「おいラヴ、忘れたのか? おまえのお兄様は、この俺様ただひとりだろうが」
「我 欲す 可愛い 妹」
「あぁ、愛しの妹、ラヴ……今日も可愛いね……愛してるよ……」
ぞろぞろと現れる、十一人のイケメン王子たち。
サッカーができる数である。
ラヴは、ふぅー……と深く息を吐いた。
それから、サッカー部たちに向き直る。
「なんというか……」
歯を見せて、眩しく笑った。
「ここにいると、ほんっと退屈しませんね!」
こうして銀河の存亡を懸けて〝ぽんぽこイレブン VS イケメン王子ズ〟が勃発し、壊滅しかける地球をラヴたちが救ったのであるが、それはまた、別のお話。
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