レーゾンデートルのパンデミックレディオ

≪えーさて、そろそろお別れの時間がやってきてしまいましったと≫

≪僕も満足したことですし、ここらで終わりとしましょう。ところで次の番組は、ゾンビーな彼が、何やら素敵なゲストを連れてきたようですよ……?≫

≪とっぴんしゃんラジオ、お相手は藤本・T・マジマンジでした≫


≪ぽんぽこ大学とかが 十五時を お知らせします≫


   ポッ


   ポッ


   ポ――――――――――ン


   ユーアーリスニング

   ユーアーリスニング

   ユーアーリスニングトゥー

   ポンポコエフエ~ッム


   レゾレゾレゾ

   レェゾン レェゾン

   レェゾンデェトォ~~~~~~~ッル

   パパパパ

   パンデミック レィディオゥ

   パンデ

   パンデミ

   パンパンパン

   パンデミックレィディオ~~~~ゥンヌ


   デデン!


≪さあ! 今週も『レーゾンデートルのパンデミックレディオ』のお時間がやってまいりました。MCはこの俺、ゾンビのレーゾンデートルでお送りしていくぜ≫


≪昨今のトレンドに敏感なぽん大生からのお便りを募集しているこの番組『レーゾンデートルのパンデミックレディオ』≫


≪大学生の価値観が多様化する中でどんなフレーズが、どんなファッションが、どんなフードが、どんなサムシングが今後の流行りになっていくのか! ぽん大を、日本を、世界をパンデミックのように席巻していくであろうトレンドについて! ゾンビであるこの俺レーゾンデートルと一緒に考えていこうや。っ!≫


≪えーそして今日も! 素敵なゲストに来てもらってるぜ! ぽんぽこタイムズ記者の日下くさかよんこさんです!≫


<<はいどうもー、天才四コマ漫画家・日下よんこだにゃー>>


≪いや~よんこ先輩はいつかも来て喋ってくださって。俺あの時先輩に言われた通り、体の腐敗を防ぐために毎日フリスク50粒食べてんすよ≫


<<あれ嘘だにゃ>>


≪え?≫


<<フリスク食べても体は腐るにゃ>>


≪……………………はい! ということでまず日下よんこさんのプロフィールを改めて紹介していきたいと思いますがメンドいんでパスってことで! では次のコーナーに≫


<<ちょ、ちょっと待つにゃ! ちんの輝かしい受賞歴とか素晴らしい格言とかの紹介は!?>>


≪毎日フリスク代をバイト代から捻出してきたのにそれが無意味だと告げられた俺の気持ちがわかるか? よんこパイセンよぉ≫


<<私怨でMCの仕事を放棄するのかにゃ!? それでもプロにゃ!?>>


≪ハァ……はいはいわかりましたよ。えー、日下よんこ、ニ十歳。ハタチでその口調はキツいっすね。小学一年生で小学館新人コミック大賞児童部門で特別大賞を受賞しデビュー。あっそう。ママやパパに手伝ってもらいながら総合雑誌『小学一年生』にて『いくよ! アジスアベバ』を連載。俺は読んでなかったけどね。その後も独特かつエッジの利いた作風で多数の漫画賞を受賞し、ファンクラブができるほどにファンが多い。俺は全然ファンじゃねえけど。今年四月には初の画集が発売され、話題を呼んだ。俺はどうでもいいけどな。まあそんな感じですね。じゃ次のコーナー≫


<<待つにゃ! リスナーが冷めるコメントをいちいち付け加えるのやめにゃい!? 朕、フリスクだけで恨まれすぎじゃないかにゃ!?>>


? 俺はあんたから受けた仕打ちの数々を忘れていねぇーぜ。小学生の頃、初恋の子に告ろうとして思いっきり噛み噛みになってたところを目撃され、数日間『しゅきでひゅ~』『しゅきでひゅ~』って茶化されまくったことをよぉぉ~≫


<<……え!? それ朕が受けた仕打ちでしょ!? 茶化されまくったの朕でしょ!?>>


≪中学生の頃、気分転換に川沿いの土手でちょっとエッチな絵を描いてたら突風が吹いて紙が飛んでいってしまい、それをその時好きだった人に見られて『まあ……そういう趣味も……ナシでは、ないんじゃない?』と奥歯に物が挟まったような言い方されて泣きながら夕方の土手を走ったことをよぉぉ~≫


<<それも朕! 何で知ってるにゃ!? ねえ!?>>


≪高校の頃、今度こそという思いでその時好きだった人に告白したら『や、体が骸骨な人は無理』って言われて完璧にフラレたことをよぉぉ~≫


<<それは……いやそれは朕じゃないよ!? 誰のエピソード!? 骸骨って何にゃ!? ホントに朕じゃないからねリスナーのみんな!?>>


≪と、いうことで以上! 日下よんこさんのプロフィール紹介のコーナーでした!≫


<<後で覚えてろよにゃ!?>>


   レレレレ

   レェゾンデェトル

   パンデミック レィディオゥ


   オォタァヨォリィ・ウィルゥ~~~~ッス


≪レーゾンデートルのパンデミックレディオ、〝お便りウイルス〟のコーナーです! リスナーから届いたマイブーム含む最近の流行りの物事についてのお便りを紹介していくこのコーナー! まずはラジオネーム:こもこもさんからのお便りだ≫


≪『ゾンくんこんにちは』はいこんにちは。『私が今ハマっているのは、短歌を詠むことです。まだ全然下手っぴで、とても人様に見せられるような出来ではないのですが、日々の中で思ったことを五七五七七で書き留めて自己満足しています。日記代わりです』……とのことで。いいですねえ短歌。雅な感じ。どうすかよんこ先輩。短歌とか詠んだりは?≫


<<お~いお茶のパッケージに朕の俳句が載ったことあるにゃ>>


≪出たよ、よんこ先輩の天才エピソード。やっぱ詠む時ってコツとかあるんすか?≫


<<ガーッと書いてちょちょいっとやってカチッと嵌めれば出来上がりにゃ。簡単にゃ>>


≪わかんねーよ。こもこもさん、安心してください。この人がおかしいだけです。俺なんか短歌詠めって言われてもなんにも出てきませんからね。っさて! お便りをくれたこもこもさんには番組特製ステッカーの方をプレゼントいたしまっす!≫


≪さあ次のお便り行こうか! ラジオネーム:山吹さんです≫


≪『屍人、你好ニイハオ』はいニイハオ。『我流行中事柄、〝英雄達〟活動。曲者悪行為時、颯爽登場。其時、電信柱上直立。其、影、滅茶格好良』だそうで。まあ使ってる謎言語でバレバレっすね。ホァンくんですねこれ≫


<<あの二年生はぽん大の有名人にゃし……>>


≪登場する時、電柱の上に直立するんだけど、そのシルエットがめっちゃ格好いいって自分で言っちゃってますね。実際、かっこいいと思うけど≫


<<でもヒーローズって六人くらいいなかった? オタサーの爆弾姫が加わって七人になったんにゃっけ。全員が電柱の上に立つの難しくにゃい?>>


≪電線に立つのかも≫


<<鳥じゃん>>


≪でもなんかヒーローズってなかなか全員揃わないらしいっすね。時間が合わないとかで。戦隊ものをイメージしてるっぽいのに。けどまあ、ぽん大の平和を守る仕事、俺は応援してるぜ! さあ、ホァンくんには番組特製ステッ≫


   ザザッ


≪カーをプレ≫


   ザザザザッ……


≪ゼントし≫


   ザザッザザザザザザザ


≪ら≫


   ザザザザッザザ…………ザザ……ザザザ……


   ザザ……ザザザザ……


   ザ…………




   ブウン……




   ラジオヲ 聴イテイル 諸君。


   特ニ 教授ノ リスナー ニ 告ゲル。


   私ノ名前ハ〝ディザスター〟


   単位ガ 足リズニ 留年シソウナ ポン大生デアル。




   今回ハ ポンポコFMノ 電波ヲ ジャック サセテモラッタ。


   ソノ 目的ハ ヒトツ。


   留年トイウ クソッタレナ制度ヲ ナクス為デアル。




   コレヲ 聞イテイル 教授ラニ 告ゲル。


   スベテノ 学生タチニ 単位ヲ 与エヨ。


   サモナクバ 私ハ ディザスターノ名ニ於イテ、


   災厄ヲ 貴様ラニ モタラスダロウ。




   具体的ニハ 私ガ飼育シテイル ペットノ犬タチヲ、


   授業中ノ 教室中ニ 放ツダロウ。


   授業ハ 台無シニ ナルダロウ。




   要求ニ 応ジルノデアレバ、


   明日マデニ 大学掲示板ニ ソノ旨ヲ掲載……


   アッ


   コラ、ポチ! 今ハ 大事ナ 犯行予告中ナノニ


   アアッ ヤメロ! 機材ニ オシッコカケナイデ!


   ナンデ突然暴レダすの!? あっ、ボイスチェンジャー壊れた!

   ちょ、やめろったら! ハチ! レックス! やめなさい!

   デンスケまで! おまえらいい加減に……うわああっ!

   おまえら何なんだよ! そんなに僕がヤバイことするの止めたいか!?

   …………。

   ……でも、そうか。

   そりゃそうだよな。

   自分の飼い主が、悪事に手を染めようとしてたら……そりゃあ、な……。

   ごめんな、みんな。僕、ちょっとトチ狂ってたみたいだ。

   僕……やっぱり、やめるよ。

   ディザスターなんて、もう、どうでもいい。

   大切なものを取り戻させてくれて……、

   ありがとう。

   あれ? これ

   あっ

   まだ電波ジャックしたまんまじゃん!

   これ聞かれてんの!? ぽん大生たちに!? やばいやばいやばい


   ザザッ……


   ザザザザ…………


   ザザッザザザッザザザザザザザ


≪あーあーテステス。よしOK。えー、音声が乱れました。失礼いたしました≫


<<何にゃ今の……>>


≪えー、はい! ということでね! 新コーナー・電波ジャックでした! もうお時間もギリギリなのでさよならです!≫


<<アクシデントをいちコーナーとして処理すんにゃ!!>>


≪また来週~!≫

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