192.王都を狙え!(2)

 なるほど。確かに可能性は高い。王都まで真っ直ぐに街道があるから、使えば楽だなと思った。相手もそこを守りに入るのが当然だろう。力づくで押し通るのも可能だけど、被害が多く出る……主に向こう側に。


「ボスが言うなら作戦があるんじゃないか?」


 ジークムンドがオレを買いかぶってる。高く買ってくれてもお釣り出せないから、やめて欲しい。思いつきで喋るクソガキ様だからな?


「聖獣で押し切ろうと考えてた」


 ごめん、軽く考えた。そんなニュアンスで謝罪の意図を込めた呟きに、ジークムンドが感嘆の声を上げる。


「なるほど、聖獣様の力を見せつけて降伏勧告するのか」


「それなら任せて平気か」


「裏から回り込まれないよう、斥候だけだそう」


「俺のところから、優秀な部下を出せるぞ」


 何も言わない間に、勝手に作戦が決まっていく。完全自動化ってやつか――じゃなくて、これはマズイのでは?!


「あのっ!」


「大丈夫だ、ボス。サシャは二つ名持ちだし、斥候の纏め役を頼める」


「ああ、サシャの実力は保証するぜ」


「あ、うん。そこは信頼してる」


 問題点が違うんだが? どう指摘したらいいかな。下手なこと言うと、サシャを否定したみたいに聞こえそう。空気を読みすぎて、立ち上がったオレはすとんと座ってしまった。 


 対策を考えるオレの前で、傭兵達は経験に裏打ちされた作戦を組み立てた。聖獣の実力もしっかり織り込んだもので、ヒジリは満足そうだ。


「それじゃ、キヨ。あとを頼むぞ」


「うん」


 思わず頷いてしまい、サシャが数人の傭兵を選んで斥候にでた。見送って溜め息を吐く。どうしよう、正面突破みたいな作戦になってしまった。


 真っ直ぐに街道を攻め上がり、途中の2つある街を降伏させる。その辺は地元の兵士を上手に使うらしく、リシャール達に説得を頼むこととなった。


 オレは王族ですから! って偉そうな姿と態度でマロンの背に乗り、首や肩や足元に聖獣を勢揃いさせて練り歩く。いわゆる神輿役だった。狙われるけど、オレを撃っても銃弾は貫通しない。ならばライアンが弾道計算して、狙撃手を片付ける算段だった。


 こうやって羅列すると立派な作戦みたいに見えるが、行き当たりばったりなのも否定できない。何しろ、王都に着いたらまず外壁を魔法で粉砕するらしい。何それ、怖い。

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