189.人って撃たれたら死ぬんだよ!(3)
「ジークさんがこんなガキに従うなんて、どれだけ金積んだんだ?」
「うーん、通常の倍くらいかな。でも気に入らなきゃ受けないだろ。ほぼ
オレの寿命が尽きるまで、互いに納得してれば契約を続ける。竜属性のオレより長生きする傭兵はいないだろう……途中で暗殺されたら別だが。聖獣もいるのでそこは心配しなかった。
「なっ! おま、まさか……」
ごついくせに首や耳まで赤くなる姿に、大急ぎで首を横に振った。この世界、誰が同性愛を伝えたんだ? くそっ、外見を整えたせいで勘違いされまくりじゃねえか。まあリアムを口説く材料だと思えば、我慢も出来るけどね。
「絶対違う!」
ほっとした様子の男は、ジークムンドによく似た黒髪黒瞳だ。南が出身地のジークムンドと、同郷かもしれない。観察しながら男に自己紹介した。
「傭兵団のボスやってる、キヨヒトだよ。みんなキヨって呼んでる」
最低限の情報を開示して待つと、彼はぼそぼそと口を開いた。先ほどのジークムンド擁護と比べると、随分歯切れが悪い。
「ジャッキーだ。ジークさんの下にいた」
ジークムンドを敬称つけて呼ぶのは、格下の部下や年齢が下の奴だろう。外見年齢から推測すると年上のような気がする。ジークムンドが二つ名持ちで、群れを率いてるから尊敬してるとか? 事実関係を勝手に推測していると、ユハがじれったくなったようで情報を勝手に追加した。
「キヨは
「……それを言うか」
がくりと崩れたオレを凝視するジャッキーの目が痛い。くそ、一生隠しておきたい汚点に近い二つ名だぞ。南の国の砦でもリシャールにバラされた。トラウマになりそうだ。それと「これでも」の部分は不要だったぞ。
『死神さんだっけぇ?』
青猫が足元から出てきて揶揄うので、ヒジリの上から下りながらさりげなく踏み潰した。ぐえぇと悲鳴らしき声が漏れるが、オレは何も聞いていない。どうせ影の中に潜って無事だろうから無視だ。
「し、死神っ!
青ざめたり赤くなったり忙しいジャッキーの様子に、嫌な予感が脳裏を駆け巡る。レイルがとんでもない情報を流した? 尾ひれ背びれビラビラの豪華な金魚みたいに、話を盛った傭兵がいたりして。
「ちょいまて、どんな噂を聞いてきた? じっくり語れ」
これは聞き出さないといけない、重要な情報だった。
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