143.フラグ回収、狙撃されてました(3)
皇族、王族の力を見せつけてやろうじゃん。逆に気合が入ったオレは、このスペースに改めて結界を張りなおした。絶対に銃弾が通らないように、身内が傷つけられないための策を施す。こんこんと叩いてみせ、間違えて誰かがぶつからないように、わずかに青い色をつけた。
「結界の可視化、ですか?」
「うん、これなら誰かがぶつかる心配もないし。狙う方もやりづらいだろう?」
明らかに防御してますよ、と示されたら狙撃もしづらいだろう。そう答えると、呆れ顔のレイルに忘れていた事実を指摘された。
「魔力を帯びた銃弾は結界を通過する。お前の結界だけおかしいんだよ」
「あ、そうだっけ」
オレの魔法のイメージが、ファンタジー映画の万能結界だからか、銃弾はもちろんドラゴンブレスも防げそうだ。今度コウコに頼んで、試してるのもいい。何にしろ、狙撃くらいは防げるのでリアムの安全が確保できる――ここが重要だった。
「リアムはこの中にいて」
「セイはどうするのだ?」
「外へ出る。仕掛けた奴にきっちりお仕置きしないといけないだろ」
「余も一緒に」
「ダメ、ここで待ってて」
「嫌だ」
即答で拒否され、ぐいっと腕を掴まれた。このまま離さずについていけば、一緒に結界をくぐれると考えたらしい。
賢いんだか、可愛いんだか。惚れた女の子に、胸元へ手を引き寄せられたら……照れるじゃん。今は胸を押さえつけてるから平らだけど、本来はふくらみがあって柔らかいリアムを思い浮かべた。
「セイ、何か攻撃か?」
目を見開いたリアムの指摘に、たらりと垂れた鼻血に気付く。すぐに駆け寄ったヤンデレ兄が、丁寧にハンカチで押さえてくれた。
「ほひいはん、はひがと(お兄ちゃん、ありがとう)」
鼻を摘まれたまま感謝を口にする。シンは「そんなに惚れてるのか」としょんぼりしながらも、リアムを睨むのをやめた。
あまりリアムを敵対視すると、オレに本気で嫌われるとレイルが説教した成果が出たようだ。それでも兄としての立場を譲る気はないと、張り合うように反対側の腕を組んだ。
両側に権力者を貼り付けたオレは、この夜会会場で最強じゃないか?
鼻血を拭き取り、軽い化粧を再度シンに施されてしまった。なんでも夜会という戦場で敵を迎え撃つ戦闘服みたいなものらしい。北の王族って、優雅な戦場を勝ち抜いてきたのかな。
「わかった。じゃあ作戦通りにお願い。オレが合図するまで全員動かないでね」
助けにくるのは禁止だと言い聞かせ、手順を簡単に説明する。難しい作戦を考えたって、昼間みたいに台無しにされるんだ。大まかな方向性だけ話した。
影から顔を出したコウコやブラウも頷く。オレがもつ武器を最大限に使って追い詰めてやるから、汚い首を洗って待ってろよ!
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