109.平民風情の底力に驚くがいい!(2)
「よし、これから火を
どうせなら火加減を覚えた優秀な聖獣様にご協力願いたいのだが……呟いたオレの足元から、にょろりと赤蛇ならぬミニチュア龍が現れた。某国のラーメンどんぶりイメージだが、手に竜玉は持っていないのが残念だ。
『主人、食材が用意できたわ』
「ありがと。テント下のテーブルに並べて。あと火を熾すの手伝って欲しい」
『お安い御用よ』
コウコが大量に持ち込んだのは、見事な野菜だった。オレが知る野菜より一回り以上大きい。キャベツと玉ねぎを風魔法でみじん切りにしてもらい、鍋に入れる。水が溢れたが、そんな細かいこと気にしない。野戦料理は大雑把で結構!
トマトはカットしてサラダにするか、スープの味付けに使うか迷う。最終的に潰してスープの具材となった。赤いスープをかき回すジーク、なんか意味が違う怖さがあるな。
風魔法が使えない奴も率先して手伝ってくれるので、鍋の混ぜ係や薪の準備係も勝手に分業して着手していた。手の空いた奴はベンチ代わりに戦場で使ってたベッドや椅子を並べ、食器もそれぞれに洗浄する手際の良さだ。
『主殿、肉を狩ってきたぞ』
買ってきたんじゃなく、狩ってくるところが聖獣様だ。異世界っぽくて良し! こういう微妙な聞き分けが出来るのは、自動翻訳のよいところだ。
「ありがとう、ヒジリ! 助かった!!」
肉はご馳走だ! 作業中のノアとサシャを手招きして、ヒジリが出す獲物を待つ。兎っぽいの5羽、猪みたいなの3匹、鹿かな? が1匹……これは1匹って数えるんだろうか。単位に迷うがこの際「匹」で 統一しよう。さらに孔雀ばりの派手な鳥が7羽……これは匹で数えにくい……が出てきた。
「全部捌いちゃって」
ここはプロ(?)にお任せだ。オレのスキルに解体は含まれない。捌いてる間にゲロるのがオチだから、彼らも手伝えとは言わなかった。ダンッ、ゴツ…とどう聞いても骨を切ったような音がするけど、現場を見なければ大丈夫だ。
「ヒジリは凄いな~。狩りがうまい聖獣だ」
功労者を労うのは上司の役目。ここは主人であるオレがべたべたに褒めるべきだろう。火の番をしている出来る女(?)コウコも撫でまわしておく。
『主、僕も出来る猫だから』
影から顔を見せた青猫ブラウが、何やら水の塊を持ち帰った。風で包んだ水の中を魚が泳いでいる。生きたまま持ち帰るとか、鮮度抜群じゃないか!
「おお! ブラウもやれば出来る子だ!」
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