104.自動翻訳は便利だがバグる(6)
物騒な表現だけど、彼らが首切られる未来じゃなくてほっとする。飼い殺しってことは、口封じを兼ねて雇った上でオレの直属扱いにしてもらえばいい。今のところ仲もいいし、彼らも安定した職につけるなら安心だろう。
正直、孤児の保護だって差別をなくす長期計画の一環だ。彼らが『未来の皇帝陛下のお婿さん護衛』として差別されなくなるなら、オレは大歓迎だった。
薔薇の蔦が突然足に絡んだが、ヒジリがぴしゃんと爪で叩き切ってくれた。足元で寝ていてくれるので、安心だ。ところで聖獣とオレは薔薇に狙われるのに、リアムとシフェルが無事な理由が気になる。あとでリアムに聞いてみるか。
『うひゃぁ……そこはらめぇ』
どこぞのAVみたいな声をあげて、ブラウが薔薇に絡まれていた。なぜだろう、助けようという気にならないのは。見送ったオレに従うように、ヒジリも見ているだけ。そもそも自力で逃げられる奴の面倒は後回しだ。
「飼い殺しなら、オレの直属でお願いするね。オレは構わないけど、話が外に漏れるとマズイんだろ? 気を使わないで済むから、
「その辺はあとで相談しましょう。それより結界です」
めちゃくちゃ結界に食いついてくる。確かに軍事バランスを崩す秘密である可能性が高いから、軍人で騎士のシフェルが興味を示すのはわかってた。
「結界の効力を確かめてみたいのですが……」
「いつでもいいぞ」
疲れるわけじゃないし、戦場での使用状況から判断して魔力酔いもない。あっさり承諾して、ついでに付け加えた。
「あ、明日の午前中はクッキー焼くからダメ」
予定はきっちり伝えないとね。ニート生活じゃなくなったんだから。苦笑したシフェルに「これからでは?」と提案される。ちらりと隣のリアムを見ると、なぜか目を輝かせていた。これはついてくるつもりだ。
「リアムが見たいっぽいから、護衛を増やしておいて」
「ええ、分かってます」
シフェルが立ち上がって騎士達に何かを伝達する。準備が整うまで少しかかりそうなので、片付けられたテーブルの上に紅茶のセットを用意した。続いて果物を取り出して並べる。蜜柑に似たオレンジ色の実、赤いベリー系の実、最後に白いよくわからない巨峰サイズの実だ。
味見のために齧った結果、思ったより甘いけど蜜柑系の果実を選んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます