90.リア充の英雄様は拘束プレイ中(3)
手錠の痕が少し残る手をそっと黒髪に沿わせ、意識を向けたところで頬にキスした。本当は唇を狙いたいが、変なところでビビリのオレは狙いを外して妥協する。
「なっ/////」
頬を赤く染めたリアムに、にこにこと邪気のない笑みを向けておく。純情だな~、頬にキスで真っ赤になるリアムも、唇を狙えない小心者のオレも。
「楽しそうだね、リアム。オレは頑張って戦ったのに、ご褒美が
手首についた痕を目の高さで見せつけながら、わずかに首をかしげる。この世界では整った方に分類される顔に満面の笑みで尋ねると、申し訳なさそうに目を伏せるリアム。嗜虐系の趣味なかったけど、もう少し意地悪したくなった。
「……その、悪かった。お前がクリスの胸に喜んでるから、つい」
「つい――閉じ込めたくなったの? だったら、オレが同じこと考えても許されるよね?」
「え?」
膝を立てて身を起こし、リアムを引き寄せてベッドの上に倒す。動こうとしたシフェルをクリスが留めた。どうやら本気じゃないと見透かしているらしい。クリスにウィンクして、驚いて目を瞠るリアムの顔の両側に手をついた。
一度でいいから(ただし、イケメンに限る)系の行動してみたかったんだ。某アニメのヒロインがされてて、照れる姿が可愛かった。
「こうやって閉じ込めちゃおうか? リアム」
ぼんっと音がしそうなほど照れたリアムがじたばた暴れ出し、オレは苦笑してベッドの上に座り直した。街の宿らしき部屋のベッドは硬くて、クッションに寄り掛かり直す。起き上がってぽかぽか叩くリアムの膨らんだ頬や尖った唇が可愛くて、幸せな痛みに身を委ねていた。
「いてっ……」
「……キヨ、私はあなたの将来が不安ですよ」
溜め息をつくシフェルの隣で「基本は
胸元を叩いていたリアムが、首にかかったネックレスに気づいて動きを止めた。じっと見つめたあと、オレのシャツのボタンを2つ外す。
「ちょ…っ、恥ずかしい」
「このネックレス、余が与えたものか?」
「他にネックレスくれる相手いないし、いても着けないよ」
リアムがくれたの以外は着けない。断言してから、えらく格好いいこと言った気がした。ちらっと目を向けると、リアムが嬉しそうに笑う。本当に可愛いし、綺麗だし、なんだかんだオレを大切にしてくれる最高の女の子だ。ときどき手錠かけちゃったとしても。まあ許される範囲だろう。
「明日帰ると知っていたが、待ちきれなくてクリスティーンと来てしまった」
ぽすんと隣に並んで寄り掛かる黒髪の美人さんに「そっか。ありがとう」と寄り掛かる。きちんと座る彼女の肩は、ずるりと砕けて座るオレの頭の高さにぴったり。オレの白金の毛先を弄るリアムだが、すぐにシフェルの手に引き離されてしまった。
「未婚の男女が近すぎます」
「婚約者なんだからいいじゃん」
「認めません」
娘が彼氏を連れてきたお父さんみたいな対応に、苦笑いした。
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