57.我に返ったのに、また囚われる(4)

 確かに戦ってからいつも仲間になるし、そのあとで名前も付けてるから、ほぼ間違いない。だが、残念ながらオレはPCゲームは弱かったし、詳しくない。


『あたくしに可愛い名をつけるといいわ』


 上から目線なのがよくわからないが、まあ龍は空中に住んでる(?)からいつも人を見下ろしてるし、これが普通のスタンスなのかも。


『主ぃ~、これはあのパターンですね』


「せーの『赤龍が仲間になりたそうにこちらを見ている!』」


 ブラウとハモる。


「選択ボタンがないけど、まあいいか」


 よっこらせと立ち上がった。少しばかり考えてしまう。ヒジリはオレの名をもじり、ブラウは青を意味するドイツ語、赤に関する格好いい……間違った、本人希望の可愛い名前を考えないといけないか。一人称が『あたくし』で、可愛い希望なら女の子系がいいだろう。


 細長い蛇みたいな形は、中国の龍っぽくていい。だとしたら和名?


「赤……アカ、朱色は違うし、紅か。『くれない』はカッコいい気がする。他の読み方か、『ベニ』『コウ』希望のあった?」


『コウは可愛い気がする』


 可愛い気がするが、何か違う。言わなかった部分を読み取ってしまい、日本人って空気読むんだよな~と変な方向へ考えがズレた。そうだ、いっそ女の子!って響きにしよう。


「紅子! コウコでどうだ!!」


『そっち!!』


 なんとか納得させる名前が出た。そういう意味じゃ、ブラウの名は考える間もなく決まった。ヒジリのときも真剣に考えたけど、今後を考えると名前を先に……いやいや、おかしいだろ。まだ仲間になってない奴の名前を考えておくとか、どこの自意識過剰君ですか。


 セルフ突っ込みで百面相するオレを、ブラウがジト目で見ていた。

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