2016年 3年 加美洋子

 私は次期会長に副会長の角田くんか書記の近藤くんが出てくれたらなと思っていた。この段階では近藤くんの方が積極的に手を上げるんじゃないかと思っていたし、それで良いと思っていた。


 思ったより学校側の動きはきつかった。次期会長で巻き返しを図ろうとしているようで角田くんに対して接触してきたのだ。彼は私にすぐその事を報告してきてくれた。彼は相手に話を合わせつつ証拠を確保した。それは許山もとやま先生との面談時の会話の録音だった。


 角田くんは許山もとやま先生に話を合わせたまま選挙戦に出馬、結局信任投票で信任多数で当選した。そして彼は当選挨拶で生徒会規則改正のについて訴えた。角田会長の豹変に許山もとやま先生は驚いた。そりゃそうだろう。手懐けたつもりが刃向かわれたのだ。


 許山もとやま先生の呼び出しには私も同席した。何かあったら目覚めが悪いから。そういう事をさせないために角田くんと一緒に生活指導室へ行った。


許山もとやま先生、これを聞いて下さい」


 先生の前に音声レコーダーを置いて再生ボタンを押した。スピーカーから許山もとやま先生が角田くんに学校と組んで行き過ぎた風紀規則緩和を見直す代わりに便宜を図るぞと提案している声が流れた。


 先生は激怒していた。そしてレコーダーを取ろうとしたので言った。


「当たり前ですがコピーはありますから」


 許山もとやま先生は口から唾を飛ばしながら怒鳴った。


「私を脅迫する気か?」

「いえ。念のため会話は録音はさせていただきましたが、何もしていませんし、する気もありません」


角田くんはそう許山もとやま先生に告げた。

そして私が一言補足した。


「でも先生には今後何もしないで頂きたいのです」


 こうして私達は許山もとやま先生を封じた上で校長の神部先生、教頭の寛田先生に対して風紀規則の生徒会規則への組み込みを要望した。

保護者会を先に根回ししていてこの時点で学校側は詰んでいた。

こうして第三中学校の風紀規則は学校側の意思だけでは変えられなくなった。


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