第94話 魔物と魔人、獣人と人間(2)

「フードの中身についてだけど……お互いに見なかったことにしない?」

「………はっ?」

「えっ?」


 えっ、私何か不味いことでも言った?

 ジャックさんは訳がわからないという表情を浮かべ、口を開く。


「いや、俺は魔混じりなんだぞ!?」

「えっ、まま……何?」

魔族混まぞくまじりだ!」


 焦っているような、怒っているような、複雑な表情をしたジャックさんが右の角を指差し、怒鳴る。


「角を見ればわかるように、俺はオーガと人間のハーフだ!」

「あっ、そうなの?」


 角が生えている生き物で人間と子供を生めそうな種族を考えてみたけれども……思い付かなかった。異世界なんだし、オーガ以外にも角の生えている種族がいそうだけどね。


 太陽の眩しい日差しが天井の割れ目から差し込み、床の翡翠に当たり乱反射する。そろそろお昼になるらしい。


「角の一本や二本生えていたところで、何か問題でもあるの?ウサギ耳の人だって、熊っぽい人だっているのだから、別に問題なくない?」


 まあ、帽子とかは被りにくくなりそうだけれども。


 ポカンと口をあけ、ジャックさんはその金色の瞳をこちらに向ける。そして、笑いだした。


「ははは、はっはっはっは!!あっはっはっはっは!!!」


 えっ、SAN値消し飛んだ!?


 ひとしきり大爆笑したジャックさんは、深呼吸をした後に、フードを下ろした。


 髪と瞳、双角が太陽の日差しを浴び、金色に輝く。


 そして、彼は口を開いた。


「シンだ。」

「へっ?」

「俺の本当の名前は、シンだ。」


 ニッと口角を上げ、ジャックさん……いや、シンは言う。


 私もフードを脱いで笑って言う。


「じゃあ、改めてよろしく。シン。」

「ああ。よろしく頼むよ、シロ。」


 金と白が、手を繋いだ。


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白のの「でもまあ、『ジャック』って名前はあからさまに偽名っぽかったよね。」

シン「……そうか?」

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