第73話 南へ

「とりあえず、南へ行こうかな。月の砂漠っていうのが気になるし。」


 装備を整えた私は、そんな気楽なことを考えて、南に伸びる街道を歩いていた。


 街道は、まだ王都に近いこともあり、レンガで舗装されている。赤や茶色のレンガを踏みながら、私はステータスを見る。


名前

種族    レベル 37

ジョブ 薬師

HP 210(180up)/210 MP 210(185up)/15

筋力 200(180up) 知力 213(183up) 瞬発力 207(182up) 精神力 215(185up)

アビリティ

生成(薬品)【8】(2up)  薬物知識【7】(1up) 植物知識【2】(1up) 精神汚濁耐性【4】(1up) MP軽減【4】(1up) 洗濯【3】(1up) 清掃【3】(1up)

称号

【赦された者】


 ロックの経験値でめっちゃくちゃに上がったな……。


 とはいえ、私の戦闘経験では無いわけで。

 おごらず、騒がず、いのちだいじに過ごしていこう。




 さて、急で悪いが、皆さんに質問だ。

 この世界には、レベルやステータスが存在しています。それは、日々の生活でも、魔物を狩ることでも成長させることができます。


 では、この世界での普通の……例えば、村人や店を構えた商人など、日頃魔物と戦うことの少ない20才以上の平均レベルは、一体いくつでしょうか?





「あああああああ!!もう!!!」

「待てやオラァ!!」

「とまんねえと殺すぞおらぁ!!」


 人気のない街道を、私は全力疾走していた。後ろからは盗賊ABCが追いかけてきている。


 答えは、40前後。生き物を狩る狩人や騎士、人間を狩る盗賊などは、当然平均よりも上な訳で。


「止まれやオラァ!!!」


 瞬発力強化薬でのドーピングを繰り返しながら、逃げていた私だが、距離は一向に離れない。


 次の町まで、歩いて7時間。ここからだと、あと2時間。もちろん、走って、な。


 2時間=60分×2=120分。

 なお、瞬発力強化薬の持続時間は1分。当然、120本も瞬発力強化薬を持ち合わせている訳が無いため。


「やばいやばい!!瞬発力強化薬がなくなるうううう!!」

「ぶっ殺すぞ、オラァ!!」


 手持ちの瞬発力強化薬は後5本。

 死にたくはないが、かなり絶望的だ。


 どうすりゃいい!?どうすれば生き残れる!?


「あっ、そうだ!」


 バックの中から銀貨を数回取り出し、後ろへ放り投げる。


 チャリーン


「ヒャッホウ!!銀貨だ!」

「今日は飲み会だぁ!」


 ちょっと腹立つが、命には変えられない。


「ヒャッハァ!!金だ、金だ!」


 くそう!!うぜえ!!悔しい!


 悔し紛れに、麻痺薬を塗った半銅貨を後ろへ放り投げる。


 数分後、悲鳴が聞こえてきた。やったね。


 なお、次の町、「カナン」についたのは、日がくれる直前。門がしまっていなくて良かった。


 宿は何処にしようかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る