第61話 薬草採取(1)

 私が一度死んでから6日目の早朝。武器とMPを手に入れた私は、王都の外に出てみることにした。


 所持品は、こちら。


 大銅貨3枚と銅貨5枚の入った麻袋

 工作用ナイフ2本

 低級ポーション10個

 瞬発力強化薬5個

 空き瓶5個

 水

 冒険者ギルドで借りた布袋三枚

 ギルドカード

 以上。


 うーん、少ない。


 まあ、持って帰るものが多くなる可能性も否めないし、これくらいが妥当かな。


 で、本日受けた依頼がこちら。


『薬草採取』

依頼主:冒険者ギルド

報酬:大銅貨2枚(指定された薬草三十束以上)

概要

 薬草採取。

 終了次第、ギルド受付に提出して依頼完了。

 王都近くの森には稀に魔物が出現するため、気を付けること。

期限

 依頼を受けてから2日以内。

受付制限

 なし(Gランク推奨)


 相変わらず大雑把だ。薬草って……。


 薬物知識によると、採取すべき薬草は『癒し草』。不安な名前だが、そのまま食べるだけでもHPを10回復する優れものだ。とてつもなく苦いらしい。


 繁殖力が強く、雑草みたくその辺に生えているとのこと。出来るならば栽培に挑戦してみたい。


「よし、行くか!」


 少ないバッグの中身を確認した私は、1人気合いをいれて、王都の外へと出て行った。




 王都を出てから20分。街道を少しだけ逸れた場所に、小さな森がある。

 森といっても普段は精々オオカミが出てくるくらいらしい。一体、何が精々なのか。


 受付のウサミミ職員さんから、オオカミに絶対に手を出してはいけないとさんざん注意された。何でも、人はあまり襲わず、魔物を食べてくれるのだとか。


 HPが貧弱な私は、自らアグレッシブに攻撃をしに行く趣味はない。作戦は常に『いのちだいじに』だからとにかく、オオカミに出会わない事を祈ろう。


 森に足を踏み入れた私は、そこらにある植物に片っ端から【薬物知識】を使っていく。


「これは雑草。こっちはビリビリ草。これが癒し草。」


 森の奥へ踏み入らないよう細心の注意を払いながら、薬草を摘んでいく。

 資源が豊富なのか、一時間足らずで癒し草の束が二十束出来た。


[【薬物知識】のレベルが上がりました]


 脳内に例のアナウンスが流れてきたところで、私は一度薬草を摘む手を止めて腰を伸ばす。ポキポキと骨の音がなった。


「さて、一回、休憩をするか。」


 独り言を呟きながら私は木にもたれ掛かる。

 木漏れ日がキラキラと森を照らし、とても美しい光景が広がっている。


 少し温くなってしまった水を口に含めば、思っていたよりも喉が乾いていたことに気がついた。


「あと十束だし、頑張るか。」


 再度体を伸ばし、しゃがもうとしたとき……




 がさっ




 何かが、動く音がした。

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