第12話 世紀末図書館
「MPポーションが作れないよ、あかねちゃん。」
「……そう。素材が足りないの?MPが足りないの?」
「どっちも。」
「……そう。
とりあえず、ここ、図書館の前だけど、何で私をつれてきたのかしら?」
「図書館が世紀末になったから。」
「そう。………は?」
いや、図書館で魔法を試し打ちするのはちょっと止めて欲しい。
最近、本をボロボロにした男子が、
図書館で火の魔法を試すんじゃねえ。本が燃えるし、司書さんがそれを見て卒倒するだろ。
私みたいにおとなしく生成(薬品)しとけよ。
え?私もだめ?いやほら、本とか設備とかに何らダメージは与えていないでしょ?
そんなことを考えながら、図書館のしっとりとした手触りの扉を押し開ける。
目に飛び込んできたのは、色とりどりの魔法弾。
「ヒャッハー!!火力火力火力ゥ!!!【ファイアバレット】ォ!!」
「そんな緩い攻撃、当たるかよ!【アクアバレット】!」
「お前ら、地形をもっと有効活用しろよ。【身体強化】(本棚を蹴り倒す)。」
「きょ、今日も残業、始末書が………バタリ。」
「ぶ、部長ぉぉぉぉお!!」
「…………のの、ごめん。あの馬鹿どもを一回、しばいてくるね。」
「頼んだ。」
あかねちゃんは、HPモヤシの魔術師のほうに走りよると、身体強化なしの拳を振り下ろす。
「いっだ!!何すんだよ、嶋崎!」
そう言って頭を押さえている男子に、あかねちゃんは低い声で、
「何してんのよ、馬鹿ども。ちょっと訓練場にこい。
……来なかったら、わかっているな?」
と、不良顔負けの脅しを吹っ掛ける。
すごいなー、あかねちゃん。あれ、MPを使ったアビリティ【威圧】だよなー。男子どもの足がガクブルしてるし。
アビリティって、何度か繰り返し物事を行うことで身に付くんだよなー。
……誰かに何度か【威圧】をしたことがあるのかなー。
____まあ、いっか。
本を読もう。
ほら、読書をするときっていうのは、自由で、救われてなきゃ駄目なんだ。……独りで静かで豊かで。
……半分ぐらい満たされていないな。図書館にはデフォルトで佐藤さんがいるし、倒れた司書さんを介抱している人は、大声で司書さんの名前を叫んでいる。
言うだろ。図書館ではお静かにって。しろよ。お静かに。
____あれ?デフォルトで、佐藤さんがいる……?
私は、何か引っ掛かりを感じつつも、読書を開始した。
____________________________________________________________________
誤字について。
第11話 アルフレッド・ドルトン より
ホンダ マリン ×
サトウ ユメコ ○
なお、本田 まりんさんはエンチャンターで、このあとちらりと出てくるモブさんです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます