第11話 閑話 アルフレッド・ドルトン

 俺は、ドルトン公爵家が次男、アルフレッド・ドルトンだ。

 武術の名家とされる我が家でも、俺の実力は圧倒的なものがあるのだろう。


 家柄と実力があると、どうなるか。酷く簡単なことだろう。若くして、出世する。


 出世の結果、俺は国王軍一番隊隊長という大変名誉な職についている。

 それなりに忙しくはあるものの、俺はこの生活が気に入っていた。____訳の分からない、異世界の勇者とやらが現れるまでは。


 腹がたったな。神さんは余程俺たちの力が信用ならないらしいのだから。

 国境も国内も俺たちが日夜守っているというのに、やって来た勇者。しかも、歳は13、14だと。成人前の子供が28人と、その先生だという大人が一人。

 しかも、調子に乗っているやつも何人か見られ、図書室を破壊しかけた馬鹿もいる。


 簡単に言えば、気に入らなかった。


 しかし、そんな気に入らない勇者一行だが、ちょっと面白いやつが何人かいる。


 まずは、勇者、アサイ ユウト。

 ジョブ、勇者の恩恵か、ステータスがぶっちぎりで高い。副隊長であるヴァイスに聞いた話だと、鑑定水晶が光輝いたのだとか。


 性格は、馬鹿みたいに真っ直ぐ。猪突猛進とも言える。または、正義漢。


 俺と剣を交わすことのできる、数少ない人間だ。

 ただ、ステータスばかりで技が少ないのが欠点だろう。真っ直ぐすぎる剣筋は予想して止めることが余裕でできてしまう。


 次に、シマザキ アカネ。

 女であるにも関わらず、俺と剣を交わすことのできる人間だ。

 ステータス筋力はそれなりでしかないのにも関わらず、ステータス差を技と手数で埋めてくる。


 なかなかにトリッキーな攻撃を織り混ぜてくるため、剣を交わすのが楽しい。


 レベルさえ上げれば自然と筋力が上がるため、アカネは強くなるだろう。


 三人目は、サトウ ユメコ。

 この少女は前の二人とはうってかわって、魔法使いだ。レパートリー豊富な魔法を組み合わせて使ってくるため、対処が難しい。


 が、残念なことにこの少女はあまり本気でこの訓練に参加しない。本人いわく、『訓練が大切なのはわかるけれども、私は本がよみたい。』らしい。今一つよくわからない。


 最後は、アシナ ノノ。

 戦闘面は、まったくと言って良いほどできない。その点で言えば、全く持っておもしろくないのだが、なんだかんだ言って根性がある。


 レベルが70代の隊員でさえ泣き言を言う訓練に、圧倒的低ステータスで食らいついてくる。

 最近、強化薬を作れるようになったらしく、先日それを使ってアサイと良い勝負をしていた。

 まあ、その後にさらに10周するとは思っていなかった。そう言えば、初める前に20周しろって言っていたな。


 あとは単純に面白い。底抜けの阿呆というか、清々しいまでの阿呆と言うのか、ポツリとする発言の一つ一つが面白い。

 表情筋が死んでいる副隊長のヴァイスを爆笑させるくらいには。


 あいつと組んでからそれなりに長いつもりだったが、あそこまで笑っているヴァイスを見るのは初めてだ。



 勇者一行の一部は確かに調子に乗っていたりもするが、13、4歳らしいとも言える。


 ……国王がよくわからないことをいっていたりもする以上、彼らが死なないように強くする必要があるだろう。


 せめて、自分の身を守れるくらいには。

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