第10話 デッドヒート!

 異世界に来てから四日目。朝8時。

 さて、軍の訓練の時間だ。


「全員外周10周!」

「さー、いえっさー!」

「余裕そうだなァ、アシナ!貴様は特別に20周だ!!」

「………い、いえっさー。」


 周りでクスクス笑う声が聞こえる。騎士さん、お前、また笑ったな!!真面目に訓練しろよ!

 というか、あかねちゃんと葵ちゃんがちょっと心配そうにこちらを見ている。

 だけど、問題ないんだよな!!これが作れたから!


 私は、ポケットの中からコバルトブルーの液体のはいった小瓶を取り出す。

 そして、一気にそれをあおる。


「よっしゃ、行くぞ!」

「……くれぐれも、逝かないでね。」


 縁起でもないことをあかねちゃんは言うが、別に問題はない。

 昨夜、葵ちゃんから材料をもらって生成することが出来た薬品、その名も、瞬発力強化薬!

 薬物知識先生によると、効果はこんな感じ。


[瞬発力強化薬(弱)]

瞬発力を一定時間50増やす

材料 水 スピード草 薬草 ハーブ


 材料がやたら多いため、今までは作れないでいたが、薬草とスピード草を葵ちゃんに栽培してもらい、種と現物を貰うことができたため、生成に成功した。

 材料を全部使っても、使用するMPは14。ジリ貧だね(白目)。

 そのうち、戦闘中でもささっと薬が作れるようになりたいな………


「初めェ!!」


 スタートの合図と共に、みんなは走り出す。

 それについていく私。


 先頭集団は瞬発力100越えや支援魔法による圧倒的強化の化け物ばかりなので、それには流石についていけない。が、元の16に、瞬発力強化薬の50で

今の私の瞬発力66。中間辺りを走ることができている。


 そして、私はさらに瞬発力強化薬を使用する!!

 その効果で私の瞬発力は116に!!


「ヒャッホーイ!!」


 一気に先頭集団に食い込んだ私は、調子にのって先頭の朝井くんを一瞬だけ抜く。


「うおっ!?」


 強化とステータスの恩恵でいまだに誰にも先頭を許したことがなかった朝井くん。

 そこからは、デッドヒートだった。


 強化薬が切れる度に抜かれ、追い付き、追い越し……と、繰り返した結果。


「すげえええええ!!」

「おお、頑張れ!」

「俺はアシナに金貨三枚賭ける!」

「俺はアサイだな。」


 やたら大事になってしまった。



 しばらく走り続けて、あとは直線。

 そんなとき、私の一歩前を走っていた朝井が、口を開く。


「悪いな足名。先にゴールさせてもらう。【ヒーロータイム】!!!!」


 そう叫んだ朝井くんは、金色の光に包まれたかと思うと、一気にスピードを上げる。


「はぁっ!?ここでオリジナルアビリティを使うかぁ!?」


 だが、そう思ってももう遅い。

 直線を一気に走り抜けた朝井は、そのままゴールへ。


「ウワァァァァァァァァアアア!!」

「すげえ、すげえよ!!」

「俺の金貨三枚いいいいいい!!」


 皆に祝福される朝井。遅れてゴールインする私。


「足名、良い戦いだった。」


 そう言って右手を伸ばす朝井。


 それに対して、私は…………



「ごめん、私、あと10周あるんだわ。」


 差し出された右手を無視してそのまま走り続ける。


 教官、外周20周は流石に鬼だと思うんですがねぇ。

 後半、強化薬が無くなってひぃひぃ言いながら、最下位ゴールを果たした。


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[瞬発力強化薬] 必要MP 14

瞬発力を10分間50増やす

材料 水 スピード草 薬草 ハーブ


 スピード草……青色のエネコログサ。そのまま食べるとエグい。

 薬草……普通の葉っぱ。すごく苦いが食べるとHPを10回復させる。

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