第9話 やっべ、忘れてた。
「この子、私が育てる!」
「いや、ダメよ!あなたは植物なんて育てたことがないでしょ!」
『ふわぁー?』
「こんな可愛い子、植物じゃないもん!妖精だよ、この子は!」
「だったら、尚更よ!絶対に私が守る!守るための力が私にある!」
『ふわぁー!』
誰が親かで言い争う私達。それをよくわからない表情で見守る赤ん坊。
私達がそんな言い争いをしていると、分厚い扉にノックの音が響く。
「「何よ!」」
『ふわぁー?』
「ヒィっ!?いや、隣の部屋の
「………入って良いわ。」
ちょっとだけ冷静になった私は、葵ちゃんが用意してくれていた椅子に腰かける。
がちゃりという音と共に、宮藤くんが葵ちゃんの部屋に入ってきた。
そして、一言。
「え?何このちっちゃい緑色。」
「「あ"?」」
「ヒィっ!?」
思わず威嚇してしまったが、これは流石に宮藤くんが悪い。こんな妖精みたいに可愛い子に「ちっちゃい緑色」って!!
少しだけ怯えた表情を残したまま、宮藤くんは口を開く。
「で、何があったんだ?」
とりあえず、私達は事情を説明する。
「ん、葵が育てればいいんじゃね?」
「何で?」
私がそう聞くと、宮藤くんは答える。
「この植物、というか、生物を育てられるのって、葵だけだろ?ののも育てるのを手伝えば成長を見守れるだろうし。」
「むー……。」
確かに、それは事実だ。
私のジョブが薬師である以上、私がこの子にできるのは作成した薬品によるドーピング位だ。
それであるならば、植物としての成長が望める葵ちゃんに託した方が良いだろう。
「葵ちゃん、たまには私にもお世話させてね。」
「良いわ。」
「名前は、私につけさせてね。」
「良いわ。」
「いい感じの薬ができたら、ドーピングさせてね。」
「それはダメ。」
こうして、成長促進薬を使うことで生まれた赤ん坊、リリィは、葵ちゃんの仲間になった。
________________________________________________________________________
[成長促進薬(植物)]
植物の成長を促進させる。液体。
材料 水 窒素(MP代用) 腐葉土(MP代用)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます