第8話 お薬できたね♪

 はーぁい!ののだよ!


 ………何でもないです。

 ほら、何となくだよ。明るくしてなきゃやってられなくなってね。


 さて、今のMP14で出来そうな薬品を片っ端から作ってみたのだ。

 新しい薬品はこちら。


[成長促進薬(植物)]

 植物の成長を促進させる。

材料 水 窒素(MP代用) 腐葉土(MP代用)


 使ったMPはちょうど14。頭が痛いね(白目)!


 水をMPで代用していたら、MPを18使うことになる。MP代用は便利なのか不便なのか今一つわからない。

 そして、材料の窒素なのだが、どうやらそこら辺の空気ではダメらしい。これは確実にMP代用にお世話になる他ない。


「うーん、使ってみようかと思ったけど、植物なんて、持っていないな……」


 その時、ふと、クラスメイトの一人を思い出した。


「あ、たちばな あおいちゃん、ジョブが植物使いじゃなかったっけ。」




 美しい彫刻を施された、分厚い木の扉。久しぶりに来た、南側の客室の扉だ。

 うん。一時期はここが私の部屋になるんだと思っていましたよ。そんなことはなかったけどな。


 とりあえず、ノック。


 とんとん、ととん、とん。


「雪だるま作~ろう♪ ドアを開けて~♪」

「アナはお帰り下さい。」

「………足名です。」


 いや、ほら、やりたくなっちゃうでしょ?こんなに豪華な扉だと。

 私がそう言うと、葵ちゃんはドアを開けてくれた。


 室内は綺麗に片付いていて、私の部屋よりも余裕で三倍くらいは広い。

 本棚のようなところには、良く手入れされた鉢植えがところ狭し並んでいる。

 そのなかに、明らかにヤバそうな蛍光ピンクの色の茸があったり、割と自由に動く肉食系植物があったりするのは、もはや愛嬌だろう。


 葵ちゃんは、腰の辺りまである艶々した髪の毛を下ろしている。顔は綺麗に整っていて、すごく美人だ。街を歩けば、十人中八人くらいは振りかえるだろう。


「何のよう?」


 葵ちゃんは手に持っていた赤い花を咲かせた鉢植えを机の上におくと、こちらを見てそう聞いてきた。


「あのさ、もし何かあっても大丈夫そうな植物、持っていない?」

「………一体、何に使うつもりかしら?」


 葵ちゃんは、頭を抱えてそう聞いてきた。


 とりあえず、私は事情を説明する。


 それを聞いた葵ちゃんは、本棚の方へ歩み寄ると、ひとつの鉢植えをとり出した。


 それには、小さな双葉がちょこんと生えているだけで、おかしな様子はない。

 ……少なくとも、葉っぱが青色だったり、赤の水玉模様立ったりはしない。


「いくつかの食虫植物を掛け合わせて作ってみたの。けれども、精神力が高いのか、私の魔法が効かなくて。とりあえずはこれでためしてみて。」

「何で植物に精神力が有るのかな!?」


 そう聞くと、葵ちゃんは、そっと顔を反らした。


 ちょっと悪い予感がしつつも、私はその植物に薬品をかけてみる。


………3秒経過。変化はない。


 手に持っていた鉢植えを床の上において、ドアの方へ避難する。

 前を見れば、葵ちゃんはとっくに窓際に避難していた。


………5秒経過。まだ変化はない。


………10秒。


 ガタッ!


「ヒッ!」


 鉢植えが動いた!!


 ガタガタガタッ!


 そのあとも、鉢植えは揺れ動き、そして、ついに最後の時が来た。


 ピキピキッ


 あまりの質量に、鉢植えが耐えきれなくなってきたらしい。大きなヒビが入る。

 それは、ものの数秒で限界を迎え、中身が姿を表した。


 バキッッ

『ふわぁー。』


 気の抜けるような鳴き声を上げて、それは現れた。

 緑色の肌。艶やかな深緑色の髪の毛。登頂部には、まだまだ青い蕾。小さく平坦な体には、まだなにもまとっていない。

 ぷにぷにとした腕に、足。ほっぺはふっくらと丸い。


 それは、赤ちゃんだった。


 葵ちゃんと私は、思わず叫んだ。


 「「か、可愛いーーーー!!」」

『ふわぁー?』


 キョトンとした様子の赤ん坊は、されるがままに私たちによって抱き締められた。

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