第2話 ちょっと何言っているかわからないですねぇ(困惑)

 前回の振り返り

 なぜか、異世界転移していた。何を言っているかわからないと思うが、何が起きたのかわからない。

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 私が後頭部を押さえていると、派手な刺繍の入ったローブをまとった金髪の男性が入ってきた。すらりとした体躯に、日本人離れした堀の深い顔。左目には、黒い布地の、何やら魔法陣のようなものが金色の糸で刺繍された眼帯をつけている。右目はなんと金色。

 神々しいともいえるだろう。……しかしだな。私には、ちょっとばかし、なんというか、その、あれだ……


「……外国人の気合の入った中二病患者のコスプレ?」

「ちょっと!」


 私の発言に、クラスメイトの緊迫が少しだけ和らぐ。頼むから爆笑しないでくれ、まいふれんど。苦笑いすんじゃねえ、後ろの騎士さん。

 ちょっと気まずい顔をしたその男性は、「あー」とか、「うむ」とか、微妙な発言をしばらくしたあと、


「ようこそ。異世界の勇者たちよ。」


 と、厳かな声で発言した。




 ……その瞬間、なぜかクラスが爆笑の渦に巻き込まれた。


 普段はあまり笑わない佐藤さんや、ちょっといかつい加藤さんすらクスッと笑っている。

 やめて、睨まないで。私のせいじゃないから、眼帯の男性。つられて笑わうんじゃねえ、後ろの騎士さん。


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 みんなが数分間笑い転げたあと、ちょっと悲しそうな顔をした眼帯の男性が、口を開いた。


「わたくしは、クリスト・ナザレ・ブッタ。アリステラ教の司祭だ。」


「ねえ、あの人はキリスト教なの?仏教なの?」

「やめて!のの!」


 いまだに腹を抱えたままのあかねちゃんが私にそういう。

 眼帯の男性、もとい、クリストさんは、言葉を続ける。


「本日、アリステラ様より、異世界の勇者たちがここへやってくるというご神託が下さった。我々は、勇者様がたを迎えに来たのだ。__さて、勇者様をこちらへ。」


 なぜか青っぽい色をした金属のフルプレートをまとった騎士たちが、この部屋に入ってくる。


 あっという間に、私たちは別の部屋へと案内された。


 ついた部屋は、いわゆる、謁見の間とでもいうやつだろう。広々とした部屋に、豪華絢爛という言葉の似あうシャンデリア。絨毯は何かの獣のものなのか、ふかふかとした足ざわりだ。

 部屋の最奥に、誰かが座っていた。

 頭には、美しい王冠。真っ赤なマントを着た、老人といえるような年齢の男性。彼は、ゆっくりと、堂々たる声を出した。


「ようこそ、勇者よ。___どうか、魔王を打ち取ってくれ。」


「ちょっといろいろ飛ばしすぎてない?」


 私は思わず、あかねちゃんだけに聞こえる声量でそうつぶやいた。あかねちゃんは「ブッ」と必死に笑いをこらえた。


 

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