ダンジョン攻略
俺の名はたかし。
この町内を縄張りとする冒険猫だ。
こう見えて俺は、この辺りじゃちっとは名の知れた猫勇者だ。
この4本の脚から放たれる、デススラッシュに耐えられるものはそうはいない。
昨日も高難易度ダンジョン、シントウシュラインで地獄の番犬ポチを瞬殺し、ドロップアイテムのドッグフードをせしめて見せた。
昨日に引き続きシントウシュラインに行きたいところだが、昨日ポチを倒したことで、恐らく今日はゲートキーパー佐藤が立ち塞がってくるはず。
流石の俺も佐藤相手には分が悪い、奴の持つ聖剣法規カリバーはリーチが長く、一対一では近づく事さえままならない。
にもかかわらず、挑戦したくて体が疼く。だがまだ早い。今はまだその時ではないと、俺の本能が囁く。
猫は本能に従い生きる。その絶対のルールを遵守する為、今日の所は諦める事にしよう。
だがいつの日か必ず、仲間を集め、レジェンドクエストである佐藤討伐を達成して見せる!それまで精々首を洗って待ってな!
さて、シントウシュラインは諦めたものの、さっきから腹が鳴って仕方ねぇ。
早急に次のダンジョンを見つけなければ、干上がってしまう。
勇者と呼ばれる俺も、飢えと渇きと雌猫にだけは勝てないからな。
そこで俺はピンと閃いた!佐藤ダンジョンだ!
シントウシュライン横に存在する、最高難易度を誇るダンジョンだ。
普段ならばゲートキーパーが常駐しており、危険極まりないダンジョンなのだが、今ゲートキーパーは居ない。鬼の居ぬ間にとは正にこの事だ。
ゲートキーパーの居ない佐藤ダンジョンは、最早ボーナスステージと言っていいだろう。
ぶくぶく太ったフルニョーボーというオークの亜種が、俺達猫を見ると恐れおののき、キャーキャー悲鳴を上げながらキャットフードをばら撒くのだ。
よし!決まりだ。俺ははやる気持ちを押さえ、悠然とダンジョンへと向かう。
慌ててダンジョンへ駆け込むなど三流。
勇者たるもの常に泰然としておらねばならん。
みたいなことを、野良猫供は考えてるに違いない。
やっぱり猫は狡賢く、怖い生き物だ。
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