拘束具
「あー、さっきはちょっとカッとなりすぎた」
「すいません。私も動揺してしまい……」
まあ、そうだよな。女の子が目の前であれだけの人が死ぬのを見たら普通は動揺する。ん?何で俺は動揺しないんだ?なんか、こう、感覚がおかしい気がする。
「また、付いて来てくれますか?」
伏し目がちにためらいながら頼み事してくる可憐な少女のお願いへの答えは、もちろん、YESだ。YES、YES。
「ああ、任せろよ」
「でしたら、あの、これを着ていただけませんか。さすがにその格好はちょっと……」
そう言って、白に青い縁取りをした長衣を取り出す。お、これは!ノアゼットちゃんとペアルック!まあ、たぶん神官服なんだろうけどな。
でも、この服は彼女のほっそりとした体形を際立たせてよく似合ってるなあ。それでいて、まだ幼さの残る顔立ち、大きすぎない胸の膨らみ。たまらん。
「お気に召しませんか?」
「いや、そんなことないよ」
服を渡すとノアゼットちゃんは後ろを向いた。なるほど、いますぐこの場で着替えろというのね。お、パンツもあるのか。良かった。今の毛皮のパンツはすーすーするからな。じゃあ、脱いでっと。お、肌触りいいねえ。滑かでいい感じ。ズボンと上も着てと。
「おまたせ」
「よくお似合いです」
「そうかな」
「サイズはどうですか?」
「ばっちり」
「下着も?」
「お、おう。ばっちりだぜ」
なんだ?下着のサイズまで気にしてるのか?
自分で言い出しておいて、ちょっと恥ずかしそうにしているぞ。ほおを染めて、なんかちょっとエロいな。その表情を見ていると俺の体の一部が元気になってきた。新しい下着はしっかりとホールドしていていい感じだ。
おっと、すっかり日が暮れてしまったぜ。月明かりの下、目を凝らすと木々の中に小屋を発見した。あの山賊連中の監視用の拠点かなんかだろう。入ってみると、一応、1晩夜露をしのぐには問題なさそうだ。うひょー、こんな可愛い子と一つ屋根の下。これはひょっとしてそういうイベント?ひゃっほーい。
ノアゼットちゃんは馬からフェルトっぽい布を降ろし、寝る場所を作っている。あれ?俺の分は?なるほど、そういうことですか。次いで、上掛けを持ってくるとそれにくるまって横になった。おやすみなさいの声が聞こえる。ごくり。えーと、これはつまりそういうことですよね。ははは、参るなあ。急展開過ぎて。
まあ、でもそういうことでしたら遠慮なく。上掛けの端を持ち上げて、身を滑り込ませ、右手を伸ばした。失礼しますよ。そのとたん、キャっと言って、ノアゼットちゃんが寝床から飛び出す。
「な、なにをしているんですか?」
「なにをって?」
ノアゼットちゃんは息を弾ませ、胸が大きく上下している。思わず目がくぎ付けになりながら、俺が立ち上がると、ノアゼットちゃんが口の中で何か唱えだした。その瞬間、俺は悶絶して昏倒する。痛い、痛い、痛い、し、死ぬぅ。
俺の大事なゴールド・キャノンボールがギリギリと締め上げられながら、俺の骨盤に打ち付けられる。うおおお。ノアゼットちゃんが唱えるのをやめると痛みはウソのように消えた。はあっ、はあっ、今のはちょっと効いたぞ。血走った目でにらみつける。
そのとたん、また、俺の大事な部分がお互いに打ち付けあう。まるでアメリカンクラッカーのように!カン、カン。うごおおおお。口からよだれを垂らしながら崩れ落ちる。死ぬ、死ぬ、あたし、死んじゃう……。そして、痛みは始まったときと同様に急に収まった。
俺は小屋を飛び出し、ズボンを下げる。本当はその場で下げたかったのだが、わずかに残った理性が俺にやめろと告げていた。誤解されて死ぬと。ズボンを下げてみると下着が俺の下半身にからみついている。脱ごうとすると途中までしか脱げなかった。竿はいいけどボールは離さない。そんな感じで食い込んでいる。よく見ると竿の根元の周りにも巻き付いているじゃないか。くそっ、なんだこれ?
気配に顔だけ振り返ると戸口のところにノアゼットがいて、こちらを見ている。このまま全身振り向いてはまずいと本能が告げていた。あわててズボンをずり上げ、ノアゼットに向き合う。
「どういうことだっ?」
ノアゼットはビクっとする。まずい、恐怖に駆られて、また呪文を唱えられては俺が死ぬ。できるだけ声音をおちつかせながら、再度聞いた?
「なんで、こんなことをするんだ?」
「クラウス様がおっしゃったのです。『これから出会う護衛の者は節操のない男ゆえ、そなたを汚そうとするかもしれません。そのため、この下着を履かせ、身の危険を感じたら、私の名を唱えなさい』と」
くそ、あのクソ神め。余計なことしやがって。まあ、予想が当たってるのは否定できないけどな。
「それで何がしたい?」
「私の護衛を続けてください。そして、今夜のようなことは二度としないと誓ってください。本当は今すぐ目の前から消えて2度と顔も見せないで欲しいのですが、クラウス様が我慢せよとおっしゃいました」
ぐ、今度は精神攻撃か。やるな。
「断れば?」
即座に激痛が俺を襲う。あががぐわあああ。
「わがった」
痛みがやむ。
「選択の余地はないようだ。従おう」
くそお、覚えていろよ。いつか絶対復讐してやる。
「それでは、これで休みます。くれぐれも小屋に近づかないでくださいね。あ、今寝入ったらとか考えましたね。意識がないときはあなたが体に触れた瞬間に、それの効果が発揮するそうです。それでは、おやすみなさい」
なんだ、そのチートな設定。ばっかやろー。
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