ハラスメント(株)
近年、セクハラ、パワハラなどがメディアで取り上げられるようになり様々な〇〇ハラスメントという言葉が造り上げられている。
それはうちの会社とて例外ではない。
私は、今年50歳になり会社での役職は部長。
順調に出世してきたが最近は部下との接し方に苦労している。
少し叱ればパワハラだと言われ、女性社員には存在がセクハラだと罵られ、非常に生き辛い世の中になってきた。
「「ハラスメント(株)」」
ーーー会社にて
部下男「ぶちょーwすいやっせんw寝坊しちゃいましたwもう朝起きたら10時なんすよwパネェw」
私の部下の男が3時間遅刻して会社にやってきた。
部長「君は何度遅刻すれば気が済むんだ!クビにするぞ!」
部下の男「…クビ?」
私は叱責した後にハッとした。
オフィス内の人間がほとんどこっちを見ている。
部長(しまった!これは、パワハラになるのか?フォローしなければ…)
部長「チ、チクビにするぞと言ったんだ!あの、チクビみたいにピンク色にな!はっはっは」
私は、咄嗟にクビというNGワードをチクビに切り替え事なきを得た。かのように見えたが…
部下の女「部長!今チクビの話しましたよね?しかも色の!それチクハラです!私のチクビピンク色じゃないので傷付きました!謝ってください!」
部長「す、すまん…」
部長(はぁ、昔はみんな寛容で良かったのにな。お前のチクビおやつカルパスみたいとかレーズンみたいと言っても許されたのにな…)
部下の女「心のこもってない謝罪はシャザハラですよ!心込めて謝ってください!」
部長「な、何を言っている。今謝ったじゃないか!君こそあれだ、あの、私のプライドを侵害してるからプラハラだ!そうだプラハラ!」
口論になっていると遅刻してきた部下の男が割って入ってきた。
部下の男「ぶちょープラハラなんて言葉ないっすよwなんでも最後にハラつければいいってもんじゃないんすよwハラハラドキドキするなもうw」
部長「…ハラハラ?」
部長(昨今、ハラスメントを理由に何かと言ってくる人間は増えている。それに対してのハラスメント。ハラスメントハラスメントというのは実際に存在してもおかしくないぞ!私は部長!若い子には負けられんのだ!)
部長「チクハラやシャザハラなど、ハラスメントを理由に私に文句を言うのはハラハラではないのかね?」
その時オフィス内の人間が全員固まった。
部下の男「ぶちょーそれ言っちゃやべーすよ!今の言葉録音されてたら日本から追放されて一生バチカン市国から出られない身体になるっすよ!デュズニーシー並みの大きさしかないっすよ!若い頃世界を股にかけてたぶちょーはそんなの耐えられないっす!早く前言撤回するっす!」
部下の女の口元が緩んだ。
部下の女「ふふふ、残念だけど今の全部録音させてもらったわ!部長は残りの余生をバチカン市国で過ごすことになるでしょうね!子供の成長も見届けられずにね!あっはっは、おっかしい。」
部長は俯いてふるふると震えている。
部下の女「バチカン市国にバチコンと飛ばされるのが嫌なら慰謝料払いなさい。3000万。アーロンを倒した後のルフィの懸賞金と同じ額よ。あなたが汗水流して働いて子供のため老後のため少しずつ貯金したお金を私によこしなさい!このハゲ豚!あっはっは」
俯いた部長は誰にも見えないところで右側の口角を上げていた。
右ポケット内にRECの赤いランプを光らせて…
ー完ー
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