格ゲー首脳会談

––2xxx年首脳会談前日

ゲーム製作者A「やべーよ。このゲーム、明日の首脳会談で使われるのに全然仕上がってねーよ」


ゲーム製作者B「日本のキャラクターに時間かけすぎてしまったな。首相の命令だったし逆らえなかったよ。だがもう首脳会談は明日だ。もうこれでいくしかない…」



––2xxx年首脳会談当日

日本「えー本日はお集まり頂きありがとうございます。日本の首相です。」


とある場所に国際連盟加盟国である200国弱の国のトップが集められた。


日本「かねてより準備を進めて参りまして、また製作途中でアクシデントなどあり間に合わないと焦っておりましたが、ようやく昨日ゲームが完成いたしました。皆様で楽しんでもらいそれが平和な世界を築くことに繋がればと思っております」


そういって日本のトップが頭を下げると拍手の大喝采が起こった。


パチパチパチパチ


今日は世界的に平和の第一歩を踏み出す特別な日になる。

誰もがそう信じていた…



「「格ゲー首脳会談」」



アメリカ「ところで日本さん。そのゲームというのはどこにあるんだね?」


日本「あー、この布被せてるやつですよ」


日本のトップはそう言って布を取り払った。

そこにはゲームセンターでよく見かけるあの筐体があり、向かい合って対戦するようだった。


アメリカ「オーマイゴッド、これじゃ2人ずつしかプレイできないじゃないか!この会場には200人近くの人がいるんだぞ!」


日本「すいません、なんせ昨日完成したものですから、2つ分の筐体しか用意できなかったのです。しかし前方の巨大スクリーンにこのゲームの試合内容を映し出せるようにしてますので待ってる間はそのスクリーンをみてもらえば楽しめますよ」


アメリカ「…ふんっ、まぁいい。じゃあまずは私からプレイさせてもらうよ」


日本「わかりました。でもその前に僕がチュートリアルとして簡単な操作方法を教えておきますね」


日本のトップが席に着く。


日本「えっと、このゲームは2D格闘ゲームとなっていて、いわゆるストラータファイターのような感じでコマンド入力で特殊な技や必殺技を出して相手を倒すゲームです。左の丸いレバーがキャラの移動で右の4つのボタンがパンチやキックといったシンプルな操作性です」


???「おぉーなんか面白そうだぞ!」


どっかの国の人が言った。


日本「そして1番のポイントはキャラクターの数です。なんと各国に1人、代表キャラクターを作りました。つまり国際連盟加盟国である200弱という膨大な数のキャラクターが選べ、操作できるというわけです」


ガヤガヤガヤガヤ


???「かなり作り込んでるみたいだな」


???「これは楽しみだ」


???「おい早く始めようぜ」


???「ウメハラがぁぁぁ画面端ぃぃぃぃぃ!!」


期待で場が賑わってきた。


アメリカ「大体説明は分かった。早く始めよう。私は説明書などは読まないタイプなのでね」


日本「わかりました。早速やっていきましょうか。じゃあまずは100円玉を入れてください」


日本以外「!?」(金取るの!?)


アメリカ「おいおいアメリカンジョークか?第一私はドル札しか持ちあわせていないぞ」


日本「あぁ、ご心配なく。あそこに外貨両替所設置してますのでそこで両替してきてください。それにこのゲーム作るのにたくさんの費用と労力がかかっているので少しは援助してくださいよ」


日本のトップはにやけついた顔でそう言った。


ガヤガヤ


???「金取るのかよありえねぇ」


???「でも少しは援助してやろうぜ」


???「日本が言っていることもわかるよ」


有料であることに驚いた各国のトップたちだが言っていることも納得できると少しずつざわめきは収まっていった。


アメリカ「ちっ、オーケー、両替してくるよ」(ジャップが調子に乗りやがって)


アメリカのトップは席に立ち両替所に行きお金を両替してすぐに戻ってきた。


アメリカ(くそっ!手数料もしっかり取りやがって!)


日本「では始めましょうかね。100円玉を入れてスタートボタンを押してください」


アメリカのトップは言われた通りにした。


チャリン


テーテーテッテテー


ゲームが始まった。


日本「キャラクター選択の画面から始まるのでキャラクターを選んでください。そして今回皆様にゲームをする上で縛りをつけたくて、自国の代表キャラクターのみしか選んではいけないというのはどうですか?例えば私なら日本のキャラクターしか使えないって感じで」


ガヤガヤ


???「いいんじゃないか?せっかく各々のキャラクターを作ってもらってるんだし」


???「そっちの方が盛り上がりそうだ」


アメリカ「それでいいんじゃないか?みんな乗り気だし。では私はアメリカのキャラクターを選ぼう」


アメリカのトップはアメリカのキャラクターにカーソルを合わせていく


ピッピッピッ


スタートボタンを押し決定した。


ピコンッ


するとマッカーサーみたいなサングラスをした太った警察官が現れた。


ワッ


少し会場が笑いに包まれた。


アメリカ「これが私の国のキャラクターか…」(えっ、このデブポリスマン戦えるの?ってかまさか日本め、アメリカが肥満大国であることを風刺しているのか?)


日本「あっ、ちなみにキャラクター製作は僕は関わってないし製作者の勝手なイメージを元に作っているので悪しからず」


そう言いながら日本のトップが日本のキャラクターを選択した。


ピコンッ


そこに現れたのは日本の首相の顔そのままの神様のようなキャラクターであった。


日本以外「!?」(めっちゃ神々しいキャラクター出てきたー!!後光が眩しいし、白い一枚布纏っててなんかちょっと宙に浮いてるー!!)


アメリカ「おいおい、どうしてそんなに日本のキャラクターは強そうなんだい?イエス・キリストか?日本はニンジャとかサムライっぽいキャラクターでいいだろ。ってか顔お前じゃね?」


アメリカのトップは額に青筋を浮かび上げながらそう言った。


日本「いやーなんでだろ。僕にそっくり。はは。ニンジャとかそういう古臭いのはもう日本のイメージから外れてるんですよ。時代の流れってやつですよ。まっ、とにかく早く始めましょう」


2人のキャラクターが選択されると次はステージ選択画面に移った。


日本「あっそうだ!ステージはね、各地の有名な世界遺産とか観光地から選べるんですよ!ほらすごいでしょ!ね!じゃあ今回は自由の女神像ステージでいきましょう!」


ステージを選択すると画面が切り替わり、アメリカのキャラクターと日本のキャラクターが向かい合って構えており背景に自由の女神像があった。


一回戦


レディ


ゴー


戦いが始まった。


ガチャガチャ


アメリカ(まずはこのキャラがどういう動きをするかだ。なるほど、4つのボタンは弱パンチ強パンチ弱キック強キックだな)


などとアメリカのトップが操作の確認をしていると

背景の自由の女神像が動き出しアメリカのキャラクターを踏みつぶした。


グジャッ


日本WIN


日本の神様みたいなキャラ「あーはっはっはっ」


アメリカ「ワット?何が起きた?」


日本「あ、自由の女神像ステージでは一定時間ごとに自由の女神像が自由な行動するので気を付けないとダメですよ。そうやってクソデブポリスがモタモタやってたらそりゃ自由の女神像も踏みつぶしたくなりますよ」


アメリカ「マザファッカ!二回戦目だ!」


アメリカのトップの青筋はブチブチにキレていた。


日本「二本先取で勝ちが決まりますので。あ、ちなみに後ろに下がりながら攻撃ボタン全押しでキャラクター特有の技使えるんで」


アメリカ「そういうことは早く言え!」


かなり変な空気が会場を包み出す。


二回戦


レディ


ゴー


ガチャポチッ


試合開始と同時にアメリカのトップは言われた通りに後退しつつ全ボタンを押した。

すると太った警察官が自分に注射をしだした。


日本「アメリカのキャラクターの特殊技はステロイド注射です。少しずつ体力が減っていきますが攻撃力とスピードが向上し、更に攻撃を受けても怯まなくなります」


アメリカ(おぉーかなり太っていたがムキムキにパワーアップしたぞ。しかし体力が減り続けている。ここは短期決戦だ)


アメリカのキャラクターが日本のキャラクターに走っていき攻撃を絶え間なく繰り出す。


ドドドドドッ


ちびっちびっ


全て攻撃を受けているはずの日本のキャラクターの体力は少ししか減らない。


アメリカ(あれっ?おかしいぞ。全然ダメージ食らわない)


ちびっちびっ


日本「やりますね!今度はこっちの特殊技を見せてあげましょう!」


日本のトップは後退してボタン全押しした。


ビュンッ


日本WIN


日本以外「!?」(なんか目からビーム出たー!!しかも一撃でアメリカンポリス沈めたー!!)


「あーはっはっはっ、あーはっはっはっ、あーはっはっはっ、あーはっはっはっ」


アメリカ「ファーーック!なんだこのゲーム!クソゲーじゃねーか!それに日本のトップ!いつまで笑ってるんだうるさいんだよ」


日本「あ、これ僕じゃなくてこのキャラクターの声ですよ。でもちなみにこのキャラクターは僕のフルボイスが入ってます」


「あーはっはっはっ、あーはっはっはっ」


アメリカ「あーもう、その高笑いがトラウマになりそうだ!もう一回だ!納得いかん!もう一回!」


日本「もう一回やりたいなら後ろに並んでください。僕は勝ったので続けますが」


アメリカのトップの後ろには200人弱の行列ができていた。


???「早く代われ!デブポリスマン!」


???「そうだそうだ!このデブポリ!」


???「敗者は帰れ!デブ!」


???「ポリデブス!」


ヤジが飛ぶ。


アメリカ「ちくしょー!もうこんなのやってられるか!帰ってやる!」(ポリデブスってなんだよ?)


アメリカのトップは激昂しその場を去った。


そして幾度も各国のトップが日本に挑み、目からビーム出すやつで沈んでいった。

そして試合を観戦していて分かったことがある。


200弱のキャラクターの内170くらいは同じ動きで同じ見た目の「色」を変えただけのキャラクターであること。(国の名前を聞いてピンと来るイメージが想像できなかったためと推測される)


特定のキャラで特定のステージを選ぶと稀に珍しいことが起きること。(エジプトのキャラクター使用時にピラミッドステージを選ぶとエジプトのキャラクターが死んでもピラミッドからファラオとして蘇るとか)


ブータンのキャラクターに関してはもはやただのブタであったこと。(しかし侮ることなかれ、日本のキャラクターの目からビーム出すやつを回避することができる唯一のキャラクターであった)


オマーンという国の名前の響きがなんかちょっとエロいこと。(変な気分になる)


そして最後に他の国のことって意外と全然知らないんだと気付かされたこと。

もっと他の国にも関心を持つべきだと私は思った。


あの高笑いを聞くたびに私は日本を思い出すだろう。





???「あーはっはっはっ、あーはっはっはっ」





–完–

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