第4話 朝

翌朝、包丁の音で目が覚める・・・

みそ汁の、いい匂いが漂ってくる・・・


眠い目をこすり、台所へと向かった・・・


「あっ、塁さん、お早うございます。

「まや、お早う」

「よく眠れました?」

「うん、まやは、よく休めた?」

「はい」

まやは笑顔で答えた。


そう、「眠れた?」ではなく、「休めた?」なのだ・・・


「もう少しで出来るので、待ってて下さいね」

「ああ」

もし、まやが本当に奥さんだったら、こんな感じかな・・・

自然と笑みがこぼれる・・・


「どうしました?塁さん」

まやの声に、我に帰る。

「さっ、食べましょう」

「うん」

「いただきます」「いただきます」

ふたりで、料理を食べる。

何気ないことでも会話をしながら食べると、より美味しい・・・

(そういや、両親と一緒に食事をしたことはないな・・・)


「まやさん、今日は?」

「大学だよ・・・」

「帰りは?」

「なるべく早く帰るよ・・・あまりいたくないし・・・」

しばらくの時間があった・・・


「塁さん」

「何?」

「塁さんには、私がいます。だから・・・大丈夫です」

まやは心配そうな顔をする。

その顔に、安らぎを感じる。


「ありがとう。まや」

まやは笑顔になる・・・


俺が大学に・・・いや、1人で外へ出ている間は、まやとはスマホで連絡を取り合っている。

頻繁にくるので、いささかやっかいだが、時間帯は考えてくれているようだ。


なので、まやの事は周囲にはばれていない・・・


そう、一部を除いて・・・



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