ミドル戦闘B-1

皆さんはセッパ本社ビルに乗り込む。

受付にめぬきと話がしたいと申し出ると、屋上にいるという。

エレベーターで屋上へと向かう。


屋上でめぬきは赤く染まり始めた空を眺めていた。

「皆様、お待ちしておりましたわ。」

「本当に皆様は優秀ですわね………本当に、本当に………」

そう言ってこちらに向けた笑みは、背筋が凍るほど冷たく。


「優秀すぎて、わたくしの仕事が増えてしまいましたわ。」

めぬきがぱん、と手を鳴らす。

何かが、ズレた。


ズレたのは付近の空間の位相で、一瞬にして閉じ込められたと燕だけが気づく。


(エネミーエフェクト:時空の裂け目)


「少しお話をしましょう?」

「わたくしの兄はヒーローでしたの。理想の兄でしたわ。………ブラッドヴェインに斬られて死んだ、あの日までは」

「わたくしは兄を殺した燕さんを許しません。」

「燕さんを捕らえ、《祝》を持たせ、永遠に私の掌ですり減らす。」

「あの人自身の罪であの人の人生を縛りつける、それこそがわたくしの復讐。」

「《祝》の記憶を調整して燕さんにこっそり与えたのも、ブラッドヴェインをヒーローに仕立て上げたのも。全ては貴方の苦しみの為ですの………」

「ええ、ですから」

「それを知った皆さんには……ここで物言わぬ肉になって頂きませんといけません。」


何も無い所から続々とロボットが現れ、攻撃を仕掛けてくる。

燕だけは妨害をかいくぐってめぬきに接近する。


めぬきの背後から斬りかかった、その時。

がしり、と鉄の腕がその一刀を掴む。

その腕はめぬきの背中から生えていた。

みしみしみしり、ばきん。

その膂力凄まじく、燕の刀が砕け散る。

「そんななまくらでは、このアームは斬り落とせませんわよ?」

背を向けたままめぬきが言う。

燕が身を引く間もなく、もう一つのアームが燕の胴を掴む。

「うふふっ、うふふふっ、あはははははは!!」

「こうしていたぶるのも悪い方法ではありませんでしたわね、燕!!」

めぬきが狂ったように笑う。

「貴方は後でまた首輪に繋いであげます………祝は諦めて、別のもっと可愛い首輪を探してあげますわ………!」

「今は邪魔ですし、また後でお会いしましょう?」

そう言って燕はブン投げられる。

投げられた先に空間のゲートが開いて、燕はこの異空間から退場させられてしまう。


「燕さんは避難させましたし、これで心置きなく口封じが出来ますわね。」

「余計なことを知り、あまつさえ燕さんと親しくするなんて………生かしておけない罪ですわ。」

「燕さんは、あの憎き莫燕は! 孤独に精神をすり減らしながら! わたくしの奴隷でいるべきなのに!!」

「貴方たちが、その意味を変え始めている……!!」

取り乱し叫んだめぬきは、深呼吸をして少し落ち着きを取り戻す。

「そういう訳で、死んでくださるかしら?」


周囲の数多のロボットたちが皆さんに殺到する─────!!

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