マスターシーン・対話

とあるホテルの一室。

狗に運ばれた祝は、ベッドに投げ出される。


「てな訳でお前も自由や。ほとぼりが冷めたら適当なとこに送ったるから、好きな主見つけや~」

「燕? 何でアイツのとこに戻りたがるんや?」

「自分も利用されてた立場やのにか?」

《狗。姉さんは……その、経緯を知らないのでは?》

「あーそうか。記憶弄られてるって話やったか。」

「じゃあ一度小細工を解除せなな。リブートするで。」

そういって祝に呪をそっと押し当てる。

じわり、と熱を感じてから、全ての記憶を取り戻す。


研究室の中にめぬきがこちらを見ていた。

「なるほど、これが正義を求める刀………」

「この刀、そのまま燕さんに結びつけるのは可能かしら?」

傍らの研究者は答える。

「性格の相違が大きすぎるかと……」

それを受けて、めぬきが言う。

「では、性格を変えてしまいましょう! 記憶と性格を弄って、彼への執着心を植え付けて頂戴。」

研究者は言う。

「そ、それは無茶が過ぎるのでは………どんな悪影響が祝に出るか分かりませんよ?」

「刀一本、どうなってもさして問題はありませんわ。駄目なら次を探しましょう。」

「分かりました………ではその通りに。」


「思い出したか? お前は燕を奴隷役にする為の鎖に過ぎんかったんや。」

《姉さんは姉さんを求める者の刃に戻れるのですよ。》


「とにかくや。しばらくここにいて貰うで。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る