第2話ランダムジョブシステム
「うひゃー!すっげー広いな!!」
雲一つない空の下。周りは広大な草原、そして少し先に小さな小屋がある。
「やばいな。全シーンスキップしたからなんも分かんねぇ…」
これはあれだ、無駄だと思ってた映像の途中にどこ行けばいいのとか最初のはじめ方的なやつが説明されてたパターンだ。クソ、聞き逃したのは結構痛いな。
取り敢えず数十メートル先にある小さい小屋を目指すことにした。
「しっかし本当に凄いなぁ」
周りを見渡せば本当にゲームなのか疑わしくなるくらい空が綺麗で澄んでいた。
そして目的の小さい小屋に着き扉を開くと部屋の中はテーブルとその上に乗った1冊の本、それだけしかなかった。
何のために置いてあるのかわからないな。こういうのはオブジェクトなのか?
「うおっ!?なんだ!?」
テーブルに置いてあった本を手に取ると突然周りが淡く光出して俺を包み込む。
やがて目も開けられないほど強くなると俺の左腕が妙に熱く感じる。
徐々に光が弱くなりゆっくりと目を開け左腕を確認すると変な文字が刻まれスーッと俺の腕の中へ入っていた。
ピロン。
”カミキタジント様の職業(ジョブ)は[無能者(ヘイデル)]です”
「ん?[無能者]?」
俺はステータスボード確認して自分の職を見てみると確かに書いてあった。
職:[無能者]LV.1
特性:なし。
スキル:形質移動。
スキル詳細:???
潜在能力値(ステータス)
HP1700
物理攻撃G/魔法攻撃G/物理防御G/魔法防御G/耐性E/運C/
俺は自分のステータスを確認し終えると自分の職について頭を悩ませる。
この小屋に入り本を手に取り光り出した後、俺の職は既に決まっていた。まぁ間違いなくその時に俺の職は決められた。
「God of Gate」では「ランダムジョブシステム」ってのがあるらしくその名の通りランダムで自分の職が決められる。
こんなクソ仕様考えつく製作者もそうだけどこんな理不尽なシステムがあっても人気なんだから色々と凄いよなー。
そんな事を考えながら俺は小屋を出る。
「んじゃ取り敢えず街探すか」
「えっ!?それだけなのです!?頭大丈夫なのです!?」
…………ん?
え、何かいきなり幼女声に罵倒されたんだけど。
「幼女とは失敬な!」
幼女声のする方は俺の目の前なのに姿も実態も見えない。
「ここにいるのですよ!」
すると、いきなり何もいなかった場所から、小柄な尖った耳を生やした金髪美少女が目の前に仁王立ちをして立っていた。
その幼女は俺の顔をジッと見つめると突然
「ペッ!」
「うわっ汚ね!!なんでいきなり唾飛ばしてくんだよ!」
俺の顔めがけてペっぺと唾を吐き散らす。
何だこのクレイジーな幼女は!!俺は幼女に唾を吐き散らされて興奮する趣味はないぞ!
俺は顔に付いた唾を拭う。
まったく、こんな幼女見たことないぞ。
「仕様なのです」
「嘘つけ!!そんなんが仕様だったらR18だわこのゲーム!!」
何処に唾を吐く幼女がいるゲームを全年齢対象にするんだよ!もう事案だぞそれ!
「そんなことより!」
そんなことって言ったぞこのクソ幼女。
「何で[無能者]の職を聞いてもその反応だけでいられるのです!!おかしいのです!」
もしかしてあの場にいたのか?コイツもしかしてプレイヤーなのか?ってか盗み見とは悪い奴だな。唾は吐いてくるし。本当何だこのクソ幼女。
俺がジト目で睨むがそれを意に返さず真っ直ぐに俺の瞳を一直線に見つめる。
「…うーん。特に理由はないな。逆に少しワクワクしてるな」
「わく、わく…?」
何か異界人でも見たような顔で俺を見るクソ幼女。
俺は頭を掻きながら答える。
「だって[無能者]っていう職があってもこのゲームは成立するんだろ?無能でもゲームを楽しむ事が出来るって言ってるようなもんだぜ?ならそれに応えて楽しむっきゃないだろ」
まぁそれでも楽しむためには先ずレベル上げとか地道な努力からだな。、[無能者]って言うんだからほとんど何も出来ないだろうな…
HARDゲームか、最高じゃん。
ってか質問に答えてやったのに何かずっと惚けてる。
「…面白い人なのです」
「なんか言ったか?」
「いえ、何でもないのです!…それより!街を探しているならこの私が道案内してもいいのですよ!」
急にテンション上がったし。でも街か、そりゃ助かるな。
「ぜひ頼むよ。唾かけクソ幼女」
「なっ!!私の名前はミラールシェイナです!こう見えても結構強いのです!!」
唾かけクソ幼女は無い胸を逸らしドヤ顔で鼻を鳴らす。
確かにこいつの実力派本物っぽい。何せLVが250だから。
潜在能力値は見れないけど恐らくめっちゃくちゃ高いだろうな。
「無い胸…こ、これから成長するのですよ!!」
「…なぁさっきから俺の心の声を読むなよ。あ、もしかしてそれもスキルとかなのか?読心術的な?」
ランダムジョブシステムとか作る所だからなァ、有り得るよな。
「それは歩きながら話すのですよ。取り敢えず始まりの街「クェーグル」を目指すです」
「あいよ。頼んだぜシェイナ」
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