一次職「無能者」の俺の二次職が「???」三次職が「???」そして…

@Rlqsia

第1話「God of Gate」へようこそ

世界中で大人気のVRMMO「God of Gate」、略して「GoG」

数年前に販売されてから今日まで年間売上数トップに君臨しているそれは大人子供問わず全世界のゲーマーの魂に火を灯した。


今までにないダンジョンシステム。

数ある猛者たちでさえ手に負えないボスの数々。自分の限界に挑戦できる、試練の塔等など。

成長、その先にある無限の可能性がゲーマー達の胸を躍らせた。


「GoG」には珍しいシステムがあり、それが無数にある職(ジョブ)の中からランダムに自分の職が選ばれるという点だ。

今も出現が確認されていない職も多々あり、公式ガイドブックにも記されていない職もあると言う。


一次職を極めたものは二次職、三次職へとクラスアップでき、潜在能力値(ステータス)が大幅にアップする。

しかし例外もある。


それは極めて希少な職には一次職から三次職までクラスアップしないということ。

言うなれば選ばれし職、つまり[勇者]や[女神]などはにはクラスアップは不要ということだ。


そして「GoG」ではランキングバトルが採用されており、リアルタイムで順位は変動する。

そしてリリースされてから一度も1位の座を譲らず不動のトップを築いている者「アルカディア」はテレビ、ラジオ等で紹介されるほどだった。


そんな「God of Gate」にはこんな噂があった。


誰も知らない伝説の四次職があると。

公式も把握しきれない「God of Gate」が創り出した伝説があると。


人類の更なる高みがこのゲームにはあると。


そして今日も新たな「GoG」プレイヤーが誕生する。


ーーーーーーー


晴れ渡る空、カンカンと照っている正午の太陽。

季節7月の夏。

七分丈にパーカーを着て今か今かと行列の先にあるゲームを見つめる。

後ろの人はパタパタと団扇を扇ぎ暑さに対抗する。人で密集する行列では熱もたまりやすい。しかも夏真っ只中の7月だ。

それでも尚行列が絶えないのは皆俺と同じ目的のため。


1人、また1人と列は進み俺の番が来る。


「はいっ丁度8000円ね。毎度あり!!」


店員は笑顔で袋に入ったゲームを渡す。

俺は受け取り足早にその行列を駆け抜けた。並ぶ人達は俺を見て暖かい目で微笑んでいた。きっと俺の顔がニヤけていたせいだろうな。


俺、神北人斗(かみきたじんと)高校1年生。今日「God of Gate」初めてプレイする新規プレイヤーだ。

夏休みに入る前「これ面白いから人斗もやろうぜ!」って友達に誘われ興味が湧いたのがキッカケ。

俺は駐輪場に停めておいた自転車に乗りギアを変えスピードを上げる。


少し急な坂道を登りその先にあるコンビニを左に曲がれば俺の住む家、Myハウスが見える。


「あっ!おばちゃん!!こんちゃー!!」

「あらあら、こんにちはー」


近所のおばちゃんがにこやかに挨拶を返す。

ワンワンと吠える犬も、にゃーにゃーと鳴く猫も、お年寄り達の痴話話も、今は全てが俺のワクワクの素になる。


今日はすっげーいい気分。


俺は家に着くと自転車を停め玄関の鍵を…


「あれ!?家の鍵がねぇ!!」


どっかで落としたっけ!?ヤバイヤバイ!!せっかく買ったゲームが出来なくなっちまう!!!


慌ててバックやポケットを見るも出てくるのはお菓子のゴミやコンビニのレシート、空のジュース。要らないものばかりだった。


「うわぁぁぁ!!!どーしよー!!!」


頭をわしゃわしゃと掻き膝から崩れ落ちる。

なんてこった!これじゃあ約束の時間に間に合わない…皆が先に行っちまう!!何とかして…壁を登ってワンチャン窓から入るか?いやでも、開いてるかわかんねぇし…あぁクソ!!こうなりゃ一か八か!


意を決して俺が家の壁を登ろうとすると


「痛っ…って!これ俺の鍵じゃん!何で上から…」


俺が上を見上げると俺の部屋の窓からアイスを食べながら顔を出す少女。


「にぃが元々鍵忘れてっただけでしょ。」

「OH〜!!我が妹、音夢(ねむ)よ!!兄ちゃんのために…!ありがとう!!愛しているぞー!!」

「ば、バカ!別に一階に降りるのがめんどくさいだけだし!。…それに近所の人にも迷惑だから仕方無くなんだからね!!」


プンプンと怒り窓から顔が見えなくなる直前、音夢の頬が少し赤かったのは見なかったことにしておこう。ともあれナイスツンデレ!&ナイスキーだ妹よ!


俺は音夢から受け取った鍵で家に入り雑に靴を脱ぎ捨て2階への階段駆け上がる。


人斗の部屋と板が掛けられた扉を開けると既に妹の姿は無く、くしゃくしゃのベットの上に読み捨てられた漫画が置かれていた。


まぁ今回はファインプレーてしてくしゃくしゃのベットと読み捨ての漫画は許してやろう。


「うしっ!!準備完了!!」


俺は部屋着に着替え、そして「God of Gate」を起動する。


「ゲーム、「God of Gate」へようこそ。ここは自由を謳歌する…」


あぁ、そういうのいらないわ!スキップ!!

長々と流れ始めるシーンを飛ばし本題のキャラ設定へと入る。

顔の形、輪郭、鼻の形。目の形まである。髪の部分調整とかもあるぞ…すげぇな。まぁ折角やるなら念入りに作り込むか!!


1時間後…。


「それではGod of Gateの世界へ…here we go!!!」




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